英語の迷い道(その134)-「心の傷」の癒し方-宗教と心理療法 | 流離の翻訳者 果てしなき旅路

流離の翻訳者 果てしなき旅路

福岡県立小倉西高校(第29期)⇒北九州予備校⇒京都大学経済学部1982年卒
大手損保・地銀などの勤務を経て2008年法務・金融分野の翻訳者デビュー(和文英訳・翻訳歴15年)
翻訳会社勤務(約10年)を経て現在も英語の気儘な独り旅を継続中

今日は久々の快晴。東九州自動車道を通って大分県との県境辺りまで家内とドライブを楽しんだ。

 

途中、道の駅「豊前おこしかけ」で一休み。それから築上郡吉富町の近代化遺産山国橋と佐井川橋へ。その後、ネットで見つけたカフェ“AJITO”で昼食をとった。なかなかお洒落な店だった。

 

川沿いからか花粉も少なく、くしゃみや眼が痒くなることもほとんど無かった。たまにはこんなドライブもいいものだ。

 

 

 

幼い頃は他人から言われた些細なことで悩み苦しんだことも多かった。ただ人間、長く生きているとどんどん図太くなってくる。

 

ここ数年、特にリタイヤしてからはあまり悩まなくなった。ストレスが少なくなったことに反比例してが体重は単調に増加している。それがまたストレスになる。妙な話だ。

 

以下は10年余り前の阪大(外国語学部)の英作文問題である。「心の傷」の癒し方に関するものだが、心の傷は trauma と訳した。「心理療法」では心の傷は癒せないのであろうか?

 

 

(問題)

次の日本文の下線部(1)~(3)の意味を英語で表しなさい。

 

人間は誰しも心のなかに傷をもっている。もっともその傷の存在をあまり意識しないで生きている人もいる。そのような人は一般的に言って、他人の心に傷を負わせる――ほとんど無意識的に――ことが多いようである。

(1)それではその傷はどのようにして癒されるのか。心の傷の癒しは、古来からもっぱら宗教の仕事とされてきた。いろいろな宗教がそれぞれの教義や方法によって、人間の心の癒しを行ってきた。(2)しかし、近代になって人々が宗教を信じがたくなるのと同時に、心理療法という方法によって、心の癒しができると考え、しかもそれは「科学的」な方法でなされると主張する人たちが現れた。(3)そのような「科学」を絶対と信じる人には、それは時に有効かもしれないが、そうでない人には、人間の心が科学的方法で癒されたりするものでないことは、少し考えるとわかることである。

(河合隼雄『中年クライシス』)

(大阪大学 外国語学部・2013年)

 

(拙・和文英訳)

Every human being has a trauma in his or her heart. However, there are some people who live their lives without being aware of the existence of the trauma so much. Generally speaking, such people often inflict a trauma on other people’s heart, almost unconsciously.

(1) Then, how can we heal traumas? Since ancient times, we have been depending exclusively on religion for healing of traumas. Various religions have healed human hearts through their own doctrines and methods. (2) However, in modern times, people have become increasingly incredulous about religion, at the same time, there have been some people who believe that psychotherapy can heal human hearts and insist that it can be done in a “scientific” way. (3) For those who believe that such “science” is absolute, such psychotherapy may sometimes be effective, but for those who do not, it is clear that the human hearts cannot be healed by such scientific methods.