LIFE!/世界を見よう、危険でも立ち向かおう。それが人生の目的だから | 調布シネマガジン

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LIFE!

ベン・スティラー監督・主演のヒューマンドラマ。ウォルター・ミティ(ベン・スティラー)は幼い頃から空想家でそれ故にか、ここぞというところで妄想に逃げてしまう。雑誌「LIFE」でネガ管理の仕事をしていたけれど、同僚のシェリルのことが好きなのにデートにも誘えないありさまだ。ある日「LIFE」が買収され、最後の表紙の写真を著名な写真家ショーン(ショーン・ペン)の撮った25番ネガを使うことに。ところがそのネガが見つからない。ウォルターはネガの在処を聞くためにショーン探しの旅に出かけることになる…。

実に気持ちのよい作品だった。「世界を見よう、危険でも立ち向かおう。それが人生の目的だから」これが「LIFE」のスローガンだそうだが、この映画はまさにこれ。何かをなそうとしたらまず一歩を踏み出すことだということを、これでもかと直球的に見せてくれる。最初は臆病で、自分に都合の良い妄想に浸ってばかりの彼が、旅に出ることでその妄想以上の実体験をし、人として成長していくんだけど、実際に冴えないおっさんだったのが、凄く魅力的な人間に変身していくのを観ているのが嬉しくて仕方ない。

もちろんそれはベン・スティラーの類まれな演技力はあるんだけど、細かい演出が彼の演技を上手く肉付けしてフォローしてるんだ。その一つが出会い系サイト。彼は同僚のシェリルにそのサイトを通じて声をかけようとしているんだけど、最初は空欄だった彼の“経験談”の欄は、次第に彼の旅の経験談→冒険談へと変わっていく。そしてそれが物語全体の中で彼の突拍子もない旅に現実感を持たせてくれた。逆に言えばそれがないとあまりにも偶然という名の奇跡の連続過ぎて、正にウォルターの妄想癖のリアル版になってしまいそうだ。

ネットの世界で全てが解決するかのような錯覚を抱いている昨今、それは完全に間違いだと改めて再確認できた作品だった。ネットで得られる一元的な知識は誰にも平等で、だからこそ意味がある部分も確かにある。でも実際に体験することで得られる知識、それはその人その人の人間性により変わってくる。「世界を見よう、危険でも立ち向かおう。それが人生の目的だから」なんて素敵な言葉だろう。

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ストーリー:雑誌「LIFE」の写真管理部で働くウォルター・ミティ(ベン・スティラー)は、思いを寄せる女性と会話もできない臆病者。唯一の特技は妄想することだった。ある日、「LIFE」表紙に使用する写真のネガが見当たらない気付いたウォルターはカメラマンを捜す旅へ出る。ニューヨークからグリーンランド、アイスランド、ヒマラヤへと奇想天外な旅がウォルターの人生を変えていく。(シネマトゥデイ)