英語の迷い道(その144)-「郷に入れば郷に従え」-旅に出ることの意義 | 流離の翻訳者 果てしなき旅路

流離の翻訳者 果てしなき旅路

福岡県立小倉西高校(第29期)⇒北九州予備校⇒京都大学経済学部1982年卒
大手損保・地銀などの勤務を経て2008年法務・金融分野の翻訳者デビュー(和文英訳・翻訳歴15年)
翻訳会社勤務(約10年)を経て現在も英語の気儘な独り旅を継続中

ここ数日、雨模様が続いており何となく気が滅入る。血圧降下剤の副作用なのか、ここのところ眠りが浅く、睡眠薬を飲んで寝たら妙な夢ばかり見ていた。

 

「春愁」というにはまだ早いが何となく物憂い気持ちだ。「上洛」を終えた燃え尽き感なのか。目の前から目標が無くなってしまった気がして何かしら寂しい気持ちになる。

 

とにかく、必要なことを一つずつ片付けながら日々を過ごしてゆこう。不快な感情は行動により流れるものだ。行動を積み重ねた先に何がしかの目標もきっと見えるだろう。

 

 

「郷に入れば郷に従え」とは、「その土地(または社会集団一般)に入ったら、自分の価値観と異なっていても、その土地(集団)の慣習や風俗にあった行動をとるべきである。」という教えである。

 

京都で外国人旅行者(とくに白人)をたくさん見かけたが、彼らが食事する様子を見ると、器用に箸を使って日本食を食べている人もあれば、ナイフとフォークで洋食の人もいる。人それぞれである。

 

 

(問題)

次の文章を読み、下線部(A)、(B)を英語に訳しなさい。

 

旅が唯一の趣味であちこちによく出かけていくが、当然、その場所場所によって常識は違う。トイレのあと、紙で拭く国も水で洗う国もある。ごはんを箸で食べる国も、スプーンとフォークで食べる国も、手で食べる国もある。列車が時間通りくる国もあれば、時刻表がなんの役にもたたない国もある。

(A)しかし、考えてみれば、常識の違いに戸惑うということが、私にはあんまりない。違っていて当然であり、違っていなくちゃ困る、という気持ちもある。私が旅を愛するのは、自分というものがけっして普遍的な存在ではない、と知ることができるからでもある。私が「ふつう」と思っていることが、世界的スタンダードであるならば、旅に出たいとそもそも思わないだろう。

(B)異文化のなかにぽつんと出ていったとき、かたくなに自分の基準を守ろうとする人と、なんとか郷に従おうとする人がいる。私は後者である。自分の基準を守るのならば、これもまた、旅に出る必要がないではないか、と思っているようなところがある。

(角田光代「お金と沈黙」より)

(東北大学・2008年)

 

 

(拙・和文英訳) 

As traveling is my only hobby, I often travel from place to place. As a matter of course, common sense differs depending on the place. After using the toilet, bottom is wiped with paper in some countries, while it is washed with water in others. Rice is eaten with chopsticks in some countries, with a spoon and fork in others, and with hands in others. Trains come on time in some countries, while timetables are of no use whatsoever in others.

(A) However, when I think about it, I am not so often confused by the difference in common sense. It is natural that there is a difference in common sense, and I even have a feeling that it has to be different. I love traveling because it also allows me to recognize that I am not a universal existence. If what I consider “normal” were the global standard, I wouldn't want to travel in the first place.

(B) When going out into a different culture alone, some people stubbornly try to follow their own standards, while others manage to follow the local customs. I'm the latter. I even somewhat think that if I stick to my standards, I don't need to go traveling.