新人圧勝 | ゆんたの妄想ブログ

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「18歳ボクサー、プロデビュー戦快勝!!ベテランボクサー屈辱のKO負け!?」
とあるスポーツ新聞の一面を飾った記事の見出し。内容はいたってシンプルなものだがその衝撃は大きかった。高校を卒業したばかりの若者が、ボクシング歴10年のベテランをKOしたのだ。
高校一年にてボクシング部主将に抜擢されており、高校時代出場した大会はすべて優勝。それもすべてにおいてKO勝利。出場した大会数こそ少なかったが、その強さは知らないものがいないほどで、全国でも有名であった。また、母校を首席で卒業し、全国模試においては常に全国トップ10入りという高校始まって以来の天才。高校は大学進学を勧めたが本人にやる気がなく、スカウトされていたボクシングジムに入った。
高校卒業と同時にプロライセンスを獲得。試験スパーでは対戦相手を一ラウンド一分で失神KOと異例の事態だった。しかし、本人にやる気が見れなかったため、ジム側がボクシングの厳しさを思い知らせようとかなり各上(と思われる)ボクサーとの試合を組んだ。それが今回の試合であったが、結果は誰もが予想していなかった結果に終わった。
「お前もう少し打やる気を見せないか!ほかの練習生に示しがつかんだろ!」
 真面目に練習をしないさまに、いい加減業を煮やしたのか会長が声を荒立てた。
「練習をやろうがやらまいが俺の勝手だろ?」
「そんなことでは試合に勝てんぞ!」
「じゃあその試合ってやつを早く組んでくれよ。」
「な!?おまえ・・・。」
 フルフルと震える会長。
「会長。ここはこいつの言う通り試合を組んでみては?」
「お前までなにを!?」
「『試合に負ければこいつも考えを改めますよ。』」
「『そうだといいが・・・』わかった。お前の言う通り試合を組む。対戦相手はこちらで決める。あと、減量等はトレーナーの指示に従ってもらうからな!」
 ぼそっとつぶやいたトレーナーの一言にしぶしぶうなずき試合を組むことにした会長。
「了解。ま、試合ができんだから贅沢は言えねぇよな。」
「じゃあ詳しいことを決めるから隣の部屋まで来てくれ。」
「『頼んだぞ。』」
「『はい。』」
 そうしてデビュー戦の準備が着々と進められた。もともと才能もあったため練習、減量もそつなくこなしていく。特に大きな問題もなく試合当日。対戦相手はボクシング歴10年のベテラン。勝率も6割強とそこそこの戦績である。また、30歳を超えたにも関わらずその体はなかなかのもので、顔も整っており女性ファンも少なくない。
「さぁ始まりました本日の試合!本日はなんと、18歳の若者の初々しいプロデビュー戦!その新人は高校時代なんと無敗!!なかなか将来有望な選手です!対して、その新人を迎えるのは、ボクシング歴10年のベテランボクサー!年齢を感じさせない肉体!その顔から女性ファンも少なくない!新人にはなかなか厳しい相手ですが、いったいどういった試合になるのか楽しみです!」
「いいか、各上だから気を抜くなよ!」
「はいはい。(どうせ勝てないとでも思ってんだろうな。ま、調べたが勝てない相手じゃねぇな。)」
「さぁ!では選手が入場してきます!青コーナー!全身をローブで包んでの入場です。いったいどんな体をしているのか!そして、赤コーナー!いつもの赤いローブを羽織り、そのたくましい肉体をさらしております!そして、すさまじい歓声です!男性だけでなく女性からの歓声もかなり届いています!このアウェーな中どう立ち回るのか!?」
「今回はなかなか面白い対決になりそうですねぇ。高校無敗の新人か、ベテランの強さを見せつけるのか。」
「さて、両者リングに上がりました。あいさつを済ませ、ベールに包まれた新人の肉体が、今、明らかになりましたーー!」
「ほぉ。なかなか良い体してるじゃねぇか。高校無敗もうなずけるかもな。」
「すごい肉体です!高校を卒業したばかりのものとは思えません!もはやプロも見入ってしまいそうな体です!」
「俺も正直あの体には驚きました。鍛えれば鍛えるほど、見る見るうちに成長していく。思わず鳥肌が立ちましたから。」
「では、試合を始めてもらいましょう!高校無敗の新人か、ベテランの強さか!」
「試合開始!」
「おーっと!新人一気に仕掛けた!」
「な!?」
「悪いが、あんたは眼中にないんでね。さっさと終わらせてもらう。」
「ふ、なめられたもんだ!」
「さすがベテラン!冷静に対処しています!」
「さすが、というべきか。高校無敗は伊達じゃないってことか。」
「上から目線か。ま、しょうがねぇか。だが、いつまでそうやっていられるかな。」
「いつまでって、この試合が終わるまでだ!」
「す、すごいことになっております!両者ともに一歩も引きません!さらにすごいのは新人!ベテランボクサーと対等に渡り合っております!」
「司会の目は節穴だな。手加減してやってるのがわかってねぇ。」
「へぇ。手加減してんのか。どうやったら本気で来る?」
「お前がさせてみな。」
「上等。後悔すんなよ。」
シュシュ!ビュン!
「くっ!」
「どうした?さっきから全然手が出てないぜ?」
「なめるな!」
 ブオン!
「やればできんじゃねぇか。」
「あまり調子に乗るなよ。」
「そろそろ本気で来る気になったか?」
「ああ。本気で潰してやるよ。」
「がっかりさせんなよ?」
「上等だ。」
「おっと。あまりの攻防にわたくし司会の役目をすっかり忘れておりました!しかしこの試合、役目を忘れてしまうのも納得してもらえると思います!激しい!激しすぎる!この新人、本当に高校卒業したばかりなのか!?ベテラン選手もこれには驚きが隠せないようです!」
「どうしたよ、ベテランさん。さっきから掠もしねぇぜ?」
「ハァハァ。こいつちょこまかと。」
「息もだいぶ上がってるようだし。もう年なんじゃねぇの?」
「はっ、まだまだ余裕だ!」
「その割にはだいぶ動きが鈍くなってるんじゃね?」
「気のせいだ、よ!」
 ブン!バキッ!
「へへ。」
「な・・・。」
「なんと!新人のストレートがベテラン選手の顔にクリーンヒットーーー!これはまさかの展開です!思わずよろけるベテラン選手!これは痛い!」
「ただのビギナーズラックだろが!」
「そうかな?」
「ベテラン選手反撃とばかりに攻める攻める!!新人防戦一方です!」
「おらおら!手ぇ出して来いよ!」
「こうか?」
シュッ!バシ!
「がっ!」
「またもヒットーー!!ベテラン選手早くも二発目をもらってしまったーー!」
「(馬鹿な!こうも簡単にもらっちまうなんて!?)」
「どうした?言われたとおりに手ぇ出しただけだが?」
「くそ(こいつ本当に18歳なのかよ!?)」
「そっちから来ないなら今度はこっちから行くぜ?」
「!?」
シュシュ!ビシッバシ!
「おっと、今度は新人が攻める攻める!!ベテラン選手これにはガードを固くして耐えるしかないのか!!」
「そんなに丸くなってちゃ、自慢の顔がファンにみえないだ、ろ!」
ボグン!
「っ!」
「あーっと!ベテラン選手のレバーにクリーンヒットーー!たまらず新人にクリンチだー!」
「ぐは(なんだ、こいつのパンチ力!?半端じゃねぇ!?)」
「どうしたよ。まさか一発でグロッキーか?(高校とは違い、布ごしじゃねぇから感触良いし、めり込みも見れてプロってのはサイコーだなぁw)」
「へ、少し油断しただけだ。」
「んじゃもう一発!」
ドボォ!
「ぶっ!」
「新人選手クリンチにもかかわらず、 間髪入れず至近距離から鳩尾にボディアッパー!」
「さすがってか、今のパンチ結構力入れてたのにそんなにめりこまねぇなんて。」
「んぐ。(そんな、10年以上鍛えあげてきた俺の腹筋がこんな子供に!?)」
「ブレイク!」
「(やっぱ格上いたぶるのってマジ楽しすぎだろwつぎどうすっかなぁ。)」
「(こんな新人にいいようにされて黙ってられるか。こうなったらマジで本気でいくしかねぇな。)」
「?(なんか雰囲気が変わった・・・。やっと本気の本気ってことか。いいぜ、その本気をも凌駕してぶっ倒してやるw)」
「今度はベテラン選手が攻める!」
シュバッ!ビュッビュ!
「くっ。(なるほど、さっきまでとは確かに違うな。)」
「シッシ!」
ビッビ!ブン!ドズ!
「ぐっ!」
「今度はベテラン選手のボディーブローが炸裂――!」
「(こいつ、ボディも相当鍛えてやがる!?)」
「ふん。その程度じゃ効かないっつーの!」
ドボォ!
「んぐっ!かはっ!・・・こ、の!」
「ブローの応酬だー!!どちらが先に折れるのかー!?」
 ドスドス
「ん、く。さっきよりいいもん打つんじゃねぇか。が、その程度じゃ効かない、ぜ!」
ズンム!
「はうっ!あぐ、くそ!」
 ズド!
「効かねぇな。その筋肉は見かけ倒しか?」
「な、めるなよ!」
ドゴォ!
「ぐっ。は、いいパンチだ。やればできんじゃねぇか。けどよ、ボディーブローってのはこう打つんだ、よ!」
ドボォッ!
「うぶぇ!ぁ・・・ぐは。はぁはぁ・・・。(こんな、ことが・・・。)」
「そろそろ限界か?」
「はぁ、はぁ。まだ、まだーー!」
ブオン!!ドボォ!ミチミチ!!メリッ!
「あーー!!新人のレバーブローがカウンター気味に決まったー!体がくの字に折れ曲がるー!これはきつい!」
「げぼぉっ!が・・・ぁ。(さっきまでとは違う!?なんつう威力だ!?)」
「もろカウンターでもらっちまったなぁ。(この絶望にゆがん表情。腹のゆがみ具合、サイッコーだなぁw)」
「う、ぁ・・・げぷぉ!(こいつ、笑ってやがる!?)」
「レバーはきついだろ?けどやっぱこっちのがいいよなw」
「?」
 ドッボオオォォオオーーー!!
「はぉう!!!げぁ・・・ごぶぇ!!!」
「へへ。(やっぱ、ボディーブローのがきもちいいぜ。めり込み具合はレバーの比じゃねぇからなぁw)」
「ボディーの応酬に勝利したのは新人!?なんということでしょう!新人選手の拳がベテラン選手のボディーに深々と突き刺さっております、ベテラン選手たまらずその腕にしがみついたー!」
「どうだ、格下の俺にボコボコにされて。」
「うぐ・・ごぷぇ!(やば、なんか上がってくる!?)」
「自慢の腹に拳が突き刺さるのはどんな感じだ?なぁ?」
グリュッ!
「はう!ぶはっ!」
「ベテラン選手たまらずマウスピースが口から吐き出されたー!これはかなり効いているようだー!」
「そんなに顎突き出して。狙ってくれって言ってるもんだろw」
ズポ!ガゴン!
「がっ!」
「 新人選手とどめとばかりにアッパーを放ったー!これで決まったかー!おぉーっとなんとまだ終わりではないようです!新人選手腰を引いて・・・これはまさか!」
ドボォォォォ!
「!!っ!ぶおぇぇ!」
「ボディーだー!がら空きになったベテラン選手のボディーに新人選手の拳がこれでもかというほど叩き込まれたー!!えげつない!アッパーで決まったかと思わせながらまだ狙ってくるとは!」
「なかなか楽しかったぜ、先輩。」
「な・・・!」
「会長。どうしましょう。」
「どうしたもこうしたも・・・。うれしいような悲しいような中途半端な気分だ!」
試合後控室
「会長、トレーナー。プロの試合って楽しっすねw」
「!・・・・(こいつ、こんな風に無邪気に笑うのか!?)」
「各上とかボコるのまじ快感w」
「・・・(前言撤回だ、こんな表情までできるとは。あなどれん。が、今後期待なのは確かなのかもな。はぁ~。)」