怪獣大戦争/支配されるゴジラは観たくなかったな… | 調布シネマガジン

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怪獣大戦争

1965年公開のゴジラシリーズ第6弾。例によって本多猪四郎監督と円谷英二特技監督が手がけている。出演はゴジラシリーズお馴染みの宝田明と『理由なき反抗』にも出演していたニック・アダムス、田崎潤らだ。ゴジラがシェー!のポーズをすることで有名な本作は、前作に続きキングギドラとゴジラ&ラドンの戦いがクライマックスになっている。モスラがいなくても勝ってしまうなら前作は一体何だったん?…というツッコミは置いておいて、ゴジラシリーズで人間の物語のほうが主体になった初めての作品と言う点が特徴だ。

従って物語の設定が今までと全然違う。今回の敵は怪獣ではなくX星人で、キングギドラは彼等に操られていたという設定だった。全てを計算機の指示に従って動くX星人は科学万能の世の中に対するアンチテーゼなのだろうが、それに対して音波で対抗したり、X星人が怪獣を操る電磁波を遮断するためにAサイクル光線を開発したりする人間の姿もまたと弱冠皮肉がこもっていると言えるだろう。ただ形としては今の世の中の戦隊シリーズなどにも受け継がれる戦いの原型がここに見て取れた。

それにしても、怪獣が見たい人にはまどろこしいことこの上ないんじゃないだろうか。なにせ途中X星で少し3怪獣が観られるだけで、クライマックスまでは殆ど出てこなんいんだ。しかもゴジラやラドンの立ち位置がちょっと寂しかったりもする。これまでのゴジラやラドンの存在は、人間の味方をする側面がありつつも原則としては自分が一番、即ち自分のためが人間のためになるということだった。ところが今回は彼等よりも上の存在としてX星人がいる。出来たらゴジラが支配される姿は観たくなかったというのが正直なところだ。

とはいえ操られたゴジラやラドンが街を破壊するそのリアルさや迫力はいつも以上で、クライマックスの戦いは短い時間ながらも一気に惹きこまれてしまう。やっぱりゴジラは魅力的としか言い様がない。それにしてもX星人の容姿や円盤が、俺が子供の頃ステレオタイプだった宇宙人やUFOのイメージと同じだったのは多分元はここから来ていたんだろうな。(笑)

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ストーリー:木星に13番目の衛星、X星が発見された。調査に向かった富士とグレンは、そこにキングギドラの脅威にさらされたX星人がいることを知る。彼らはギドラ撃退のために、ゴジラとラドンを借りたいと訴えた。だが二大怪獣にコントロール装置を埋め込んだとき、X星人はギドラを含め、三体の怪獣を使って地球征服に乗り出したのだった…。(allcinema)