☆___________「財界」日本経済を斬る!!! -7ページ目

前CEOのストリンガー氏が退任 エレキ復活託されるソニー・平井体制

事業や資産の見直しは想定以上に進んでいるが……



2012年3月期に過去最大の赤字を計上したソニー。13年3月期は一転して黒字に浮上する見通しだが、就任1年、ソニー再建に奔走する平井一夫社長兼最高執行責任者(CEO)も「本丸」のエレクトロニクス部門の再建は道半ば。前CEOのハワード・ストリンガー氏が6月に取締役会議長から退任する中、「ヒライズム」をどこまで浸透できるかが試される。



平井体制以降、構造改革の速度は確実に上がっている。1万人の人員削減、ニューヨーク本社ビルとJR大崎駅前のビルの売却、岐阜県のカメラ関連の工場の閉鎖。電池事業の切り出しの検討。電機業界に詳しいアナリストは「事業や資産の見直しは想定以上に進んでいる」とリストラの進捗を評価する。



ただ、気がかりなのが本業のエレキ部門の不振。今期の黒字転換を見込んでいたが、赤字が確実な情勢。携帯型ゲーム機やコンパクトデジタルカメラは四半期ごとに販売計画を下方修正する苦境が続く。



「音楽畑出身で製造業のマネジメント経験がない平井さんにエレキ部門の舵取りは重荷。前任者でテレビ業界出身のストリンガー氏と同じ道を辿る」との指摘は就任前から少なくなかった。だが、ソニー関係者は「平井さんの印象は就任後に大きく変わった。積極的に現場を知ろうとしている」と語る。


例えば、ストリンガー氏は研究開発の拠点の厚木テクノロジーセンターには7年間で1度しか訪れなかったが、平井氏は就任後の半年で3度も訪れたという。また、OBなどにも意見を広く求める姿勢はストリンガー体制とは大きく異なる。



ストリンガー氏の退任は社内では「平井さんが退任を迫った」と噂される。「ハワードのお気に入り」と揶揄されてきた平井氏だが、自らの手で名実共に平井体制を敷いた今、「ソニーらしい」ヒット商品を早期に市場に送り出せるかがこれまで以上に問われる。



日本が資源国へ?愛知県沖で海洋ガス産出に成功

待望の「国産資源」 開発コスト削減が課題



「ガス産出には成功したが、今後は1本の井戸からどれだけ産出できるか、寿命はどれくらいか、開発コストはどれくらいかかるかという事業性を検証することが大事になる」と話すのは石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の関係者。



2013年3月12日、政府は愛知県沖で進めていたエネルギー資源「メタンハイドレート」から、天然ガスを取り出す生産試験に成功したと発表。



メタンハイドレートとは、メタンなどの天然ガスが水と結合してできた、固体の結晶のことで、天然ガスの一種。火を近づけると燃えるため「燃える氷」とも呼ばれる。陸上では北極や南極のような永久凍土、海洋では水深500㍍より深い場所にだけ存在する。試験は、JOGMECなどが国の委託を受けて行い、地球深部探査船「ちきゅう」などを使って生産した。



これまでメタンハイドレートは、前述のような永久凍土からは産出した例があったが、海底からの産出は世界初のこと。今後は2018年度を目途に、実用化に向けた技術開発を行う。



「現在、日本が天然ガスを輸入しているカタール、オーストラリアなどと比べても負けないくらいのコスト競争力がないと意味がない」(JOGMEC関係者)と意気込む。



日本はこれまで、無資源国としてエネルギーを海外からの輸入に依存してきた。準国産エネルギーとして推進した原子力は、11年の東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電所の事故によって縮小。



日本近海に埋蔵されるメタンハイドレートは100年分とも推定される。これを天然ガスとして使うことができれば、日本は国産資源を持つことができるという大きな意義がある。



アメリカも、存在は確認されながら、長く開発されてこなかったシェールガス開発で製造業回帰の現象も出現。JOGMECは「すぐにシェールガスのように、ガス価格を変えるところまでいくかどうか」と慎重だが、資源国との価格交渉の材料にはなり得る。



今後は技術開発に加えて、コスト低減が大きな課題となる。



日本商工会議所会頭に新日鐵住金相談役・三村氏が就任へ

財界きっての論客で、国際派



「三村氏は中小企業の国際競争力、ITについて問題点を共有している」と話すのは、日本商工会議所会頭の岡村正氏。



2013年3月14日、日本商工会議所は、今年10月末で任期を終える岡村氏の後任に、新日鐵住金取締役相談役の三村明夫氏を充てる人事を発表した。


岡村氏は07年から6年の任期を全うする。6年の間に、08年のリーマン・ショックや、11年の東日本大震災など、様々な困難に直面したが、円高下での中小企業の振興策を政府にも強く働きかけ、陣頭に立って「日本産業の裾野は中小企業が支えている」と訴えてきた。



ある副会頭の1人は、「何と言っても岡村会頭の人柄です。景気が厳しい時、円高の圧力が高まっている時、何とかしなければという思いで頑張ってこられた。何より腰が低い人柄。全職員が一丸となって動いてきたのが大きい」と評価する。



また、東京商工会議所の会員獲得についても岡村氏は尽力。ひと頃、会員数が7万人近くに減っていたが、昨年盛り返し、約7万6300人にまで増やした。「商工会議所に入って、一緒に前に進んでいこうという空気をつくった」との評価。



財界きっての論客である三村氏を会頭として送り出す新日鐵住金社内は歓迎ムード。全社で支える意向だ。三村氏は常に経団連会長候補として取りざたされながら就任には至らなかっただけに、満を持しての「財界トップ」就任である。



日商会頭が決まり、財界人事の次の焦点は経団連会長人事にも移る。


会長の米倉弘昌氏の任期は来年6月までで、あと1年余りを残す。現在、候補として名前が取りざたされているのは、経団連副会長を務める三菱商事会長の小島順彦氏や、日立製作所会長の川村隆氏など。



また、来年6月で相談役に退くことを明言している東芝会長の西田厚聰氏の可能性も残るという声もある。その場合、経団連副会長、東芝副会長に就任する佐々木則夫氏と共に、東芝から2人が入ることになり、これは新日鐵(現新日鐵住金)出身の稲山嘉寛会長、斎藤英四郎副会長体制以来となる。今後、「ポスト米倉」選びが本格化する。