一柳昴:【第3話/毒牙】 | べちー子’s駄文保管庫

べちー子’s駄文保管庫

駄文保管庫です。
メインはこちらです。

徒然なるままに
http://ameblo.jp/xxbetty2xx/

~夜~

ホテルに戻ってきた昴と瑞を心配そうに出迎えるSP達

桂木「瑞さん、無事でよかった・・・」

沙織「あっ、瑞さん。どこに行ってたの?心配したのよ」

エレベーターから降りてきた沙織は瑞へ駆け寄ってきた

昴「おまえ、瑞と一緒にいたんじゃないのか?」

沙織「だって、瑞さん途中でいなくなっちゃったから、先に帰ったんだと思ったの」

その表情に心配している様子は感じられない

瑞貴「とにかく、瑞ちゃん今日は休んだほうがいいよ」

昴「そうだな、部屋まで送るよ」

沙織「昴は私の部屋にきて!」

昴「はぁ?」

沙織「高級ワインを取り寄せたから、付き合ってほしいの」

昴「おまえ、今の状況わかってんのか?」

沙織「あなたこそ自分の状況わかってるの?私の警護を途中でほったらかしてどっか行っちゃうから、

一人でホテルに帰ってきたのよ?警護対象を1人にするなんてSP失格じゃない?それを無かったことにしてあげるって言ってるの」

昴「どこまでもムカつく女だな。おまえ」

桂木「昴!」

昴「ワインぐらい付き合ってやるよ。瑞を部屋に送ったあとでな・・・」

沙織「待ってるから、早くしてね♪」


昴は苛立ちを抑えきれず、足早に瑞をつれてエレベータホールへ向かった




~瑞の部屋~

瑞「昴さん。なんで、私の居場所がわかったの?」

昴「ああ、これのおかげだ」

昴の指が瑞の耳にふれる

瑞「ピアス?」

不思議そうな顔をする瑞の耳には昴から送られた小さなダイヤのピアスが光っている

昴「これ、発信機になってんだ。なんかあったときのためだったけど、役に立ったな」

昴「座ってろ、今、コーヒーいれてやるから」

部屋に据え置きのコーヒーを準備する昴に後ろから抱きつく瑞

昴「・・・瑞?」

瑞「・・・昴さん、沙織さんの所に行かないで・・・」

瑞と向き直りオデコをコツンとあてる

昴「ばぁーか。なに心配してんだよ」

昴「おれが愛してるのはおまえだけだ。心配するな。何もおこらねえーよ」

瑞「・・・でも、昴さ・・・ん・・・・」

急にキスをされて言葉につまる

昴「それとも、おまえそんなにオレが信用できねえの?」

瑞「・・・そんなわけ・・・あっ・・・」

昴の唇が首筋につたうのに感じてしまう瑞

昴「愛してるって言え」

瑞「え?」

昴「言わねえと、見えるとこにキスマークつけるぞ。明日は公務で会食だったよな・・・」

意地悪く耳元でささやく

瑞「・・えっ、ちょっと、やだ・・・」

抵抗しても腕から逃げることができない

昴「ヤダ、じゃねえ。愛してるって言え」

瑞「・・・・・あいしてる」

昴「よしっ」

消え入るような声にやっと手を離してくれる

昴「ほら、コーヒー飲め。小一時間ほどあの女に付き合ったらまた戻ってくるから」

瑞「ひゃっ!」

不安げな瑞の耳元をなめて、ささやく

昴「覚悟しとけよ、戻ってきたら朝まで寝かしてやんねーよ」

イジワルな笑顔を浮かべて昴は部屋から出て行った




~沙織の部屋~

コンコン

沙織「遅いじゃない!」

昴「・・・おまえ、なんだよ、その格好」

沙織「あんまり遅いからシャワー浴びてたの。中に入って」

ほのかにシャンプーの香りがするバスローブ姿の沙織。挑発的に胸元があいている

昴「どうでもいいけど、胸元もうちょっと隠せ」

沙織「そそっちゃう?」

昴「全然、目障りなだけ。おれは瑞にしか欲情しねーし」

沙織「どこまでそんな強気でいれるかしら。まあ、いいわ、座って。ワイン飲みましょ」

部屋の置くのソファーに2人は向かいあって腰掛ける

沙織「どお?このワイン?」

昴「まあまあじゃねーの」

沙織「昴はお酒強いの?」

昴「まあまあじゃねーの」

始終不機嫌そうに受け応える昴、ワインが半分ほどに減った頃・・・

昴「そろそろ戻るわ」

沙織「まだいいじゃない。ワインも半分残ってるわ」

昴「一旦控え室に戻らねーと、桂木さんに怒られんだよ」

ソファーから立ち上がった昴はめまいを感じてふらつく

沙織「ワインで酔ってしまったのね。座って休んだほうがいいわ」

昴(・・・酔う?・・たったあれだけで?・・オレが?・・・)

沙織「・・・効いてきたようね」

昴(・・効いてきた・・?ダメだ・・気が遠くなる・・)

沙織「言ったでしょ?どんな手を使っても手に入れるって・・・」




ベッドに仰向けに寝ている昴

沙織「こんな手は使いたくなかったけどね。ふふ」

昴のネクタイを緩め、シャツのボタンを外し引き締まった体を見て、顔を胸にうずめる

沙織「昴って着やせするタイプなのね・・・」

昴の首から胸に指を滑らせ、そのままベルトに手をかける

沙織「いくら婚約してても、既成事実ができてしまえばあなたもあなたのお父様も立場上認めざる負えない」

沙織の手がベルトにかかる・・・

コンコン

沙織「誰?」

桂木「桂木です、昴がこちらにお邪魔してませんか?」

沙織「昴ならさっき帰ったわよ」

ドアを開けた途端に強引にずかずかと部屋にはいる桂木

沙織「ちょっと!勝手に入らないで!」

桂木「いゃあ、私の部下が戻ってこないので、もしかしたらこちらにお邪魔してるんじゃないかと思いましてね」

沙織の制止を気にもせず営業スマイルで奥に進む桂木

桂木「ああ、やっぱりここにいたか。こら、昴。沙織さんの部屋で寝るなんて無礼にもほどがあるぞっ」

昴の腕を肩にまわして腰をささえながら立ち上がる

沙織「あなた自分の立場わかってるの!たかがSPのくせに許可もなく部屋に入るなんて!お父様にいいつけるわよ!」

桂木は立ち止まってゆっくりと沙織の顔を見た

桂木「あなたこそご自分の立場を理解されたほうがいい。今すぐ鑑識を呼んでそのグラスの中に入っている薬を割り出してもいいんですよ?」

沙織「・・くっ・・」

桂木「大臣の娘がSPに薬をもってワイセツ行為なんて、公になったら、困るのはご自慢のお父様では?」

冷たく見据えながら低いトーンで喋る桂木の気迫に沙織は言葉がでない

桂木「では、私の部下が失礼をしました。おやすみなさい」

重い空気を打ち破るように営業スマイルにもどり、部屋を出て行く

沙織「おぼえてらっしゃい・・・この屈辱。忘れないわよ・・・」