東大オープン成績統計の見方 | 東大国語で高得点を目指すブログ

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東大現代文の過去問20年分の私の解答をこのブログに保存していく予定。
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8月の東大オープンの成績資料の統計がかなり詳しかったので、色々と分析してみた。



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《英語最高点》
文一:107
文二:100
文三:116
理一:106
理二:115
理三:107



《数学最高点》
文一:80
文二:80
文三:80
理一:120
理二:109
理三:115
※文系数学は満点が合計7人。



《国語最高点》
文一:87
文二:83
文三:102(102点が2人、90点台も2人いる)
理一:64
理二:74
理三:79



《地歴最高点》
文一:日本史50、世界史56、地理47
文二:日本史38、世界史50、地理43
文三:日本史44、世界史53、地理49
(※文一・文三は「世界史・日本史」の選択組み合わせが多く、文二は「世界史・地理」の選択組み合わせが多い。)



《理科最高点》
理一:物理51、化学59、生物43、地学41
理二:物理45、化学48、生物48
理三:物理55、化学59、生物56、地学32



《2次4教科総合最高点》
文一:330
文二:316
文三:341
理一:350
理二:367
理三:366


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私も今回、この東大オープンを実際に受けたからよくわかるが、
国語の点数がいくら今回全体的にインフレぎみになってるとはいえ、国語で102点も取れるのは本当にすごいことだと思う。


だって、現代文で最低でも60点中42点は確保してることになる。
東大オープンの現代文の採点はそこまで甘くはなかったはずだ。
(ちなみに私は現代文では60点中41点だった。)



改めて、日本全国には自分にも想像がつかないほどの優秀な受験生が存在するのだなあ、と気付かされた。
地方公立高校出身の私にとっては、ただただ信じられない感覚だ!笑





・・・前置きはさておき、
私は受験生時代、(特に数学の)才能が無いなりに、どのようにすれば才能のある人に点数で追いつけるかについて、かなり入念な戦略を立てていた。


そのために特に最重要視してたのが、
模試の成績表に載っている「統計データ」だ。


この統計データは、うまく使えば、今後かなり有効な戦略を立てられるものなので、
参考までに受験生時代の私がどのような観点で成績統計データを活用してたか、ちょっとブログで皆さん向けに以下に書いてみようと思う。






【数学の成績統計の見方】

まず、数学の問題では、
どの問題で完答しなければならないのか。
これは皆さんが共通して気になってることだと思う。

そして、実は統計データの「とある部分」に着目することで、完答すべき問題がかなり正確に判別できるとしたら・・・?


勿体ぶらずに教えると、
《大問別の「高卒平均点」と「現役平均点」の差を比べてみる》のだ!!!(←ここ重要!!)


なぜかと言うと、
高卒生の出来が良い大問というのは、
基本的に「時間をかけて対策すれば、才能が無い人でも高得点が取れる、努力が報われやすい大問」ということになるからだ。


だから、そのような高卒生の出来が特に良い大問を完答する(または完答に準ずる点数を取る)ことを目標にすれば良いのではないかと思う。


例えば、2017年第1回東大オープンの文系数学の大問別統計データを以下に見てみよう。
↓↓


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・大問1(微積分+図形と式)
現役平均点8.4、高卒平均点9.4、標準偏差5.1

・大問2(確率+数列)
現役平均点4.2、高卒平均点5.7、標準偏差5.7

・大問3(通過領域)
現役平均点4.5、高卒平均点5.9、標準偏差5.8

・大問4(数列)
現役平均点5.9、高卒平均点6.5、標準偏差7.8

※「標準偏差」が高ければ高いほど、差がつきやすい大問ということになる。
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↑の統計データによると、
特に現浪差がついた大問は、
大問2の「確率(+数列)」と、大問3の「通過領域」だ。
(大問1の「微積分」も比較的現浪差がついている。)


だから、これらの問題を完答、または完答に準ずる点数をどう取れるようにするか、という戦略を、
今後考えていけば良い、ということが見えてくると思う。




ちなみに、大問2の確率と数列の融合問題は「文理共通問題」だった。


私は試験直後、「どうやったら大問2の(2)で等比数列を思いつく発想ができるんだろう・・・」などと途方に暮れていたが、
理系の人に言わせると、この種の確率で変数が2つあって等比数列の和を導く問題は実は「典型的な問題」であり、知識問題らしい。

それを裏付けるかのように、
理系数学では、この確率の大問は

・平均点(8.8点)が最も高く、
・現浪差(現役8.1点、高卒10.2点)が一番大きくなっており、
・標準偏差(7.8)も一番高い

という、3拍子揃った「差がつきやすい」問題になっており、完答が求められる要素が揃った典型問題だったことが見てとれる。



また、大問3の通過領域は、
解き方を知ってるかどうかで大差がつく問題であり、
塾や予備校では、この種のタイプは典型問題として大量に解かされるはずだ。
しかし、地方の公立高校ではこの種の問題を演習する機会は少なく、対策が手薄になりがちだ。
そういうわけで、確率漸化式と並び、現浪差が大きくつく原因となっている。
(ちなみに、現浪差がつきやすい分野は、文系の場合だと「確率漸化式」「通過領域」「数学的帰納法」「相加相乗平均」など。)



大問4の数列は、
結果論からいえば、標準偏差が一番大きくなっており、完答してる人も最も多かったと思われるが、
実は不思議なことに、現役と浪人でほとんど差がついていない。

このように「標準偏差が高い」のに「現浪差がついていない」問題は、
「数強が比較的容易に完答するものの、数弱は努力だけでは完答しにくい」という性質を持つ場合が多い。

だから、数弱にとっては実は大問4は必ずしも完答必須問題ではないと思う。
試験会場で5分か10分考えてみて、やり方が思いつかなければ、早々に見切りをつけて答え(必要条件)だけ予想して書いて、
他の大問に時間を回すのが一番良い戦略かもしれない。
(ただし、試験後の復習はちゃんとする。)

一方で、数強にとっては、この大問4は一番楽に完答できる可能性が高いので、
さっさと完答して他の大問に大量の時間を費やすことが基本的な戦略になってくると思う。

このように、大問4に関しては、
数弱と数強では、試験会場でのアプローチの仕方が全く異なってくるんじゃないかと考えている。
これも、現役平均点と高卒平均点と標準偏差を比べてみることからわかってきたことだ。



ところで、
中位層に関しては「現浪差がついている大問」(と「標準偏差が高い大問」)で点数を取ることを目標にすればいいことになるけど、

上位層に関しては、上記のような大問はみんな満点近く取ってくるので逆に差がつかなくなる。

だから上位層はむしろ「現浪差がついていない大問」(と「標準偏差が低い大問」)でどのように差をつけるかが今後の課題になってくると思う。
例えば、東大実戦の文系数学第3問や第4問などがそれにあたる。





②国語の成績統計の見方

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・大問1(評論)
現役平均点17.4、高卒平均点18.2、標準偏差4.8、文系最高点33点

・大問2(古文)
現役平均点10.4、高卒平均点11.0、標準偏差4.2、最高点30点

・大問3(漢文)
現役平均点18.7、高卒平均点19.0、標準偏差4.1、最高点30点

・文系大問4(随筆)
現役平均点7.5、高卒平均点7.5、標準偏差2.9、最高点19点

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これも数学と同様、
現役平均点と浪人平均点の差がついている大問が、努力と時間を費やせば点数が伸びる大問ということになる。

とはいっても、さすがに数学と比べると現浪差の幅は全体的に小さくなっている。

古文と漢文の標準偏差が、思ったより小さい。
いつもなら、古文と漢文は標準偏差がもっと大きく、現浪差ももっと大きめに出るはずなのだが。(特に漢文)

これは古文はやや難しすぎて、逆に漢文は易しすぎて差がつかなかったことが原因だろう。
(ちなみに、これではマズいと思ったのか、古文の採点基準は非常に甘く、漢文の採点基準は少し厳しいものになっていた。)



なお、余談だが、
あの駿台の東大実戦の文系第4問の随筆は、
面白いことに「浪人の方が現役より逆に平均点が低くなっている」という逆転現象が起きていた。





③英語の成績統計の見方

これも数学と同じく、
現役平均点と高卒平均点を比べてみればいい。
すると、4Bと5で比較的現浪差がついていることがわかる。
(とはいえ、数学ほど明確に大問差があるわけではないけど。)

1Bはなぜか現役の方が浪人より出来が良いが、
これは浪人の人は大問をどの順番でやるかという戦略を明確に持っていて、1Bを一番最後に解いている人が多いからだと推察される。





以上、こんな統計データの見方をしてる奇特な人も一応いるよ、ということで、
少し参考にしていただけると嬉しいです!