先生側から見た、さんきゅう倉田さんの凄さ | 東大に文理両方で合格した男が綴る、受験の戦略

東大に文理両方で合格した男が綴る、受験の戦略

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仕事のない芸人から、一気に時の人へと飛躍した、さんきゅう倉田さん。

これからの活躍が一層楽しみだが、今日は先生から見た倉田さんの凄さを書いてみようと思う。

実際に倉田さんを指導した私だからこそ気づいた点なども、ぜひ参考にしてほしい。

 

有言実行

まず、もちろん「有言実行したところ」。

倉田さんは、日大系の高校出身で、日本大学には内部進学している。だから、大学受験を経験していない。

国税出身ということばかりが目立っていて「どうせ、もともと勉強できるんでしょ?」みたいに思われることが多いそうだが、少なくとも大学受験は初体験だ。

だから、受験を決意された3年前、倉田さんは東大受験の「イロハのイ」すら知らなかった。というか、大学受験のこともほとんど何も知らなかった。

普通のお問い合わせの方には、センターの点数とか共テの点数が何点くらい解けるのか聞くことが多いが、倉田さんには聞いても意味がない。どうせ取れないからだ。古文も漢文も、何も知らない。日本史も地理もゼロ。(正確に言うと、忘れてしまっているのだが)

それでも現状を知りたいということで、2020年のセンター試験を解いてくれた。

数学は、高校の頃の知識が多少あると言っていたけど、それは数学ⅠAだけだったらしく、数ⅡBはたったの9点だった。

どの科目を解いたら良いかもわからず、地理と日本史だけで良いのに、「倫理」と「政治経済」と「倫理政治経済」と「現代社会」も解いていた。

こんな状態から「3年で」と言った。

この「3年」は、「3年あれば東大に受かれるぞ」と綿密に計算した3年ではなく、適当に言った3年。もしくは、仕事などの関係で「耐えられる」のが3年だったということだろう。いずれにしろ、3年で受かる算段など存在しない。

その適当に決めた期日に、間に合わせた。これが圧倒的にすごい。

 

ストイックさ

それを実現したのは、持ち前の「ストイックさ」。

倉田さんのSNSなどでの発言を追うと、1日13時間勉強したとか、15時間とか20時間とかという数字が出てくるが、普通できない。

ちなみに私は毎日13時間の勉強をしたことはあるが、15時間でルーティン化したことはないし、当然20時間も無理。

文Ⅲを受けた時も、せいぜい10~12時間が良い所だった。

仕事をしていたせいもあったが、単純に倉田さんに比べてストイックさは負けている。

目標を1つに絞り、全てをそこに注ぎこむ。この姿勢は、仮に普通の受験生であっても、そう簡単に真似できるものではない。

※宣伝というわけではないが、倉田さんの勉強内容がいかに壮絶な者だったかは、弊塾のインタビュー動画で見られるので、ぜひご覧いただきたい。

 

 

決断力

3つ目は「決断力」。

倉田さんは、非常に稀有なフランス語受験だ。

東大を受ける際、3つの受験の仕方が存在する。

1つ目は、「英語のみ」。

2つ目は、「英語以外の言語のみ」。例えば、ドイツ語だけとか、中国語だけを選択し、英語の試験は実施されない。

3つ目は、第1~3問は英語で、第4~5問だけ別言語にするというもの。(ちなみに、当日の試験時間内に、英語の問題とドイツ語の問題を見比べて、受かりそうな言語を選んでも良い)

 

3つ目のように、複数言語を同一試験で受験するという人がどれだけいるか分からないが、恐らく少数。

そして、2つ目の「英語以外の言語だけ」で受ける人は、1%もいないようだ。

 

倉田さんは、迷わずフランス語を選んだ。

 

まず、倉田さんは、自分の英語の能力なんか他の受験生に比べて無視できる程度しかないということで、英語でもフランス語でもドイツ語でも、なんでもよいと言っていた。

決め手となったのは、倉田さんがすでにソムリエの資格を持っていたことだ。とあるキッカケでソムリエの資格を取っていて、ワインの仕事もを増やしていきたいと。そこで、ワインと言ったらフランスということで、フランス語を選んだ。

私が軽く説明をしたあと「じゃ、フランス語で」と即決。

「え?もう決めちゃってよいんですか?」と聞いたところ、「ハイ」と二つ返事。早かった。

 

また、地歴科目を選ぶのも一瞬だった。

日本史、世界史、地理の科目の特徴を大雑把に説明。するとやはり「日本史と地理で」とすぐ返事が来た。

他にも、参考書を勧めたときも、その場ですぐAmazonをポチっていたし、記号問題も2択であまり迷わない。(これは、もう少し考えても良いかなと思う瞬間もあったが)

いずれにしろ、決断が非常に早かった。

 

ちなみに、3年前の時点で、すでに倉田さんとは友人だったが、ここまでストイックな人だと知らなかった。もし知っていたら、暗記でカバーしやすい世界史を勧めていたかもしれない。(そのくらい、ストイックさは驚きだった)

 

常に考えていた

そして、4つ目。倉田さんは常に考えていた。

アドバイスはすぐに素直に取り入れて実行してくれた。僕の授業も聞いてくれたし、おススメの参考書も買ってくれた。

実行も早くて、どんどん弱点を改善していった。

しかし、提出される答案は、僕の方針とは違った。

僕も、答案を作成するときは、問題文、リード文、教科書などの資料を参考にして一生懸命考えて作る。

しかし、倉田さんの答案は違う主張をしていることが多かった。

なぜなら、倉田さんも考えて答案を作っていたからだ。

敬天塾では、塾長である僕のやり方や答案例をまねることは推奨していない。まねるというのは、考えていないからだ。考えた結果、同じものになればそれで良いし、違う答案になっても良い。

大事なのは、根拠。なぜその答案を作ったか。なぜその方法で勉強したのか。根拠があり、その根拠が妥当であれば、良い。

倉田さんに何か質問したところ、必ず答えが返ってきた。「僕はこう考えて、こう解きました。」と

 

受かるため行動していた

そして、受かるために行動していた。常に考えていたからこそ、受かるための行動が見えてきたのだろう。

確かに勉強量は激しかった。でも、なぜ勉強量が多かったかというと、それだけ弱点が見つかったから。

受験生は勉強をすることで「逃げられる」。

「今日は10時間勉強したからOK」と、自分も周りも安心させられる。誰も「その10時間は意味がある10時間だったの?」などと聞いてこない。10時間の勉強で、10時間分の成長が得られる人と、5時間分しか成長できない人と、20時間分成長できる人がいる。10時間はあくまで手段。成長させるために取るべくして取った10時間なのか、日付が変わったから与えられた10時間なのか。中身は全く違う。

倉田さんは、ダラダラと時間を使わない。意味のあることに使っていた。弱点を見つけては、すぐに克服した。そうしていたら、積もり積もって勉強時間が増えていったのだろう。

 

受かるべくして受かる人になろう

さて、こうして書いてみると、倉田さんはやはりすごい。こんなすごい人、合格して当然ように思える。読んでいる方も「自分なんか到底及ばない」と思うかもしれない。

しかし、そうではない。

倉田さんは、努力で「合格できる人」にまで成長したと思う。まさか、ここまで激しく勉強しなければならないとは思っていなかっただろう。しかし、そう「なった」。

勉強量だけが、合格への道ではない。勉強をしつつも、自分を変えていくのだ。

今が「合格しない人」であっても良い。まずは「合格しそうな人」になろう。そして「合格して当然な人」になれば良いのだ。

ストイックさが足りないのであれば、まずは明日、今日よりもストイックに生きてみよう。

ダラダラ勉強しているだけになってしまったら、一度ゆっくり時間をとり、ニヤニヤが止まらないような合格作戦を立ててみよう。あとは死に物狂いで実行するだけだ。

後を続く受験生は、ぜひ、勉強量の部分はもちろん、勉強量以外のところも学んでほしいと思う。