英語の迷い道(その137)-「空にかかる虹の色」-言語(国)による数の違い | 流離の翻訳者 果てしなき旅路

流離の翻訳者 果てしなき旅路

福岡県立小倉西高校(第29期)⇒北九州予備校⇒京都大学経済学部1982年卒
大手損保・地銀などの勤務を経て2008年法務・金融分野の翻訳者デビュー(和文英訳・翻訳歴15年)
翻訳会社勤務(約10年)を経て現在も英語の気儘な独り旅を継続中

英語に as cool as a cucumber というイディオムがある。文字通りの意味は「きゅうりのように冷たい」だが、転じて「落ち着き払って、涼しい顔で」の意味になる。

 

He faced the tribunal as cool as a cucumber.

彼はとても冷静に(涼しい顔で)裁判に臨んだ。

 

「きゅうり=冷たい」はまだ理解できるが、「きゅうり=冷静」は日本人にはよくわからない感覚だ。英語特有のものだろう。

 

 

以下の問題は「虹の色の数」が、言語(国)により異なることをテーマとしている。例えば韓国・オランダ・日本では赤、橙、黄、緑、青、藍、紫の7色アメリカ・イギリスでは赤、橙、黄、緑、青、紫の6色中国・フランス・ドイツ・メキシコでは赤、黄、緑、青、紫の5色、またロシア・アフリカ、東南アジア諸国では赤、黄、緑、黒の4色となっている。

 

意外な話だが「虹の色の数=7色」は、日本だけの社会通念(常識)に過ぎないということである。

 

 

(問題)

次の日本文の下線部の意味を英語で表せ。

 

虹にはいくつの色があるかと日本人に尋ねれば、7に決まっているさという答えが返ってくるだろう。だが世界のいろいろな言語を視野におくと、この問いに対する答えは、実は思ったほど簡単ではないのである。

空にかかる美しい虹の色の数は言語により異なるのだ、ということを知っている人は今でも少ない。

(鈴木孝夫『日本語と外国語』)

(大阪大学・2001年)

 

 

(拙・和文英訳)

If you ask a Japanese how many colors there are in a rainbow, he will tell you that it is seven, of course. However, from the viewpoint of various languages in the world, the answer to this question is actually not as simple as we expect.

Strange to say, there are few people still now who know the fact that the number of colors in a beautiful rainbow in the sky varies from language to language.