胆道閉鎖症・乳幼児肝疾患母の会 肝ったママ’s -2ページ目

胆道閉鎖症・乳幼児肝疾患母の会 肝ったママ’s

胆道閉鎖症や乳幼児肝疾患の早期発見に力を入れております。
便色カードで早期発見 No more 脳出血!



 先生へお話をするタイミングをつかめたら、次は「何を」先生に伝えるか…の話になると思います。その中で、特に「肝臓移植」をしたお子さんには、給食の問題が出てきます。免疫抑制剤を飲んでいる関係で、「食べられない食材」があります。プログラフ・ネオーラルなど免疫抑制剤を飲んでいたら、主治医から「グレープフルーツは避けるように」と言われたかと思います。また「グレープフルーツや大きい柑橘類は避けるように」と言われた方もおられるかと思います。免疫抑制剤と柑橘類、どれが食べられて、どれがダメなのでしょうか?
 去年、肝ったママのFacebookで書きましたノートからシェアいたします。「柑橘類の除去」については、「どうして除去する必要があるのか」を知った上で、それぞれのお子さんの事情を考慮して判断すると良いかと思います。

【教職員への資料(肝臓移植編):おやつ・給食について】補足説明(柑橘類)

また、公的機関や病院などの参考サイトはこちらです。
【参考】国立健康・栄養研究所:グレープフルーツと薬物の相互作用について
【参考】愛媛大学医学部附属病院薬剤部 薬品情報室:グレープフルーツおよび他の柑橘類との薬物相互作用



 今週、入学式や始業式が行われた学校が多いかと思います。入学・進級して、最初に悩むことは、「子どもの病気のことを、いつ先生へ伝えるか?」ではないでしょうか?特に病気に関しては、病気の説明や配慮してもらいこともあり、親としては先生の心にとめていて欲しいですよね。



 学校によっては、入学・進級して一ヶ月前後に個別に個人面談を設けているところもあるようです。個人面談でゆっくりと先生にお話するのもいいかと思います。しかし、個人面談まで日にちがあり、体育の着替えの時に傷を見られないか?給食のことで除去をしてもらえるか?などなど、早く先生にご相談したい場合もあるかと思います。入学式や始業式の当日は、先生もドタバタですし、式典が終わってすぐ下校の場合もあります。また、先生もまだクラスの状況を把握していません。入学式や始業式前後は先生も子どももまだ落ち着いていないので避けた方がいいかと思います。

 個人の経験では、入学式や始業式が終わり、一週間ほど過ぎてから連絡帳に、「子どもの身体(病気)についてご相談したいので、ご都合をお聞かせください」と書いて先生に聞きました。また、お話する際は、担任の他にも養護の先生、栄養士さん、副校長や校長先生など管理職も同席をお願いするといいでしょう。複数名の教員と同時に話すことで、情報を共有していただけますし、また医学的なことは養護の先生が同席しているとより理解が深まると思います。

 進級して、担任が持ちあげるのであれば特に面談することもないかと思いますが、担任が変わった場合は、その都度面談をされた方がいいかと思います。基本、子どもの情報は前任の先生から引き継がれるとは思いますが、成長の過程で子どもの体調が変わることもありますし、配慮してほしい内容が変わることもあります。また、一年間これからお世話になる先生と信頼関係を築くためにも、一度お話をすることがいいかと思います。

 また、お子さん自身が希望するのであれば、子どもも同席のもと、担任や養護の先生と話すのもいいかもしれません。子ども自身が自分の言葉で先生に話すことで、先生も子どもがどこまで自己理解しているかを知り、サポートの仕方を考えてくださるかもしれません。

 親としては、先生と話すことも緊張することではありますが、子どものためにも、このスタートの季節は親もがんばりたいですね!

 皆様とお子さんの新しい一年が、良いスタートでありますように!
 胆道閉鎖症は、早期発見が難しい小児疾患です。症状の一つである「便の色」についても、今までは医療者と親の間で「基準となる色」がなく、「うんちは白いですか?」という曖昧な問診などで、見落としされることもありました。そのため、2012年度から、全国の母子手帳に「便色カード」が収載され、医療者や親の間で「基準となる色」ができました。しかし、便色カードが上手く活用されていないため、今でもやはり見落としや、発見の時期が遅いケースもあります。また、「色が付いている」ので大丈夫という古い知識も、まだまだ医療現場には根強く、こうした古い知識で見過ごされてしまった例もありました。

 ブログ主のお子さんの場合は、医療者が古い知識のまま、便色カードというツールも上手に活用しなかったため、何度か早期に発見するチャンスはあったものの、見過ごされてしまいました。ブログ主は、この状況に対し、病院側にお手紙を出しました。そして、病院側は、ブログ主の訴えに対し、真摯に対応してくださり、現場の改善をいたしました。

 胆道閉鎖症は確かに医療者でも発見が難しい病気です。だからこそ、便色カードのようなツールをもっと活用することで、少しでも気づく機会を増やすことが大切です。発見が遅くなったことで、「医療側と患者側の信頼関係」が揺らぐことがあります。しかし、こうして患者側から働きかけ、そして医療側もまた真摯に応えれば、揺らいだ信頼関係を取り戻すことは可能だと思います。胆道閉鎖症は、自己肝の生存でも、移植しての生存でも、「病院や医療者とのつきあい」は一生です。「医療側と患者側の信頼関係」もまた大切です。
 【さるぼぼ奮闘記with胆道閉鎖症】、ぜひご覧ください。

【さるぼぼ奮闘記with胆道閉鎖症】


 今日は、病気とは直接関係ないお話をしたいと思います。

 今、小学校では2年生の授業で「生まれた時の話」や、4年生で「1/2成人式」を行う学校が多いと聞いたことがあると思います。どれも、自分の人生について親に生まれた時の話を聞いてきたり、または親への感謝の手紙を書くなど、親も関わる作業がでてくるものです。しばらく前から、家庭で虐待を受けているお子さんやシングルの家庭のお子さんには、この作業はどうなのか?と言う議論がインターネットではありました。

 このことについて、「生まれた時から慢性疾患を持つ子どもの親」として、考えてみました。

 7才8才の子どもが、自分の生まれた時の話を親に聞く、あるいは9才10才の子どもが、成人への過程を半分まで来たところで人生を振り返る1/2成人式。教育の課題としては、非常にわかりやすいのかもしれません。そして、この課題に対し、聞いた多くの作業としては「自分の生まれた時の話を親に聞いて、作文にする」ことが多く、これを授業参観などで読み上げることも中にはあると聞きます。授業参観ではなくても、クラスでの授業で発表があるのかもしれません。また、親への感謝の気持ちを手紙にし、1/2成人式で子どもに読ませるみたいなことをする学校もあるそうです。

 生まれた時に病気がわかったお子さん、胆道閉鎖症や肝疾患で言えば、大きな手術などをしたお子さんもいます。記憶のない赤ちゃんの時期に手術したお子さんもいれば、学童期になって手術をしたお子さんもおられます。物心がついた時から自分の病気を知っているお子さんもいれば、あまり意識せずに過ごしているお子さんもいます。どのように生まれた時から病気と向き合ってきたのかは、病気の経過によって、ご家庭によって、そしてお子さんの性格によっても随分と大きく違うと思います。

 どのご家庭でも、親としてどのように子どもに手術痕を含めた身体のことを話すかは、ずっと悩みの一つだったのではないでしょうか。きょうだい児のいるご家庭であれば、きょうだい児の思いも含みます。子どもの心の発達にそって、どこまでどのように話すか、周りの同じ仲間と交流しつつ、向き合っているご家庭もあることでしょう。しかし、学校でこのような課題が出された時、まず一つの大きな問題は、「ご家庭の準備に関係なく、第三者から出された課題」ではないかと思います。

 どのご家庭も、どの親も、そしてどのお子さんも、学校がその課題を出した時に、それに向き合う心の準備ができているわけではありません。例えば、赤ちゃんのころに葛西手術や移植をしたお子さん、身体の傷痕は知っていても、それが具体的にどんなことでなったのか、写真などを見て衝撃を受けるかもしれません。学童期に移植をしたばかりだと、辛い入院生活をすぐさま思いださせることも子どもには酷なことです。また、移植をしたお子さん、ドナーの存在(それが脳死ドナーであったり、生体ドナーであったりでまた違いはありますが)をどのように受け止めるか、非常にデリケートな問題です。

 親から肝臓をもらって移植したことを子どもが知った時、そして課題が「親への感謝の手紙を書く」となった時、どうしますか?子どもに対し、自分の肝臓で生命を繋げてほしいというのは、「親」の心から出た願いであることは確かにその通りですが、それを「子どもに感謝されたい」と思った親はいないでしょう。

 子どもが成長していく過程で、病気を持って生まれたこと、生まれてすぐに大きな手術をしたこと、人によっては移植をしたこと、これらのことを「理解してもらう」ように向き合わなければならない時期はかならず来ます。そして、これらの過程があっての「子どもの今」があるのも事実です。ただ、その向き合う時期、向き合う心の準備は、親・子ども・ご家庭でそれぞれ違います。「外部の第三者から課題として与えられる」ものではないと思います。

 人は確かに自分のルーツを知る意義があると思いますし、生きてきた中でいろいろな支えがあることを知ることは大事だと思います。こういうことを教育の中に盛り込むことも決して悪いことではないと思います。ただ、繰り返しますが、「生まれつき慢性疾患を持つ子どもと親」には、向き合うには「時間」も「時機」も必要なんだと思います。

 子どもと一緒に過ごしてきた10年近い歳月の中で、「病気発覚」「手術」「移植」は、大きなライフイベントであり、振り返った時に決して目を背けることはできない出来事です。しかし、子どもの人生は、それだけではないと思います。病気も手術も入院も確かにその子の今までの歩みで大きく占めてはいますが、「それだけではない」と思います。「長い入院からようやく退院した後に、初めて行った旅行」、他人の目には「普通の旅行」のように映っていても、それが家族の中で「大きな意義のある旅行」ということを子どもと親が分ち合っていれば、それも大きな思い出です。大人から見て、手術や入院が大変だったように思えても、子どもには退院した後に思いっきり外で遊んだことが「生きるってすばらしい!」と実感したのであれば、それが子どもにとっては一番の「ライフイベント」なのだと思います。

 学校の課題が出されたタイミングを生かして、向き合うきっかけづくりにするご家庭もあると思います。しかし、まだ自分の子ども、あるいは親の自分が向き合う時期に来ていない場合は、無理をして向き合う必要もないと思います。親子で話し合う、向き合うきっかけではあっても、それを必ずしも第三者である学校になんらかの形として提出する必要はありません。子どもの思いがどこにあるのか、子どもが学校という社会生活の中で、形として思いを出すも出さないも、子ども自身をまずは尊重してあげたいなと思います。

 子どもの「今までの人生を振り返る」という課題、みなさんはどう向き合いますか?/向き合いましたか?


第25回日本外来小児科学会年次集会@仙台 
開催日:8月22日・23日
場所:東北大学川北キャンパス・萩ホール 

 今年も患者会ブースを出させていただきました。ありがとうございます。
第25回日本外来小児科学会年次集会@仙台


 東北大学は、胆道閉鎖症の葛西手術を考案した故葛西森夫先生がおられた大学で、「胆道閉鎖症研究会」の事務局があり、その地での開催とあって、これまでと違った意気込みと想いを持って参加いたしました。

 今年は便色カードが母子手帳に収載されて3年目になりますが、今でも早期発見されず、脳出血をしてから病気が発覚する赤ちゃんが後を絶ちません。今回は「便色カードで早期発見 No more脳出血」というテーマを掲げ、成育医療研究センターが作成した便色カードの使用マニュアルの展示で活用のお願いと、「小児科の先生へ」の呼びかけを書いたチラシも配布させていただきました。

 学会では、他の患者家族会様との再会、新たに親しくなった患者家族会様と、 懇意にしてくださる先生方との再会、お目にかかりたいと思っていた先生方との出会いがあり、日本外来小児科学会は、患者家族会にとって「絆」「繋がり」を与えてくれる貴重な場でもあります。

 今回は建物の都合上、講義室2部屋が患者家族会のブースになっていました。そのこともあり、学会へ参加された医療関係者の方々が勉強の移動中に立ち寄ることが難しく、あまり立ち寄りが少なかったのですが、そんな中でも立ち寄って下さった先生、看護師さんはとても真摯に話を受け止めてくださいました。生の声を届けることが、一番の啓発に繋がると学会を通して認識しています。そして、学会へ毎回参加することで「意義」が生まれ、「継続は力なり」、最大の力となって目標に近づくことが出来ると信じています。

 肝ったママ’sも今年で5回目の参加となります。たくさんの医療者方々、患者家族会様のご協力で、早期発見に導き、「成果」が出てきております。お力添えをいただき、皆様に深く感謝しています。

 学会では東日本大震災のパネル展示・3D上映も行われていて、当時の悲惨さ、大変さをありありと感じることが出来て、大震災での対応や対策、課題点を学ぶことが出来ました。
東日本大震災のパネル展示


 市民講座では「脳トレ」で有名な川島教授の講演があり、「メディアが子どもに与える認知発達に与える影響について」は、とても解りやすく、楽しく学ぶことが出来ました。
 大会長の川村先生の外来小児科学会への取り組みと深い想い、その想いは同じように患者家族会へも向けてくださり、実りの多い価値ある時間を過ごすことが出来きました。
市民公開講座川島教授の講演と、会長の川村先生。


 貴重な経験をさせていただき、学ばせていただきありがとうございます。

 来年の香川県高松市の開催に向けて、肝ったママ’sも頑張ります。新たな出会いと、皆様の再会を楽しみにしています。今後もどうぞよろしくお願いいたします。