ユノが行ったら、チャンミンが行かないわけもなく、そして、不安そうなチャンミンを見たら、私も重い腰をあげるしかなくて。
最終的に、三人はそれぞれスペースをあけて、森の中を入っていくことになる。
しかし、マイナスイオンもそろそろ飽きてきた。
気持ちはいいが、180度木に囲まれた森の中は不気味さも醸し出している。
二人の足の長さもあり、私は小走りで追いかけなくてはならない。
これだから、休みの日のジム通いは、かかせない。
だが、どんどん差は広がっていく。
このままじゃ、二人を心配するどころか、はぐれた私が森の中で遭難しかねない。
ふと、小さい頃読んだ童話を思い出した。
迷子にならないように来た道の手がかりにと、手に持っていたパンをちぎって置いていく。
ああ、二人のせいで、食事の途中だと気がつかされてイラっときた。
チャンミンとの距離はさらに広がり、いよいよ見失いそうになったとき、森の出口が見え、眩しい日差しがふりそそぐ。
そして、その眩しい光の先に二人が立っているのが見えた。
必死で歩いてきたから気がつかなかったが、ゆるやかな山道をのぼってきたようで、その先が小さな崖になっているようだ。
二人は立ち止まり、その下を覗いていた。
おいおい、無茶はやめてくれよ。
怪我でもされたら、ついていった私の立場が苦しくなるんだから。
幸「こら!そこまで!そこから先はだめだ!」
二人は同時に振り向いた。
ユ「幸田さん!ついて来たんですか?」
チ「よく追い付けましたね。その短い足で。」
幸「こらぁ!短いだけ余計じゃ!」
ユ「見てください。たぶん、あの花かと。」
ユノが指差す方向をみると、崖の途中で一輪の赤い花が、凛として咲いているではないか。
幸「お!本当だ。」
ユ「綺麗ですよね。」
幸「本当に。」
チ「幸田さんのとことじゃないですよ。」
幸「わかっとるがな!」
ユ「まるで、チャンミンみたいだ。」
チ「な、何をばかなことを。」
そういいつつも、顔は真っ赤だ。
チ「どちらかというと、あれはユノのようで。」と、小声でいい、ちらっとユノを見つめる。
なんだ?この甘い空気。
私は邪魔物か?
ユ「せっかくだから、写真におさめよう。」
ユノが身を乗り出して撮ろうとするが、バランスを崩しよろめくと、すかさず、チャンミンが支えた。
チ「もう、危ないですって。」
ユ「ごめん。」
チ「これだから、ほっとけないんです。」
見つめあってる二人に、再び甘い雰囲気が。
幸「ん、うっ、うん。」
私はここにいるよ、変なことおっぱじめるなと、アピール。
ユ「あ、幸田さん、いらっしゃったんですね。」
知ってるくせに。