ルパン三世/アニメのイメージを上手く取り込み独自の世界観作りに成功 | 調布シネマガジン

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ルパン三世
言わずと知れた超名作アニメの実写化。監督は『あずみ』の北村龍平が努める。注目のキャスティングはルパン三世に小栗旬、次元大介に玉山鉄二、石川五右衛門に綾野剛、峰不二子に黒木メイサ、銭形警部に浅野忠信という人気実力を兼ね備えた俳優たちだ。それにしてもこれだけアニメ作品が有名だと、演じる方は大変だろう。何しろ長きに渡って作り上げられた作品の、キャラの、声のイメージが殆どの人に定着していて、何をやっても「イメージと違う!」と言われるだろうから。
ルパン三世1
俺だってそうだったが、しかし結論から言うとこれなら中々楽しめるじゃないかと、良い意味で期待を裏切られた。多分アニメとは全てが違うのだということを前面に押し出した作りだからこそ、変に引きずられず楽しめたのだと思う。もちろんそんな中にエッセンスとしてキャラクター達のベタなイメージがトッピングされているのだが、元のイメージが強いので、少しだけで十分アニメでの空気感は味わえるという訳だ。五右衛門の「またつまらぬものを斬ってしまった…」なんてセリフはそれだけでニヤリとしてしまう。
ルパン三世2
小栗ルパンは見たところとても原作寄りだと思う。アニメでは弱冠ちゃらんぽらんが前面に出たキャラだが、本来はもっとハードボイルド。絵だって劇画調だ。今回はアニメ的ちゃらんぽらんをセリフに散りばめながら、そのアクションシーンを中心とした行動で締めるところを締めている。黒木不二子の色っぽさは、彼女のセクシーさの中で魅惑的に表現されている。アニメに従うのなら欧米的なボッ!キュッ!ボン!なんだろうが、日本人がリアルに感じるセクシーさという意味では正解だと思った。
ルパン三世3
ところで今回の作品、もう一つ良いと思ったのが日本が舞台ではないことだ。日本は基本的に五右衛門を迎えに行く時しかでてこない。基本となるのはタイだ。『ハングオーバー!!史上最悪の二日酔い、国境を超える』『オンリー・ゴッド』でもお馴染みのウィッタヤー・パンシリガームや『闇の子供たち』、『アジョシ』のタナーヨング・ウォンタクーン、「マッハ!」シリーズのニルット・シリンチャンヤー、らタイの名優が出演するので、映画好きは「お、こんな俳優使ってきたんだ」とちょっとくすぐられるかも。
ルパン三世4
ルパン三世はアニメの世界を上手く取り込みながら独自の作品としての世界観作りに成功していると思う。日本の作品でありながらアジアを舞台に広がりをみせるこうした作りは今までの邦画のあり方からようやく視野を広げたもので、その意味ではハリウッド的と言えなくもない。例えば途中で小栗旬の奥さんである山田優がちょい役で登場し、その姿に彼がはにかむなんて演出も、物語本編としては不要ではあるが、ジョーク交じりのサプライズ演出もその一つだ。何が何でもアニメのイメージでないと良いと思えない人には全く向かない作品だが、単純に映画として楽しみたい方には向いている作品だろう。

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ストーリー:絶対に破られることがないという屈指のセキュリティーシステムが敷かれている超巨大要塞型金庫、ナヴァロンの箱舟。手にした者は世界を支配できると伝えられる秘宝クリムゾンハート・オブ・クレオパトラがそこに収蔵されているのを知ったルパン三世(小栗旬)は、天才怪盗として強奪不可能をうたったセキュリティーを突破してやろうと決意。銭形警部(浅野忠信)の追跡をかわしながら、仲間である次元大介(玉山鉄二)、石川五ェ門(綾野剛)と秘宝強奪計画を進めていく。(シネマトゥデイ)