創作◆あなたと始める物語は。21★《ダーリンは芸能人》二次創作 | 二次元のカレに逃避中♪

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主に、SNSアプリの乙女ゲームについてのレポ、および携帯恋愛ゲーム《ダーリンは芸能人》(LoveDuetを除く)をベースとした妄想2次小説を書いてます。※PC推奨です
※他サイトにて夢小説展開中

注意 当、二次創作小説(シナリオ)を初めて読まれる方は先にこちらをごらんください。




 あなたと始める物語は。21

〜 next stage ~

《ダーリンは芸能人》二次創作





―――“ピコン”“ピコン”“ピコン”

連続して鳴ったスマホのLIVENET受信の音にふと目が覚めた。

お日さまはとうの昔に沈んでいて、部屋の中は都会を照らす灯りがほんのりと射し込むだけで暗くなっている。

スマホの調光アプリで部屋の電灯を点け、メッセージ着信の相手を見ると、それは翔くんだった。

と同時に電話の着信音が鳴った。


「ぅおっ、えっ?
 翔くん?!」


メッセージへの返信をするどころか内容を確認する間もなく、電話が掛かってきたのだ。

思わず受話器のアイコンをタップする。


「はい!?」

『あゆちゃーん、晩ごはん食べた?』

「いや、まだ。 というより、寝てたわ」


のほほんとした雰囲気で尋ねる彼に返事をしながら、壁に掛かってある時計を見ると針は18時を指していた。

こんな時間に食べ終わってるって幼稚園児じゃあるまいしと思うと同時に、かなり長い時間寝入ってたことに驚愕する。

これ、夜寝られないパターンじゃ…と思ってると、電話の向こうで翔くんが言う。


『あゆちゃん、晩ごはんまだなら一緒に食べに行こうよ』

「へ?
 いや、マズくない?」


アナタ、仮にもトップアイドルですよ?

片やコチラは一般人で、しかも、一応、女でございますよ?

人気芸能人としてさすがにヨロシクないでしょ。

そう思って質問返しをしたのに。


『大丈夫、味は保証するよー』

「…いや、そういうことじゃなくて」


タップリと時間を取ってのち、『あ。』と翔くんは言葉をこぼした。

どうやら私が言った「マズい」の意味を理解したようだ。

でも、返ってきた言葉は。


『ああ、それも大丈夫。 行くのは引退した先輩がやってるお店で、人目に付かないように入れるから』


そんなお店があるのかとちょっと感心した。

ただ、そういったところへ出掛けるとなると、近所へちょこっと出るのとは訳は違うから、準備するのにやっぱり1時間は欲しい。


「すぐには出られないよ」

『いーよー、こっちもいま終わったトコなんだ。
 下の駐車場に着いたら連絡するねー』


どうやら食べに行くのは決定事項のようだ。

分かったと返事をして通話を終え、再び外へ出る準備を始める。

昼間とは違ってかなり寒くなるはずだからと、厚手のインナーに柴染色のハイネックセーターを着て、黒紅のフェイクレザーロングスカートを合わせた。

控えめメイクを終えて翔くんからの電話を待つこと10分、ようやく連絡が入る。


『あゆちゃーん、降りてきていいよー』

「すぐ行くね」


電話を切り、地下駐車場のエントランスへ向かうと、どなたかハジメマシテの方々を助手席と後部座席に乗せて翔くんの運転する車が既に到着していた。


「お待たせ」

「大丈夫、ちょうど着いたところだったよ。
 後ろでいい?」

「もちろん!」


助手席にいる人にペコリと頭を下げ、後部座席のドアを自分で開けて車に乗り込んだ時ももうひとりの人にも会釈をした。

車中では、翔くんが今日の仕事のことをずっと話している。

その途中でようやく彼らのことを話し出した。


「あ、コイツら、後輩。 まだデビュー前なんだけど。 亮太が連れていけって言うからさー」

「そーなんだ」


さすが亮太くん。

異性である私との二人だけでのお食事は万が一マスコミに見つかった時に曲解されないように対策させたって訳だ。

しかもまだデビュー前ってことはスタプロJr.の中でも研修生に近いってことで。

そんな子たちも一緒に居ることは、スタプロの体質を知っている連中に対して、私はマネージャー見習いと言い繕うことは出来る。

私と翔くんの間に特別な関係は絶対にないとカムフラージュすることが出来るってことだ。

この半年で彼らの性格なんかをより知ることが出来た。

翔くんは天然ぽくて人誑しの面があって、でもきちんとしてる。

亮太くんは一つ一つ計算して行動をしてるけれど、それを感じさせない。

一磨くんは至って真面目で、グループの内外で起きた問題に対して素早く対応する。

義人くんは何を考えているのか分からないとは言われてるけど、さり気なく先回りして皆を支えてる。

京介くんは―――。


「あゆちゃん? 着いたよ??」


翔くんのその声で我に返った。

いつの間にかお店の地下駐車場に到着していたらしく、後部ドアを開けてくれて私が降りるのを促している。


「あ、ありがとう」


それから翔くんを先頭に地下入り口からお店の中に入った。

オレンジ色の灯りが点った素朴なランプが階段の漆喰壁を温かく照らし、柔らかい雰囲気を醸し出している。

入り口から個室に着くまでの間、従業員にすら会うことはなかった。

その個室はというと、どこかノスタルジックを感じさせる内装で、とても雰囲気のいい部屋だった。


「あゆちゃん、アルコールは?」

「私はいいわ。 明日、起きられなくなっちゃう」

「コイツら未成年だしオレも運転手だから、全員アルコールなしの烏龍茶と普洱茶で、と」


翔くんがテーブルに備え付けられたタブレット端末で飲み物を注文していく。

個室を予約した時点でメニューも決めていたらしく、10分もしないうちに幾つかの大皿料理が部屋の片隅にある配膳用エレベーターに載せられてきた。

それをみんなでテーブルに運ぶ。

ここは従業員を含めた一般の人と翔くんたち芸能人とか接触しないようになっているという。

そのため完全予約制で、個室が空いていたとしても予約外の客は入れず、さらに各個室への料理の提供には配膳用エレベーターのような機械を利用しているらしい。

そういう営業の仕方は高コストになるのだろうけど、スタプロに在籍していた人が経営者だというから、後輩たちのプライバシーを守るために慎重にしてるんだろうな。

そしてお料理はというと。


「……! なにこれ、めちゃくちゃ美味しい!」

「気に入った?」

「気に入るとかそんなんじゃないわよ…! 今まで食べた中でダントツに美味しいっ」

「えー、あゆちゃんの料理も美味しいじゃん」

「いやいや、私のなんかと比べないでよ。 月とスッポンくらいの差があるわよ」

「あはは、すごい例え」


もちろんお世辞とかではなく、本当に美味しい。

どこにでもあるような食材なのに、こんなに素材の味を活かしてベストな状態に料理するって最早天才じゃない?

そんな風に感動しながら、次から次へと上がってくるお料理に舌鼓を打ちつつ、レストランでの夜は更けていったのだった。


〜 to be continued 〜