Procyon(13) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

突然の雨に赤星は走って店まで戻ろうとしていた時、シャッターの降りた店のほんの狭い屋根の下で少し濡れながら雨宿りをするランドセルを背負った女の子を見つけた。

 

「あれ・・?」

 

思わず立ち止まる。

 

女の子も彼を見て

 

「あ、」

 

と反応した。

 

 

 

「大丈夫?これで拭きな。」

 

店について風太は少女にタオルを手渡した。

 

「・・ありがとう、」

 

「あ。名前。聞いてなかったよね。」

 

「えっと。宮川・・じゃなくて。西村彩乃です・・。1年生、」

 

祐奈の娘だった。

 

まだ幼い彼女は自分の名字が変わったことに慣れてないことがわかって赤星はふと微笑んだ。

 

「ママの携帯番号。わかる? 迎えに来てもらおう、」

 

赤星は自分の携帯を差し出したが

 

「いつも。キッズケータイにばんごうはいってるから。わかんない・・」

 

首を振った。

 

「わからんかー。 うーん・・」

 

そこでハッとした。

 

 

 

 

「はい。どうぞ。これこの前お客さんにもらったドーナツ。うまいで~」

 

待っている間、ジュースとドーナツを彼女に持ってきた。

 

「ありがとう、」

 

おとなしい子のようでほぼしゃべらなかった。

 

「あ。おっちゃんと彩乃ちゃんのママな。高校の同級生やねん。めっちゃかわいくて頭が良くてな。学校の超有名人やったんやで、」

 

祐奈の話を振っても小さく頷いてドーナツを一口食べただけだった。

 

小学生の女の子ととの会話も弾むわけもなく。

 

何となくの沈黙が続いた。

 

「・・おっちゃん。仕事してるな。よかったらここで宿題とかしてもええで。」

 

赤星はアイロン台のあるスペースに移動した。

 

「あのう、」

 

すると彩乃が話しかけてきた。

 

「ん?」

 

「このまえ。 いっしょにいた・・人。」

 

「え?」

 

「背の高い男の人・・」

 

「ああ。初音? おれの幼なじみ。小学校の頃からずーっと。」

 

「ママのカレシやったんですか、」

 

いきなり言われて思わずぎょっとして彼女を見てしまった。

 

「え? あーっと・・」

 

そう言えばこの子がいる前でそんな話をしてしまった気がした。

 

「・・まあ。高校生の時な。うん、昔の話。」

 

風太はサラっと受け流した。

 

「・・ああいう人なら。ママ、りこんしなかったのかな。」

 

ポツリと言ったひとことが風太の胸に刺さった。

 

そこに

 

「あーちゃん。 ごめんねえ。遅くなって、」

 

テーラーに祐奈がやって来た。

 

「ママ、」

 

「赤星くん。ありがとう。こんなに降るなんて今朝の天気予報で言うてへんかったから。」

 

「どこかで見たことある子やなあって。不審者と間違われて通報されてへんかなってちょっと心配やったけどな。初音なら祐奈の電話番号知ってるんやないかって。連絡して聞いてしまった、」

 

赤星は苦笑いをした。

 

「・・そう、」

 

「上着。濡れてしまったから。今アイロンかけてんねん。もうちょっと待ってて。祐奈もドーナツ食うか?」

 

「あ、そんな。いいよ。アイロンかけなくても・・車やし、」

 

「デニム地やし。色落ちするとアカンから。もうちょっと待ってて。まだドーナツ食べ終わってへんし、」

 

美味しそうにドーナツを食べる彩乃を見て笑った。

 

 

そして丹波篠山では祐奈の娘の彩乃が偶然赤星と会いますが・・

 


 

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