創作◆あなたと始める物語は。25★《ダーリンは芸能人》二次創作 | 二次元のカレに逃避中♪

二次元のカレに逃避中♪

主に、SNSアプリの乙女ゲームについてのレポ、および携帯恋愛ゲーム《ダーリンは芸能人》(LoveDuetを除く)をベースとした妄想2次小説を書いてます。※PC推奨です
※他サイトにて夢小説展開中

注意 当、二次創作小説(シナリオ)を初めて読まれる方は先にこちらをごらんください。




 あなたと始める物語は。25

〜 new relationship ~

《ダーリンは芸能人》二次創作





一週間があっという間に過ぎて、今は12/31の午後9時。

私はチーフさんからライブのゲストパスを貰ったため、Tokyo Bey Dream Stadium に向かっていた。

通称TOBeSと呼ばれるこの球場では、スタープロモーションのほとんどのグループが出場するスタプロオールスターズ年越しライブが例年開かれることになっている。

その観覧応募倍率は平均100倍超えという信じられないくらいの高倍率。

このライブは終わる時間を考慮して保護者同伴でも18歳未満は参加不可で申し込みすら出来ないのだけど、それでもその倍率なのだ。

何としてでも参加したい18歳以上のファンたちの間であの手この手を使ったチケット争奪戦が水面下で繰り広げられているのは、一部の人たちにとってはこの時期の風物詩と言えなくもない。

そして当然、彼ら Wave も毎年このライブに参加している。

さらにもう何年もの間は大晦日の国民的歌合戦にも必ずと言っていいほど呼ばれていて、それに出場した後にヘリを使っての移動となっているらしかった。

私は大勢のスタプロファンたちと一緒に最寄りの駅を降り、興奮気味の彼女たちの熱気を感じながらライブ会場となるスタジアムに向かって歩いていく。

その何本か手前の交差点でファンたちの群れから離れ、指示された通りにスタジアム・アプローチと並行して走っている別の道を使って関係者用出入り口に向かう。

辿り着いたところでゲストパスを提示すると、ツアーパンフレットを渡されてスタッフさんの先導で場内に入った。

その目の前に見えるものは。


「すご…」


スタジアムの中は既に大勢のファンたちで埋め尽くされ、開始直前のステージではスタッフたちが縦横無尽に何かを持って走り回っていた。

時折り音響の確認なのかメロディが流れ、その歌を持ち歌にしてるグループのファンたちから推しの名前を呼ぶ黄色い歓声が聴こえてくる。

みんな若いなーと思うと同時に、これってやっぱり年齢の差なのかな?と思ったり。

でも駅からここまで来る間に見かけたファンの中には私よりも上の年代と思しき人もいた気がするから、それは関係ないかなと思ったり。

実を言うと、ポップス系ライブ自体がこの年になって生まれてはじめての参加だ。

ポップス系の曲も好きではあるけれどライブには中々行く機会がなくて、これまで誘われて観覧したことがあるのはクラシックとかオペラとか来日したブロードウェイミュージカルとかばかりだった。

それらの観覧の時とは違う、経験したことのない雰囲気やら熱気やらに気圧されてしまってる自分がいる。

指定された席に座り、少し緊張しながらあれこれと考えているうちに場内ライトの光度が少しずつ落ちていった。

そして開演時間の23時を迎え、先頭を切って始まったのは Wave の大先輩グループ raiDJin のパフォーマンス。

彼らは私よりも年上で、いま歌っているのはかなり昔にCMソングにも起用された彼らのミリオンセラー曲だ。

ファンでもないけれど、当時のCMで散々流れていたからサビの部分は覚えている。

それが終わると次々とグループが出てきてはパフォーマンスを繰り広げ、会場に居る数多のファンたちのボルテージは高められて、その熱気に充てられていく。

そして何組か出てきた後、数秒を空けてステージ正面に設えられた巨大モニターに映ったのは。


(…車?)


リムジンを映していたカメラがズームアウトすると、外国の映画祭で見るようなレッドカーペットがこちらに向かって敷かれているのが見えた。

そして、リムジンのドアが開いて出てきたのは京介くんたち Wave だ。

その瞬間、会場内から彼らを呼ぶ歓声が上がった。

『京介くーん!!』
『亮ちゃーん!!』
『一磨ぁー!!』
『翔くん!』
『義人くーん!!』

こちらの声が聞こえてるのか分からないけれど、画面の向こうの彼らがにこやかに手を振り、レッドカーペットの上を歩いてくる。

対抗型国民的歌合戦の出場を終えてこのスタジアムに到着したのだ。

彼らがいま着ている衣装はライブのために作られたものなのか、いつもTVの歌番組で見るものよりも装飾がたくさん付いていて。

動きづらくないのかななどといきなり夢もないことを思ってしまった…。

それでもこの歓声を聞いていると、いつも以上に彼らがアイドルであることを認識させられた。

そうこうしているうちにみんながステージに上がってきて、瞬く間に会場は興奮の坩堝と化す。


『みんな、元気だったぁ? Wave の小悪魔、三池亮太だよー!』

『オンナノコたち、お待たせしちゃったかなー? Wave 中西京介です!』

『…ども、Wave 藤崎義人です』

『義人、短すぎー』

『それが義人なんだってば!
 みんな、久しぶりー! Wave のセンター、桐谷翔です!』

『こんばんは、Wave リーダーの本多一磨です!
 今日はみんなありがとう!!』


その言葉と同時に5人全員が頭を下げてお辞儀をした。

観客席のあちらこちらから悲鳴に近い甲高い声が聞こえてくる中、彼らの最新曲『beyond the horizon』のイントロが流れてみんなはそれぞれ自分の定位置へと歩いていく。

彼らがその場所に立った瞬間、会場の中が一気に静まった。

そして―――。

『はるか 遠い 海の向こうから
 水平線を越えて―――』

5人のハモリで始まったこの歌は、高視聴率をたたき出してつい先日特別編を以って終了したドラマの主題歌。

私もちょっとだけ巻き込まれたあのドラマだ。

『君を迎えに来たよ』

正面のパネル型モニターにデカデカと写ったのは、このフレーズを囁くような歌い方をして色気たっぷりにウインクをした京介くん。

静かだった会場内が再び一気に沸いた。


(あ、はは…、さすが Wave のセクシー担当だわ)


普段の彼を知っているだけに少し微妙で複雑な心境ではある。

だけどその後に繰り広げられる彼らの歌とダンスのパフォーマンスに否応なく惹かれていく自分がいて、テレビ越しで見るのとは全く違う感動が押し寄せてくる。


(うわぁ……みんなすごい……!)


京介くんのみならず一磨くんたちも活き活きとしていて、普段では見られないような彼らがいる。

少しして目の前のステージにやってきた京介くんと目が合ったような気がした。

彼は柔らかく微笑み、おいでと言ってるように手を伸ばす。


『キミとの出会いがどんな形でも
 キミを一途に愛すのはボクの役目』

「……!」


それがパフォーマンスの一つだと分かっていても、年甲斐もなくキュンとして。

その後のライブの間ずっと、私は彼から目を離すことは出来なかった。


〜 to be continued 〜