注意 当、二次創作小説(シナリオ)を初めて読まれる方は先にこちらをごらんください。
あなたと始める物語は。
〜 new relationship ~
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《ダーリンは芸能人》二次創作
それから数日の間はマンションの周りを彷徨くマスコミらしき人たちは見かけたけれど、敷地内は私有地ということもあって警備員さんが巡回しており、彼らは中にまで入ってこられなかった。
また、その当日は一磨くんも一緒だったことと京介くんと一緒にいた人間はサポートスタッフの1人であるというスタプロが公表した内容を受けて、とりあえず事態は沈静した。
と、まぁ、しばらくは静かだったのだが。
「……今度は熱愛詐称ですかぁ」
「そそ」
「タイヘンデスネー」
夜食にと作ってあげた市販のとんこつラーメンを食べながら、亮太くんはいま京介くんの周りで起きていることを教えてくれた。
相手は最大手プロダクション所属の18歳のアイドルで、どうやらカウントダウンライブで京介くんが自分に微笑んだ!あんな笑顔見たことない!彼は私のことが好きなんだ!!熱愛だー!!!と妄想を炸裂させた上に付き纏っていたのだとか。
これがもう一つのトラブルらしく、前回の写真週刊誌騒動が端を発して、マスコミにまで知れ渡ってしまったのだとか。
ポジティブ思考はとてもいいとは思うんだけど、たったそれだけのことで独りよがりの妄想にまで飛躍するのは非常に厄介であり問題である。
精神的なナニかがあるとし…………以下略。
……そういえば、後ろの席に居た子がなにか一人で騒いでたような。
まぁ、アラサーの私でさえキュンとしたんだしね。
年頃の女のコなら勘違いも起こりやすい、のかも?
「京介が違うってアチコチでキッパリと断言し続けているけど、マスコミ化しちゃったから社長が相手に激オコ。
はー、美味しかった。あーちゃん、アイスある?」
「は?今からアイス?太るよ??」
「大丈夫。明日はめちゃくちゃ動くから」
「……はー、じゃ、買ってくるわ」
「冷凍庫に無いんならいいよ、自分で行ってくる」
「いいわよ、私も食べたいから」
「……あーちゃんこそ太るよ?」
「私はいいの!」
そんなやり取りをして亮太くんを部屋に残し、近くのコンビニに向かった。
そしてお目当ての物を買って戻ろうとすると。
小柄な女のコがエントランスのオートロックの前でウロウロしている。
不審者?
いや女のコだしなー。
住民?
いやウロウロしてるって怪しくない?
じゃ、やっぱり不審者??
いずれにしろそこに居られると通れないので声を掛けてみることにした。
「あのー」
「あっ、ごめんなさぁぁい。私ぃ、鍵を忘れちゃってぇぇぇ。入れてもらえませんかぁぁぁ?」
「……」
あ、不審者だ。
このマンションは、エントランスから入る時だけでなく出る時も鍵とキーカードが必要だから、それを忘れるのはあり得ないのだ。
急いでいるときは非常に面倒くさいシステムだけど、防犯面では他のマンションよりマシだと思われる。
「…鍵だけ?」
「はぁ?……あ」
「何階のかた?」
「えっ、え、えっとぉー」
用意されたような言い訳をして住民を装ってる以上、知人を訪ねて来たというのは成り立たない。
しかもここは単身者専用だから誰かの同居人ということはありえない。
と、言うことで。
「……警察呼びますよ?」
「はぁ!? 鍵忘れただけなんだから開けてくれればいいだろーが!!!」
「口悪いわねー。
あなた、ここの住民じゃないでしょう」
「!こ、ここに住んでんだよ!」
「じゃあ、なんで鍵を持って出なかったの?住んでるのにここのキーシステムを知らないなんてありえない」
「!!この…」
始めの可愛くおねだりモード♡とは打って変わってガラ悪く食ってかかってくる。
と、そこに。
どこかから大柄な男が走ってきて彼女を止めた。
「さ、サリーさんっ!ダメですって!!」
「離せ、ゴルァァ」
「しっ失礼しましたぁぁ」
「クマゴロー、降ろせ!
クソババァ覚えとけよ!!」
荒ぶる女のコを俵担ぎした男性が脱兎の如く駆けていく。
後に残された私はポカンとするしかなかったのだった。
〜 to be continued 〜