彼と彼の梅雨明け・8 | 黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

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こちらは妄想書庫でございます。大変な腐りようです。足を踏み入れる方は、お気をつけくださいませ。

※BL妄想書庫です

 

苦手な方はお気を付けください

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

細い光が射し込む

 

 

「ここに座ってください」 

 

 

ベッドを指して言う

 

お風呂あがりで暑いはずなのに、汗が一滴も見えない

 

 

「…どこに?」

 

「ベッドです、俺の隣」

 

「…うん」

 

 

素直に従ってくれたのはよかったけど、微かな怯えが感じられた

 

まさか…別れを切り出されるとでも思ってる?

 

こういうところ、全然変わってない

 

後ろ向きな大野さんも好きだし、その怯えを適当に払拭させてあげることが俺には出来るかもしれない

 

だけど今は敢えて肯定も否定もしてあげない

 

この一ヶ月間、口で何を言っても無駄だったからね

 

 

「明日からお休みですね」

 

 

ベッドの端にちょこんと座っていた大野さんは不思議そうな顔をした

 

 

「…やすみ?」

 

「そうです、久し振りの連休ですね」

 

「…俺が?」

 

「はい」

 

「…ニノは?」

 

「もちろん俺もお休みです」

 

「…よかった」

 

 

会社に行く、仕事をする、それによって俺と物理的に離れる

 

この三つの条件が揃ってしまうことが余程嫌だったのだと思う

 

大野さんは心底ホッとした顔をしている

 

これは良い兆しだ

 

もしかしたら、このまま数日ゆっくり休めば、元の大野さんに戻るかもしれない…?

 

 

「ゆっくり出来るの久し振りですね」

 

「…そう…だっけ」

 

「お休み中になにかやりたいことありますか?」

 

「…ない」

 

「食べたい物とか」

 

「…ない」

 

 

あぁ、駄目だ

 

やっぱりこのままじゃ駄目だ

 

 

「大野さん」

 

 

気付いてますか?

 

 

「…うん」

 

 

ホッとした後も、今も、俺のことを一度も見ていませんよ

 

 

「大野さん!」

 

 

七夕の夜からずっと、連休中も、その後も、俺のことを見ないんですか?

 

 

「…うん」

 

 

本当にそれを望んでいるんですか?

 

 

「…うん」

 

 

本当にそれでいいんですか?

 

 

「…うん」

 

 

よくない

 

よくないよくないよくないっ

 

 

少しだけ揺らいだ決心が、再び強く固まる

 

 

 

「俺の誕生日、忘れましたね」

 

「…えっ」

 

「6月の誕生日です、すっかり忘れてましたよね?おめでとうも何も無かったですもんね」

 

「…ごめん」

 

「俺を一番に想えてなかったんですか」

 

「……」

 

「答えてください」

 

「想ってた…いつでもニノを一番に…今も、これからもずっとニノを一番に想ってニノだけを想って…」

 

 

そんなの嘘だ

 

 

「でも忘れましたよね、誕生日」

 

 

一人で殻にとじ込もっていれば楽だから、俺を見ないんだ

 

 

「…ごめん、ごめん」

 

「許しません」

 

「……」

 

「許してほしいですか?」

 

「……」

 

「大野さん、俺に許してほしいですか」

 

「……もし…許してもらえるなら」

 

「じゃあ、俺の言うことに従ってください」

 

「…え?」

 

「俺がいいって言うまで、大野さんは動かないでください!」

 

 

ピシャリと言い切って、ベッドから降りた

 

 

言葉は強気なものを選んでいたけど、足は震えている

 

この行動が正しいのか、間違いなのか、俺には分からない

 

でも、俺の為に、俺のわがままで、やると決めた

 

だから、その後の責任は俺が全て引き受ける

 

これ以上腐ることを選んだら、俺も一緒に腐る

 

病気と診断されたら、俺も一緒に病む

 

倒れるなら、一緒に倒れる

 

何が起こっても一人にさせない

 

だから、俺を一人にしないで

 

大野さん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく