副部長と呼ばれたその男。金髪にピアス。第二ボタンまであけ、すそをズボンから出しているラフなカッコ。腰パンをしているのか、足すそが破けているのが分かる。
「あれ?部長どないしたんすかぁ?去年みたいに派手にぶっ倒れとるやないっすか。」
「ふ、副部長。」
「あ?」
「その、彼が部長を・・・。」
「へぇ~。お前が部長をやったんか・・・。」
「な、なんすか。」
「い~や。ほなせっかくやしワイともやろうや、ボクシング。」
「いいっすけど。先輩本当にボクサーなんすか?」
「おいおい、人を見かけで判断したらあかんで~。おかんに教わらんかったんか?」
「いや、そういうわけじゃないっすけど・・・。」
「まぁ正直んなことどうでもええねん、ちと準備するさかいまっとってーや。」
「あ、はい。」
そして数分後。
「すまんすまん。待たせたな。」
そういって戻ってきた副部長。その格好は金髪をカチューシャでオールバックにし、ピアスをはずし、タンクトップにボクサーパンツというものだった。おそらくシャツの下に来ていたものであろうタンクトップ。急いできたのか少し汗が染みていた。そして、シャツを着ているときは分からなかったが、タンクトップを着ていても分かるほどその胸板は分厚く逆三角形の体の中心には腹筋の凹凸が見てとれた。
「副部長はタンクトップ脱がないんすか?」
「なんや自分。そんなにワイのスーパーボディが見たいんか?w」
「え、いや、そこまでは・・・。」
「しゃあないなぁ。ほな特別に見せたろやないかwちょっと手伝ってくれや。グローブしたまんまじゃ脱がれへんしな。」
「いえ、そこまでは言ってないんすけど・・・。」
そんな新入部員の言葉は軽く流してタンクトップを脱ぐ副部長。
「す、すげぇ・・・。」
自らスーパーボディと評するだけあってその体はすばらしいものだった。逆三角形の体。胸筋は見るからに硬そうで、その下にはタンクトップのときは六つしか見えなかったが八つの島が窮屈そうにひしめき合っていた。部長ほどのパワータイプには見えないが、新入部員よりは明らかに鍛え上げられていた。
「ほな初めよか。」
パンパン!とグローブを鳴らし構える副部長。新入部員は若干眉をひそめた。
「なんや自分。サウスポーとやるんは初めてか?」
「うっす。初めてっす。」
「ま、数的にはそない多くないからなぁ。ま、ええ経験やろ。せいぜい楽しませてくれや。」