注意 当、二次創作小説(シナリオ)を初めて読まれる方は先にこちらをごらんください。
あなたと始める物語は。27
〜 new relationship ~
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《ダーリンは芸能人》二次創作
慌ただしくカウントダウンライブで年を越し、元日のお日さまが天頂に届こうとしていた頃―――。
「改めて、今年もよろしくー」
おせち料理とお雑煮、御屠蘇を目の前にして、全員で新年の挨拶を交わした。
今日と明日はさすがにみんなお休みだそうだ。
私の仕事も基本的にはお休みなんだけど、会社からおせちが届くということで共同スペースを開けることに。
予定時間キッカリにチーフさんから届けられたものを見てびっくり!
「すごい! おせちが豪華すぎる!!!」
和洋折衷のおせち料理は都内の有名ホテルの中にあるお店のものらしく、なんと6段もある。
品数はそんなに多くないものの、使用されている材料は高級食材として知られてるものばかりだ。
「えー、そう?」
「だってこんなに大きな伊勢海老とか鮑とかキャビアとか入ってるおせちなんて初めてだわよ!」
「あはは、あゆちゃん、興奮しすぎだよー」
「お、言うようになったな、翔。 最初は騒いでたくせになー」
「ばっ…」
「いや、気持ちは分かる。 オレも初めて見たときはビックリしたから」
「ん? 一磨は平然としてたよね?」
「驚きすぎて声が出なかったんだよ…」
「オレも」
「義人もか」
それからわいわいと賑わいながら皆でおせち料理を堪能する。
さすが五つ星ホテルに店を構えるだけあってめちゃくちゃ美味しい。
おせち料理の由来はともかく、三が日の間に食べるものであるために保存が利くようにと塩分濃度が少し高めに、つまり味が濃いめに作られているけれど、これはそうではない。
素材の持つ自然な味もしっかりと感じられる。
あまりもの美味しさにポロッと言葉がこぼれた。
「んー、幸せ……」
「ん?」
「いきなり、なに」
「元日からこんなに美味しいものを食べられるなんてめちゃくちゃ幸せじゃん……」
「―――あははっ、あーちゃん落とすんなら美味しいものを食べさせればいいってことね」
「……へ?
いやいや、落とすって」
「これから『ボク』がいーっぱい食べさせてあげるから!」
亮太くんの放ったとんでもないジョークに私は頭の中を疑問符でいっぱいにしながら首を傾げるのだった。
―――それから晩ごはんもおせちを堪能し、翔くんと亮太くん、義人くんは自室に戻った。
私は軽く片付けをした後、京介くん一磨くんに誘われて一緒にマンション近くの神社へ初詣に出掛けることにした。
小ぢんまりとしているその神社は周辺の人にしか知られていなくて、元日とはいえ夜だったからか参拝する人は疎らだ。
鳥居をくぐり抜けた先にある参道には灯籠が並び、橙色の光が灯されていて何だか違う世界に来たような感覚に捉われた。
御手水舎で手と口を清め、拝殿で拝礼した後にお御籤を引くと。
「げ」
引き当てた『大凶』の文字にガックリと肩を落とす。
確かこの神社ではお正月のお神籤には悪い結果は入れてないと聞いたことがあるのだけど。
たまたま紛れ込んでたらしきモノに当たるなんて運がいいんだか悪いんだか。
「珍しいね」
「へぇ? 正月早々、面白いもの見た」
私の両脇からお御籤を覗いた二人がそれを弄るようにクスクスと笑っている。
「ちょっとー、笑うなんてひどくない?」
「あ、ごめんね。 まさか『大凶』が入ってるなんて思わなかったから」
「私もよー。 この神社、節分までは良くないお御籤を入れないって………、って京介くん?」
一磨くんと話してる途中で京介くんは私のお御籤を取り上げ、何処かへとスタスタと歩いていく。
京介くんの突然の行動に一瞬呆気にとられた私たちだけど、二人で慌てて前を歩く彼の後を追った。
その先には御神木があり、その周りを囲うように麻紐らしきものが張り巡らされてあって、幾つかのお御籤が結ばれている。
京介くんはその一番高いところに私と彼のお御籤を重ね合わせて結んだ。
「愛優香の大凶をオレの大吉で包んで結んだから悪いのはなくなるよ」
お神籤にそんな作法らしきものがあるかどうか知らないけれど、そう言って優しく微笑んだ彼にまた一瞬ときめいて…。
私は、ありがとうと言うだけで精一杯だった。
〜 to be continued 〜