英語の迷い道(その132)-「マスメディアに対する批判」-今年の阪大・英作文② | 流離の翻訳者 果てしなき旅路

流離の翻訳者 果てしなき旅路

福岡県立小倉西高校(第29期)⇒北九州予備校⇒京都大学経済学部1982年卒
大手損保・地銀などの勤務を経て2008年法務・金融分野の翻訳者デビュー(和文英訳・翻訳歴15年)
翻訳会社勤務(約10年)を経て現在も英語の気儘な独り旅を継続中

大量の情報がネットで配信されるようになって情報の信憑性は著しく低下した。いわゆるフェイク・ニュース(fake news)も蔓延するようになり、人々はネット上の情報を簡単には信用しなくなった。

 

本問は、ネットに限ったものではないが、そのように人々が情報を鵜呑みにしなくなったことが、果たして社会を良くしているのか?ということに関するものである。

 

全文を通して「鵜呑みにする」「あってしかるべき」など、どう処理すべきか悩んだ語句もあった。受験生も苦労したことだろう。

 

 

(問題)

IV.次の日本文(B)の下線部の意味を英語で表しなさい。

 

(B)

(ロ)(文学部以外の学部の志願者)

人々は以前ほどマスメディアの言うことを鵜呑みにはしなくなった。しかし、それで果たして社会は良くなったのであろうか。

取材をし、記事を書き、ニュースを発信するのが人間である以上、報道は全て正しいとは限らない。また、報道が届く人々の範囲の広さを考えても、個別の記事や番組に対する批判はあってしかるべき重要なものである。しかし、批判の対象が「マスメディア」「マスコミ」となったとき、それが本当に対象を理解したうえでの批判なのか、その批判が民主主義にとって有益なのかという問いに、今一度立ち戻るべきではないだろうか。

(稲増一憲,2022.『マスメディアとは何か』中央公論新社(中公新書) より一部改変)

(大阪大学(外国語学部・文学部以外)・2024年)

 

 

(拙・和文英訳) 

People don’t swallow what the mass media says whole as much as they used to. However, has this really improved the society?

As long as it is human beings who collect information on something, write articles about it, and dispatch the news, the reports are not always correct. Further, considering the wide range of people who can receive the news, criticism of individual articles and programs ought to take place, and it is no wonder important. Nevertheless, when the target of criticism is “mass media” or “mass communication,” shouldn’t we return to the question of whether such criticism is really based on an understanding of the target, or whether such criticism is beneficial to democracy?