べちー子’s駄文保管庫

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徒然なるままに
http://ameblo.jp/xxbetty2xx/

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ありがとうございます。

これから駄文は主にこちらで更新します。
こっちでアップした駄文は下記のブログでもアップしてるので、
よろしければそちらにどうぞーん。




徒然なるままに
http://ameblo.jp/xxbetty2xx/
続編でーす。
お楽しみくださーい。

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夜遅くに原田さんは帰ってきた。
玄関まで出迎えるとおみよさんが寄り添っていて、ちくりと胸が痛んだ。
おみよさんを家まで送る途中に厠の為に屯所に寄ったそうだ。
原田さんが厠へ言っている間の沈黙が重苦しい。

沈黙を先に破ったのはおみよさんだった。

「あなた、女でしょう」

驚いて固まる私に、おみよさんは鼻で笑うように続ける。

「やっぱり。そうだと思った」

女であることがばれた?!
何故原田さんがいない時に聞くの?相手の意図がわからない。

「悪いけど、左之助さんは私がもらったから」

胸の中にどす黒い感情が渦巻きはじめる。

「単純な男よね。ちょっと誘ったらすぐその気になるんだもの」

聞きたくない。心が否定する。

「どんなことしたか、詳しくおしえてあげましょうか?」

唇を舌で舐めながらいやらしい笑みを浮かべる。我慢の限界だった。
気がついたらおみよさんの頬を平手打ちしていた。
彼女は一瞬にやりと笑うと、ぽろぽろと泣き出した。

「何やってんだ」

原田さんが足早にこちらにやってくる。

「千鶴、なんで叩いたんだ」

おみよさんが泣きながら原田さんに抱きついた。

「もう屯所には来るなって言われて、訳を聞いたら叩かれて・・・」

「嘘!おみよさんが原田さんの事を悪く言うから!」

声が大きくなり、語尾が強くなる。
何故だか苛々した感情が入り混じる。

「助けてもらった恩人の悪口を言うはずがないじゃないですか」

しおらしく話す彼女が余計に腹立たしかった。

「千鶴、お前そんなに嫌な奴だったのか」

「違う!原田さん、聞いてください」

原田さんが私を睨んでいる。私が疑われてる。

「千鶴、お前はもう部屋に戻れ」

「原田さん、聞いてください」

半分泣き声になりつつも訴えたけど、原田さんには届かないようだった。
ぐいっと腕を引っ張られ部屋の前まで連れて行かれた。
そして私の顔も見ずに玄関へ向かってしまった。

おみよさんを送りに行って半刻ほどしてから原田さんは戻ってきた。
話を聞いてもらおうと出迎えた私にむけられたのは冷たい視線だった。

「千鶴、もう俺とおみよにはかかわるな。絶対にだ」

「・・・・はい」

返事をするのが精一杯だった。
何かが壊れていく気がした。
原田さんのやさしい微笑みは二度と私に向けられることがないんだ。
考えれば考えるほど、息苦しいほどに胸が押し付けられた。
視界がにじみ、涙が床を塗らした。

【再アップです】

左之助小説を書くと言って早3ヶ月。
亀更新にもほどがあるねガクリ
とりあえずノロノロとまた書き始めたYO!
お楽しみいただけたらうれすいーです。

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鍋がコトコト音をたてて部屋には味噌汁のいい香りがただよっている。
人数分の魚を皿によそって、私はふうっと一息ついた。

「あとは・・・。わけぎを切っておわりかな」

軽く背伸びをしてふたたび作業にもどろうとすると、
遠くからドタドタと誰かが走ってくる音が聞こえる。
その音は台所の前までくると、スパンと勢いよく引き戸が開いた。

「わりぃ!寝坊しちまった」

目の前で手をあわせて軽く拝むようにしている原田さんが立っていた。

「もう、ほとんど出来てますから大丈夫ですよ」

原田さんはほっとしたように表情をゆるめて台所に入り私の横に立った。
トントンと小気味よいリズムでわけぎを刻む私を柔らかな表情で眺めている。

「千鶴はいい嫁になるな」

突拍子もないことを言われて動揺した私の心を表すかのように、
包丁は見事に私の指をかすってしまった。

「・・・・っつ」

「大丈夫か?!」

原田さんがあわてた感じで私の手をとって口に含んだ。
流れ出る血をなめる感触が直に伝わってきて頭に全身の血が逆流する。

「血は止まったようだな」

傷口を見ながら原田さんは笑った。

「み、味噌汁よそいますね」

きっと真っ赤になっているであろう顔を見られない為に少し距離をとった。
でも、胸の奥がじんわりと熱くなっているこの感じはきらいじゃない。
味噌汁をよそいながらちらりと見ると原田さんは視線に気づいて微笑んでくれる。
この時間がずっと続けばいいのにな。
無意識にそう思った。

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朝餉の後、土方さんに使いを頼まれて屯所に戻ってくると、
町娘らしい女性が入り口で中をうかがっている。

「あの、何か用事ですか?」

話しかけると少し驚いた様子を見せたが、すぐに笑顔で答えた。

「私、おみよと申します。原田左之助さんはいらっしゃいますか?」

確か原田さんは巡察に出てるはず・・・。
伝言を受けようかと思ったところへちょうどよく原田さんが帰ってきた。

「よう、千鶴。こんなとこで何やってんだ?・・・あれ、お前は」

「原田さん、お礼に参りました」

なんとなく居辛くなってその場を離れた。
屯所に入る前に二人を見ると楽しそうに話してる。
おみよさんは頬を赤らめて時折原田さんの身体に触れているし、
原田さんもまんざらじゃなさそうだ。

「左之さんはほんっと女にもてるよなぁ」
「全く。俺と大して差はないと思うのにあいつはもてるよなぁ」

いつの間にか平助くんと永倉さんが後ろにいた。

「あの女性、原田さんにお礼を言いにきたそうです」

「あぁ、前に不逞浪士に絡まれてたのを助けてやったらしいぜ」

興味がないのか平助くんと永倉さんは屯所の中に入っていってしまう。
胸が痛くなるような感じを抑えながら私も屯所にはいった。