英語の迷い道(その133)-「ひとをモデルに小説を描くこと」-今年の阪大・英作文③ | 流離の翻訳者 果てしなき旅路

流離の翻訳者 果てしなき旅路

福岡県立小倉西高校(第29期)⇒北九州予備校⇒京都大学経済学部1982年卒
大手損保・地銀などの勤務を経て2008年法務・金融分野の翻訳者デビュー(和文英訳・翻訳歴15年)
翻訳会社勤務(約10年)を経て現在も英語の気儘な独り旅を継続中

昨日は市内の中学校の卒業式だったらしい。車で街を走ると生徒よりは正装した親たちの姿が目立っていた。

 

必要に迫られてスーツを誂えに行ったが、フレッシャーズ(新入社員)のシーズンとあってか補正などのスケジュールが過密になっていた。スーツを誂えることもしばらくは無いだろう。

 

国公立大学の合格発表も大詰めになった。今年の大学入試問題への挑戦も今回で終わりとしたい。いかにも文学部らしいテーマの問題である。ブログを書いていて時々友人たちのことに言及することがあるが、「迂闊に下手なことは書けない」と再認識させられた。

 

 

(問題)

IV.次の日本文(B)の下線部の意味を英語で表しなさい。

 

(B)

(イ)(文学部の志願者)

たとえば、存命中のひとをモデルに小説を描く場合、何よりもまず当人のお許しを頂き、その上で、丹念に取材させて頂くことが必須です。フィクションだから何でも許される、というわけでは決してないのです。では、そのひとが既に故人だった場合はどうでしょう。「既にその死から何百年も経過している」「歴史上の偉人として研究しつくされている」といったケースでは縛りが緩くなることもあるでしょうが、それに当たらない場合は、どうでしょうか。

かつて「あい 永遠に在り」という作品で、実在した関寛斎とその妻あいを描いた時に、随分と悩んだ問題です。

(髙田郁,2023.『晴れときどき涙雨』角川春樹事務所(ハルキ文庫) より一部改変)

(大阪大学 文学部・2024年)

 

 

(拙・和文英訳) 

For example, if you intend to write a novel adopting a living person as a model, first of all, it is essential for you to obtain the permission of the relevant person. After that, you have to interview the person carefully. Everything in a fiction story is by no means permissible. However, what if the person is already deceased? In the cases where “hundreds of years have already passed since his or her death” or “he or she has been studied thoroughly as a great person in history”, such a restriction may be loosened, but what if such cases are not applicable.

This is the problem that I used to worried about so much when I described the existed Kansai Seki and his wife Ai in a piece of work “Ai Forever Exists.”