英語の迷い道(その158)-「書物:インターネット」=「食物:サプリメント」 | 流離の翻訳者 果てしなき旅路

流離の翻訳者 果てしなき旅路

福岡県立小倉西高校(第29期)⇒北九州予備校⇒京都大学経済学部1982年卒
大手損保・地銀などの勤務を経て2008年法務・金融分野の翻訳者デビュー(和文英訳・翻訳歴15年)
翻訳会社勤務(約10年)を経て現在も英語の気儘な独り旅を継続中

GWが終わり日本経済が再び動き始めた。気が付けばGW中に時節は「立夏」を過ぎた。はや夏の訪れである。

 

 

今日の日経平均株価は、米国市場での先物の流れを受け継いで600円ほど上昇した。利益が出ている銘柄を一部売って、有望と思う銘柄を2つほど新規に購入した。とは言え、これからは決算発表が続くが、それを見ながら株価は不透明感の強い動きとなるだろう。

 

一方で為替相場だが、先週1ドル=160円台と34年ぶりの円安水準まで下落した円相場は、政府・日銀の為替介入と見られる大規模な円買いで一時は151円台まで上昇したものの、現在は154円台半ばでの動きとなっており、こちらも今後不安定な動きが予想される。

 

……などと日経新聞の記事の受け売りもあるが、思うところを書いてみた。

 

 

英会話のレッスンにしても、紙のテキスト(本)ではなくデジタルのテキストで受講する生徒も多い。とくにキッズについてはなおさらだ。また、電子辞書の時代は既に終わり、今はスマホやタブレットを使っている生徒が大半だ。時代はどんどん進化してゆく。

 

私は、相変わらずアナログ派だが、紙の本には紙なりの良さがある。傍線を引いたり、マーカーでマークしたり、書き込みをしたり。もちろんデジタルでもすべてできるが、紙の本の使用感やそんな本への愛着は、一つの「楽しさ」と言っていいのかも知れない。

 

 

以下の文章は、東北大の英作文に出題された、渡辺昇一『知的余生の方法』からのものだが、実に共感できる内容である。

 

 

(問題)

次の文章を読み、下線部(A)、(B)を英語に訳しなさい。

 

インターネットで欲しい情報はすぐにどこにいても手に入る。(A)二百年以上の歴史を持つ有名な英国の百科事典が、もう新版を出さなくなったのもインターネットの時代になったからだと聞いている。

そこから出てくる一つの結論は、書物の時代が終わったのではないかという危惧(きぐ)である。報道などでも盛んに流布され、活字文化の未来予測は相当暗いと騒がれている。

情報はインターネットでよいのに、なぜ、私は書物をこれほど買うのか。どうして高価な古書まで買うのか。(B)それは書物から得るものが単に情報だけではないからだ。書物はインターネット上の情報が与えることのできない「楽しさ」を与えてくれるのである。それは古い装幀(そうてい)や世紀を隔てた匂いなどなど...。

インターネットの情報と、読書から得る知識とは本質的に違うのではないだろうか。その違いを比喩(ひゆ)で表現したら、食物とサプリメントの関係になるのではないだろうか。

(渡辺昇一『知的余生の方法』より一部変更)

(東北大学・2013年)

 

 

(拙・和文英訳)

We can get any information we want on the Internet right away, no matter where we are. (A) I have heard that the famous British encyclopedia, which has a history of more than 200 years, no longer publishes new editions due to the era of the Internet.

One conclusion deriving from this fact is the apprehension that the era of books may have ended. This apprehension has been widely circulated in the media, and it has been rumored that the future prediction of print culture is considerably dark.

When information is provided enough on the Internet, why do I buy so many books? Why do I even buy expensive old books? (B) This is because what I get from books is not only information itself. Books give me a “pleasure” that information on the Internet cannot give. It might be, for example, an old binding, a smell over a century ago, and so on.

Isn’t there an essential difference, I think, between the information we get on the Internet and the knowledge we get from reading? If this difference was expressed in a metaphor, it would be the relationship between food and supplements.