ゴジラ(1954)/不朽の名作の精神は最新作に活かされるのか | 調布シネマガジン

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ゴジラ(1954)

今週末に公開される『GODZILLA ゴジラ』の前に元祖を観ておかなきゃね。1954年の公開というから今からもう60年も前の作品。主な出演者は古生物学者・山根恭平博士に志村喬、その娘で恵美子に河内桃子、南海サルベージの尾形秀人に宝田明、そしてゴジラを倒す発明をする芹沢大助に平田昭彦と昭和の名優が揃う。事の発端はもう超有名だよね。ビキニ環礁の水爆実験でジュラ紀の肉食恐竜ゴジラが蘇るというもの。公開された年にはそのビキニ環礁で第五福竜丸の被曝事故が起こっている。

そもそも人間の身勝手によって生み出されたゴジラは、その人間に復習するがごとく東京を破壊しつす。映画史に残る国会議事堂の破壊や東京タワーの破壊のシーンだけでなく、とにかくこの破壊シーンのリアルさに圧倒された。60年前なんで当然全て模型を作りそれを壊す訳だが、これが恐ろしくよく出来た質感。無論効果音など含めた映像効果は現代のほうがいいに決まっているが、それが分かっていてなお感じる迫力がある。この辺りは正に特撮の神様・円谷英二の真骨頂だ。

水爆そのものに匹敵するゴジラにはいかなる武器も通用しない。が、そんなゴジラを倒す発明が山根博士の弟子の芹沢のオキシジェン・デストロイヤー。その名の通り一瞬にして酸素を破壊し生物を窒息させるらしいが、何故か食らった生物が骨になってしまうのはご愛嬌。この辺は色々解釈があるらしいので知りたい方はググって欲しい。要するに人間の身勝手で生み出されたゴジラが、やはり人間の身勝手で殺されてしまう、この人間のエゴに振り回されるゴジラの姿に何とも言えないもの悲しさを感じずにはいられない。

ゴジラが死んだあと山根教授は最後にこう言う。「あのゴジラが最後の一匹だとは思えない。もし水爆実験が続けて行われるとしたら、あのゴジラの同類がまた世界のどこかへ現れてくるかもしれない。」もちろんこれは核実験に対する作り手の想いを込めたセリフだが、結果的にはその後のゴジラシリーズに繋がるふりにもなっている。が、最新作『GODZILLA ゴジラ』ではその水爆実験自体がゴジラを殺すためだったという設定らしい。本作の根底の想いは最新作には生かされているのか?心して待つことにする。

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ストーリー:19XX年、南太平洋で行なわれた核実験によって、ジュラ紀の肉食恐竜が甦った。ゴジラと名付けられたその怪物は、大戸島を襲った後、東京へと歩を進めていく。放射能をまき散らすゴジラの前に、帝都は為す術もなく蹂躙されるかのように思われた。だがその時、防衛軍に一つの朗報がもたらされた。それは若き天才科学者、芹沢の発明した“オキシジェン・デストロイヤー”という、核を凌ぐ超兵器の存在である。しかし芹沢は、核の二の舞を怖れ、その超兵器の使用を認めようとはしなかった……。この作品によって本邦の特撮映画は始まった、と言っても過言ではない程の大傑作。戦争と核兵器への警鐘をテーマとしながらも、堂々たる娯楽大作に仕上がっている点は、スタッフ及びキャストの尽力の賜物であろう。芹沢博士の、“オキシジェン・デストロイヤーの使用”に対する怒りの絶叫が、本作のテーマのひとつである。(allcinema)