思い出のマーニー/愛されて愛されてここにいる | 調布シネマガジン

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思い出のマーニー

『借りぐらしのアリエッティ』の米林宏昌監督が贈るファンタジーアニメーション。個人的にアリエッティは大好きな作品でジブリ作品では最近の宮﨑駿作品より全然好み。ただこの作品は1時間43分という普通の長さでありながら、途中所々で間延びというか、簡単に言えば単調な演出が目について、ふっと意識が飛びかけた。もうちょっとテンポよく出来なかったものだろうかね。ただラスト付近で一気に明らかになる事実を知ると「なるほどそういうことだったのか!」と胸熱な展開に突き進む。

主人公・杏奈は喘息の療養のために田舎の親戚の家にやってくるのだが、序盤ではそんな彼女の人となりや背景が丁寧に描かれる。例えば今の両親は養父母であり、実の両親は亡くなっていること、その養父母は自分を育てるために役所からお金を受け取っていることが。もちろん彼女は養父母に恩は感じているし、お金をもらっているからと言って別に義務感で育てられたわけでもないことは分かって入るのだけど、この辺は理屈と感情の区別が入り混じる子供の不安定な気持ちをよく描いていたと思う。

そんな彼女の前に現れるのが古びた洋館に住むマーニーだ。出逢った瞬間から打ち解け合う2人、決して人に心を開かない杏奈はマーニーにだけは別人のように接する。しばらくマーニーとの交流の姿が描かれるのだけれど、ココが実はちょっともどかしい。マーニーがどういう存在なのか、無論実在する人間ではないであろうことは想像がつくのだけれど、2人の関係性が全く解らない割に長く時間を割くから話がちっとも進んでいかないように思えてしまう。まあ最後まで見れば全て納得は行くんだけど。

ラストで明かされる真実、そしてそこから導かれる答えは杏奈は多くの人達に愛されて今ここにいるのだということ。それに気付いた杏奈の心の開放感は、逆にそこまでの抑圧された物語によってより一層の効果を得ることになる。元が欧米の児童文学だけあってちょっとそのクサさみたいなものはあるけど、これはこれでありかな。ただジブリ作品とはいえ子供には難しいと思う。

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ストーリー:心を閉ざした少女杏奈は、ぜんそくの療養を目的に親戚が生活している海沿いの村にやって来た。そんなある日、彼女の前に誰もいない屋敷の青い窓に閉じ込められた、きれいなブロンドの少女マーニーが姿を見せる。その出会い以来、杏奈の身の回りでは立て続けに奇妙な出来事が起きるようになるが、それは二人だけの秘密だった。(シネマトゥデイ)