消費者にとって、分かりにくい「ボランタリー・チェーン(VC)」は自発的連鎖店。

かつて「ナフコ」であったはずが、今では「フィール」と呼ばれている食品スーパーがある。

協同組合ナフコチェーンはボランタリー・チェーン(VC)で、なおかつナフコカニエがナフコチェーンから脱退し、フィールと社名変更して、消費者は混乱してしまった。

多数の独立した小売事業者が連携、組織化したボランタリー・チェーン(VC)は、共通の商標使用、共同仕入れ、物流の共同化により、規模の利益や業務の効率化を図る。

しかも、大手流通業者などが運営するフランチャイズ・チェーン(FC)と異なり、個々の事業者の独立性を大きく損ねることもなく、自主性が保てる。

このメリットから、ナフコカニエ、ナフコはせ川、ナフコ不二屋、うおときフード、ナフコトミダなど8社で、「協同組合ナフコチェーン」を構成してきた。

ところが、ボランタリー・チェーンは同じチェーンでも、事業者によって、経営方針や営業戦力などが異なり、そこのところで亀裂が生じたのかも。

ナフコカニエはナフコチェーン最大の加盟企業であったが、脱退して独自に事業展開を図り、フィールと名称変更している。

また主幹会社だったナフコはせ川もマックスバリュ中部の買収による脱退、今ではマックスバリュ名古屋として、この地域で一定の地位を確保している。

ボランタリー・チェーンはもともと大手スーパーに対抗するために小さなスーパーが連帯したものだったが、フィール(ナフコカニエ)は独自に事業展開しても、それだけの大きな規模になったということだろう。


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ネスレといえばコーヒー。

このネスレが日本でチョコレートを販売していることはあまり知られていません。

スイスに本部を置くネスレは、イメージを高めるため、ユニークなグローバルブランド戦略を採っています。

日本ではコーヒー、アメリカではチョコレート、ドイツでは調味料で、イメージを確立しました。

アメリカ人にとって、ネスレはチョコレートのキットカット。

日本人にもキットカットはなじみがあるものの、ブランドから抱くコーヒーのネスレとは結びつきませんね。

ブランド戦略は製品差別化戦略。

すなわち、製品に差をつけて、選択的な需要を形成しようと企図しています。

ネスレはこれが見事に成功して、日本人にとって、コーヒーはネスレ。

多くの家庭では、ネスレのコーヒーを飲んでいます。


ブランドロイヤルティ(忠誠心)を日本人に骨の髄まで浸透させましたね。

ネスレは、チョコレート、キットカットを瓶詰めにして、日本全国で本格的に自販機で販売することもしました。

この狙いは、普及率世界一といわれる国内にある飲料自販機、約270万台に目をつけ、売上アップを目論んだわけです。

ネスレの企業戦略、事業戦略、経営戦略は、よく練られています。



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ペプシとコカ・コーラを比較すると、日本ではブランド力、売上などで、幕下と横綱の違いほどあるように思います。

ではアメリカではどうだろう。

2006年12月12日のNYSE(ニューヨーク証券取引所)での終値では、コカ・コーラが1919年に上場して以来、ペブシコとコカ・コーラの時価総額が86年目で初の逆転したそうです。

株数と株価を掛けた企業価値では、ほぼ同じ。

ペプシコーラなどまったく相手にされていない、存在感のない飲料メーカーだと思われていたら、とんでもない横綱だったのですね。

ペプシは旧来のマーケティングであるテレビCMから撤退して、インターネットなどの新しいアプローチのニューマーケティングを使って、コカ・コーラと市場を二分する横綱メーカーになっていました。

もともとマス・マーケティングは、産業革命から生まれた大量生産・大量消費のためのもの。

大資本による大企業が大量生産し、新聞、テレビを大量消費の媒体として最大限活用して、大量販売してきました。

コッカ・コーラを飲もうよ♪

という、テレビCMで、大量の大衆消費者に浸透を図ってきたこれまでのマス・マーケティング。

ところが、ペプシはテレビCMはとりませんでした。媒体戦略が違っていました。

実際テレビCMがどれほどの効果があるのか、それを検証することはほとんど困難であるにもかかわらず、1本150円のペットボトル飲料に、年間20億円、30億円の広告費がテレビCMに使われています。

1人あたりの到達コストではテレビCMが一番安いといわれてきましたが、その信憑性もどうだろう。

コカ・コーラに限らず、サントリーやビール各社も、莫大なテレビCMに宣伝広告費を賭けるのも、そうした確信めいたものがあるからだろうが、それをどうやって検証するのか。

広告費はペットボトル1本、数円から数十円かも知れないが、それは本当にテレビCMの効果によるものなのか。

ペプシはテレビCMを行わなかった。それでもコカ・コーラを抜きました。

インターネットは広告費でもラジオを抜き雑誌を追い上げ、テレビの広告市場をうかがっています。

インターネットでは、テレビ広告が、すなわちブロガーのオンラインコミュニティと彼らが書くブログ、ブログスフィア(BlogSphere)にとって代わる可能性も指摘されています。

インターネットでは、広告は多くが出来高払いで、広告効果がなければ、費用は発生しません。

今テレビ業界は、面白くない番組を朝早くから深夜遅くまで垂れ流す地上波テレビでは、視聴者の飽きがきており、また見たいと思うテレビ番組はスカパーなどに流れ、あとはネットで遊んでいるユーザーたちがパソコン画面を眺めています。

マーケティングのアプローチとして、ネット時代を迎え、テレビ媒体は旧来のものになりつつあるともいえます。

★ペプシの動画CM



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ある惣菜のお店がある。

このお店は、百貨店や食品スーパーなどに豆腐を収める豆腐メーカーの直営店。


小売店に卸せない壊れた豆腐類を中心に、巻き寿司などの弁当類や、おかずなどの惣菜、副食を扱っている。

外食と家庭での料理の中間にある中食(なかしょく)産業にあたる。

店舗は、工場横の通りに面したロードサイド、ファクトリー・アウトレットと呼ばれる直営の小売店で、車での買い物客が多い。

口コミで広がった、このお店の秘密は、低価格とメーカー直販という信頼のブランド力。

豆腐の形は崩れても、食べれば同じ、そんな消費者のニーズをつかんだ。

メーカー直販、消費者とメーカーを直接結びつけ、問屋、小売店のマージンも、物流コストもかからない。

原材料の購入から、生産、販売までの一貫体制によって、トータルコストは低減され、徹底した価格訴求を行うことができた。

食品メーカーによる垂直的な多角化は、共通の経営要素をもち、シナジー効果が発揮されることから、事業成功の可能性は高いとされるが、小菱屋はその好例といえる。

食品メーカーは大手でも、スーパーとの力関係では弱く、ましてや豆腐製造業者は中小零細がほとんどで、低い売上利益率を余儀なくされている。

外食産業は低迷を続け、食品スーパーも今ひとつ伸び悩む中、中食産業は成長産業として注目されてよい。

それゆえ、ほとんど儲けも出ない豆腐などの食品メーカーは、中食産業に着眼して、コスト圧縮の店舗運営により、広告宣伝もしないエブリデーロープライスで、ファクトリー・アウトレットとして、出店したら面白い。


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小売店は人の集まるところに、まず立地する。

何よりも立地。

ところが、そうではなく、商品の物流を優先して、店舗展開する戦略がある。

セブンイレブンやウォールマートがとる物流戦略である。

配送コストの効率を考え、まず物流拠点を先に定め、それを中心に店舗を集中立地させるというものである。

配送時間が短く、車両も少なくすみ、配送キロトンも短くなる。

時間の節約、費用の節約。

すなわち、ガソリン費用、配送コストも低減できる。

物流コストの50%以上は、輸送費といわれている。

そのため、トラック1台で何店舗まで配送可能かという配送効率の視点で立地を図る。

セブンイレブンは、やる気のあるオーナーだけを集い、豊橋から名古屋へとサークルKの金城湯池(きんじょうとうち)に集中立地し、サークルKは軒並み閉店に追い込まれた。

これがドミナント戦略と呼ばれるものである。

これによりセブンイレブンは世界最多の1万店舗を構えることになり、ウォールマートは世界一の売上を誇る小売業となった。