あきらめない、くじけないー脳卒中リハビリに朗報 | ホームホスピス われもこう

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熊本にある介護施設「ホームホスピス われもこう」のブログです。


 脳卒中リハビリについての最新情報です。
 脳梗塞、脳出血、くも膜下出血という三つのタイプをまとめて脳卒中と言いますが、この脳卒中は日本人の死因統計をひもとくと第二次大戦後のある時期まで、死因の第一位を占めていました。今ではガンが一位、心臓疾患が二位となりましたが、三位の座は保っています。

 そんな脳卒中は、命取りになることもかつては多かったのですが、救急車の普及をはじめとして、救急医療が大幅に進んだことにより、ガンに死因一位の座を譲ったのですが、かりに一命をとりとめたとしても、患者本人のQOLを著しく低下させるという点で、予断を許さない疾患であり続けています。

 手足の麻痺や舌、両手足の筋肉のつっぱりなどの後遺症が残ることが一般的で、介護が必要になるケースが少なくありません。このような状態に対して、脳卒中を発症して半年を経過すると、麻痺した手足の機能をまざましく回復させることは困難である」というのが学会でも、臨床医のあいだでも通説でした。

 しかし、患者があきらめたり、くじけたりせず、前向きに進んでいけるような希望の灯がかかげられ始めました。その際、鍵を握るのはリハビリです。最近、リハビリの専門領域から新しい二つの方法が提案されました。

 ひとつは「電気刺激療法」です。これはTMSと略称される「経頭蓋磁気刺激」(けいとうがいじきしげき)を施して手足を動かしやすい状態に持っていきつつ集中的に作業療法を行う方法のことです。

 もう一つは「促進反復療法」です。
 脳卒中の結果、脳の神経組織が壊れます。すると運動機能を司る脳細胞のある部分から出た電気信号が遮断されてしまします。この電気信号が遮断されると、信号に従って動くはずの手足の筋肉は動かず、マヒということになるのです。
 この療法の要点は次のとおりです。患者が たとえば「手を動かそう」としたまさにその瞬間を捉えて、その動きを実現する筋肉を医師やPT・OTなどの施術者が刺激してあげます。すると別の神経回路の興奮が高まり、信号がその神経回路を伝わります。この作業を根気よく繰り返せば、効率よく回路が強化され、その結果、楽に手を動かせるようになります。

 あきらめない、くじけない。周りの人がそれを根気よく応援していくと、不可能に思われていたことも実現していきます。

                                      (南風)