【三國志online】曲長の無駄話【泰山魏】 -5ページ目

On Your Mark

明け方に、枕元の携帯が鳴った。


ぼんやりしながら見たメールの一文に、飛び起きた。





「火事」







某所にある、とあるお店の事務所。


オーナーの好意で、当方含む友人一同の会合場所兼、趣味道具の置き場となっていて、


休日などはよくヒマ人が集まってアホな話や遊びに興じていた。





それが焼失したという。





数日後、当方が自らの目で確認したその場所は、


完全に何も無い、まさに更地であった。


釣り道具、サバゲ道具、スキー/スノボ道具をはじめ、


さらには服から車、船に至るまで、


各自が10年近くの間に集めて持ち寄った物のすべからくが完璧に消滅していた。




原因は放火。


ほどなく逮捕された犯人は、近所に住む無職の男。


精神科に通院歴があり、寝たきりの母親とツーマンセルで生活保護を受けていた。


被害総額は数千万に上ったが、それを賠償できるような能力は期待できず、


実にまったりとした県警の捜査の後には、ただ灰だけが残った。





数年前の冬の話だ。











何かを失っただろうか。





三國志onlineが終了して、


我々は何かを失っただろうか。





例えばキャラクター。


例えばアイテム。


例えば部曲。





これまで、時間や熱意を注いで来たいくつかのものは確かに消えた。


しかし、


それで我々は何かを失っただろうか。





場所や物を無くしても、


それを手に入れ、育み、楽しんで、愛した、


「我々」はいまだ健在だ。









あの見事にすべてが消し飛んだ日から数年、


事務所は焼け落ちる前よりも広く綺麗かつ快適にリファインされ、


再び買い揃えられて、持ち込まれた遊び道具の数もやはり、焼け落ちる前に勝るとも劣らない。w


そして、


「紅白が見たいんじゃぁ~」とか言いながら寒風の中でバラック然とした小屋に電気とアンテナを引いたこと、


「派遣村以下だなこりゃ」とか言いながら真冬の野外バーベキューに凍えたこと、


すきま風に野郎共が身を寄せ合いながら寝たこと、


そこに全裸のオーナーがダイブしてきてヒジが顔面に入った者もいたこと、←実話


などなど、


あらゆるエピソードが今、週末の酒の肴になっている。









三國志onlineが終了して10日余りが経った今、


あらためて自らに問う。






何かを失ったか。








否、だ。






それぞれのプレイヤーがそれぞれのフィールドに解き放たれたあの日、


終了と言うには余りに確かな再会の手応えに、


当方が見た言葉は「END」ではなく、


「To Be Continued」だった。


そしてそれは紛れも無く、


焼け跡で復興を誓った数年前の感覚と似ている。





無いのなら作ろう。






ぶっ壊れたのなら直そう。






無くしたのなら探し出そう。








そのパワーとハートを手放さない限り、


我々の軌道はいつかどこかで、必ずまた交錯する。


その確信ゆえに我々は、次の一歩を力強く踏み出さなければならない。








さて。




そろそろ当方も、新たなる地に向かうとしようか。


増える一方のクソ重たい荷物をごっそり担いで、


しかし速度は落とさずに、駆けていこう。


そしてまた会った時には、


それぞれの旅路で手に入れた雑多なモノをめいめい持ち寄って、


建て直しがてら一杯やろうや。






【三國志online】曲長の無駄話【泰山魏】





さぁ絶影! 前進だ!!!











そして僕らは いつもの笑顔と姿で


埃にまみれた服を払った




この手を離せば 音さえたてない


落ちて行くコインは 二度と帰らない




君と僕 並んで


夜明けを追い抜いてみたい 自転車




On Your Mark いつも走りだせば


流行の風邪にやられた




On Your Mark 僕らがそれでも止めないのは


夢の斜面見上げて 行けそうな気がするから




そして僕らは 心の小さな空き地で


互いに振り落とした 言葉の夕立




答えを出さない それが答えのような


針の消えた時計の 文字を読むような




君と僕 全てを


認めてしまうにはまだ 若すぎる




On Your Mark いつも走りだせば


流行の風邪にやられた




On Your Mark 僕らがこれを無くせないのは


夢の心臓めがけて 僕らと呼び合うため




そして僕らは




On Your Mark いつも走りだせば


流行の風邪にやられた




On Your Mark 僕らがそれでも止めないのは


夢の斜面見上げて 行けそうな気がするから




On Your Mark いつも走りだせば


流行の風邪にやられた




On Your Mark 僕らがこれを無くせないのは


夢の心臓めがけて 僕らと呼び合うため




On Your Mark Get Set Go



そして僕らは



三国制覇戦第四節 最終決戦

正午をしばらく過ぎた頃、ログインした。


画面が表示される直前に、いつもの着信音が鳴る。

信書が届いていた。

目を通しながら、部チャで挨拶をする。

何人かは、イベ戦に出ていた。


とくに何かが目新しい訳ではない。

が、ただ今日が最終日だというだけで、

ありきたりな風景が、決してありきたりでは無かったこれまでの軌跡を纏った。


ふう、と息をつく。


そして、にわかに頭をもたげた感傷を振り払う。


まだやるべき事が残っている。


途中まで書いた信書を消した。



装備。

蛮さん&ナナさんによる裏石林の攻略指南と、

廬山魏&黄河魏からキャラコピでおいでなすった方からの好意によって、

三頭の部員には裏50一式全身が配布されていた。

武器も含めて、全ての部員が全箇所+10である。

数日ぶりにINした栄覇のぶんの防具一式を強化した。

OKだ。


アイテム。

碧陽重嘉が集中管理していた千年茸の加工は既に解放してある。

強壁神丹、治癒神丹を始めとする高級アイテムの確保量は充分だ。

趙修の2アカキャラに余剰分を持たせて、

戦場にて他プレイヤー向けの自動販売機とする準備も万端となっていた。

OKだ。


数日前から、「制覇最終戦は17時からだよ」と再三に渡って言ってきたのが功を奏したか、w

午後3時の時点で、部員は10名ほどINしていた。

天下布武さんもボチボチINしてきている。

手勢は大丈夫だ。


おそらくはこの時、

どの国のどのプレイヤーも、最終戦あるいは表彰式に向けて、

メシ&風呂を済ませたり、別れを惜しんで雑談やイベ戦などを楽しんでいた事だろう。

そして、そういう時こそ、

いつも以上に落とし穴には注意する当方である。


1陣の張遼、2陣の夏侯惇、3陣の徐晃。

出陣予定の3武将の軍団値「武装」が、「兵力」への納入の反動で軒並み落ち込んでいた。

イベ戦に出ていた部員たちが2陣で引き上げてくる。

三頭召還部の指示で、生産部を中心に実働部隊が動く。

数日前から予想含みで素材を準備しておいたので、

3武将の武装は合戦開始の30分前には再びLv10へと戻った。


三頭猟戌部曲砦「楓林閣」。

何気に御利益のある祭壇に向かって、最後の戦勝を祈願・・・ というか宣誓した。

「御旗(魏国旗)、盾無(飾り鎧)、」

「ご照覧あれ!」


許昌の宮廷前は異様に静かだった。

ほどなく、赤文字の2行が開場を告げた。


OKだ。


何もやり残したことは無い。


あとはただ、戦うのみ。


楓さんの「いこうか」に弾かれて、

三頭猟戌、そして電波連合の面々は戦場へと歩を向けた。



三国制覇戦第四節 優勝決定戦 魏vs蜀



1陣・河畔


天下布武、魏志東夷伝、三頭猟戌、そしてゲストの数名を加えた電波連合は、

35人規模となっていた。


序盤、西の橋で両軍の主力連合が対峙した。

お互いに牽制を繰り返すも、決定的な点差にはならない。

電波は、揺さぶりをかけるべく東へシフトした。

川の対岸から追従してきた蜀連合と、東橋で衝突する。

機を掴むまでは渡河をしない姿勢を見せていた蜀が、瞬間、大きくこちらに食い込んできた。

同時に、スコアが動く。

おそらくは西の橋に残留した連合が点を獲ったのだろう。

代償とも言えるだろうか、魏の主力連合はことごとくが全壊あるいは半壊となった。

しかし、蜀の追撃が一瞬鈍った隙に、生存者は続々と城へ引き上げて来る。

スコアは魏がリードしたままだった。

残り時間はわずか。

戦場チャットでさらなる攻撃の是非を誰かが問うた。

「勝ちたいです」

連なる言葉に、魏軍は残りの数分、篭城というオプションを選択してからくも勝利を収めた。



2陣・草原


初動からしばらく、魏軍の多数は北ルートからの進攻に固執した。

中央エリアまで行った所で、野営を盾に陣取る蜀の大群が襲い掛かる。

数千点のリードを許した魏軍は復活後、南ルートからの進攻を目論む。

多段に次ぐ多段で、じわりじわりとスコアを戻していく。

やがて蜀の城を睨む位置についた時、点差は1000まで接近していた。

が、ここでお返しとばかりに蜀も篭城する。

あまりに完成された篭城にスコアは双方ほとんど動かず、

この陣を蜀が獲ったことで1勝1敗、決着は3陣に持ち越された。




まったく。



誰が筋書きを書いたのか知らないが、

サービス最終日の最終陣にまで決着がもつれるとか、

雑兵冥利に尽きるにも程がある。


記憶に新しい所では、ワールドカップでパラグアイと戦った日本イレブンも、

PKの時はこんな心地であったろう。

一般的に見れば比べるべくも無いほどの認知度であろうが、

しかし、

それでも、

紛れも無く、

これからの45分は我々にとって、「我々」という言葉を表すべき、

濃密なる3クォーターとなる事は明らかだった。



3陣・渓谷



開戦直前、りふぃあさんが貫禄のトイレ離席。ww

戻りを犬のように待つ各連合。

やがて魏軍は川の南まで進軍、構える蜀軍と衝突する。

点在する岩場の裏から裏から、

双方の各軍が渦を巻くように現れては削り合う。

決定打を欠く展開の中で、やたらに復活時間の短い魏軍が戦線をじりじりと下げていく。

電波は蜀の伏兵エースの手にかかり、徹底中に壊滅。

再出撃。

電波連合は川北で構えた。

戦線を上げてきていた蜀軍と衝突。

ふたたび北に引き、反転準備。

と、

「丘の上に大軍」の文字を認めた。

戦法発動。

果たして、丘の上には進軍中の蜀軍別働隊の姿があった。

飛びかかる電波連合。

しかしその奥から、さらに数軍の蜀軍の進攻を見た。

電波撤退。

入れ替わりに、魏の主力連合が飛び込む。

「強化確認!!」

盟主の指示に、連合員各位がバフをかけ直す。

詠唱開始。



誰の目で見ても、ここがこの合戦の天王山であることは明らかだった。

それぞれが、持てる武器の中で最高の一撃を繰り出している。

当方は、槍だ。

飛散徒党の党首だ。

最大の武器は、剥奪だ。



徒党疾駆を撒いて、他の徒党の詠唱を待たずに飛び出した。

乱戦の中に飛び込む。

そしてその向こうに、今まさに詠唱を開始せんとする蜀の大軍を見つけた。

「集合集合集合!!!」

徒党チャットで叫んだ。

乱戦の中、相手の集団との間をつめる。

相手が一斉に詠唱を始めた、次の瞬間。

付与剥奪のターゲットサークルが相手集団の全員を射程に収めた。

ワンテンポ遅れて詠唱開始。

なぎ払い、太極波などに身を斬られながら、

詠唱バーがジリジリと伸びていく。

「頼む、頼む・・・!」



相手集団が詠唱を終えた直後、

電波連合飛散徒党が付与剥奪を放った。



直撃。



間髪入れずに、火力部隊が飛び込む。

さらに味方の各連合が、北から採取場から飛び込む。


戦後の集計で判明したが、

この時に電波飛散徒党が放った付与剥奪は、

初撃で86名のバフを奪ったのを皮切りに、

その後数分間で実に260名を越える戦果を上げていた。


点を獲った。

各連合が、各徒党が、各プレイヤーが、

それぞれにお互いを支え合い、

点を獲った。


1万点のリードを奪った。


終了数分前、魏は城内から最後の突撃をかけた。

蜀がいた。
ぶつかり合った所で、戦闘は終わった。



三国制覇戦第四節 優勝決定戦 魏vs蜀
一進一退の展開を経て、

魏が、制覇第四節を制した。


戦闘終了後、城内では幾多の花火が上がり、

皆がお互いの健闘を讃えあった。


三國志online。


我々の愛したゲームは、

ムチャクチャ強い相手と、

ムチャクチャ頼れる味方に彩られて、

確かに面白いゲームだった。


誰に誇る訳でもないが、

しかし誇らしく思えた。


三頭は、電波はどうだったか。


評価は周囲に委ねる部分であるが、

しかし、なんだろう。


胸を張って、戦場を出た。



来し方

初めてキャラを作ったのは、廬山だった。


数日後、橘と2人で泰山に来た。


魏に仕官した。 


MOBにビクビクしながら豫州を走り抜け、許昌へたどり着いた。


部曲を作った。


「三頭猟戌」、と名付けた。


合戦に出た。


簡単に倒された。


魏には、強くて大きな部曲がいくつもあった。


1時間ほどで終わる合戦の後には、数時間かけた会議が行われていた。


その中心にいたのは、徳田さんだった。


魏は、他国に人数で大きく劣っていた。


それが理由なのか、1つの作戦にほとんどのプレイヤーが乗った。


掛け声があった。

「オッス オッス」。


駆けていく魏軍を、必死に追いかけた。


楽しかった。


兄貴が休止を宣言した。


兄貴を先頭にした、長い、長い列に加わった。


豆屋ひよこさんと知り合った。


そして、天下布武の方々と知り合った。

連合を組んだ。


敵の城門の前で、味方の虎戦車から全員焼き殺された。


呉が強かった。

魏は以前にも増して、人が減っていた。


三頭猟戌の稼働率も落ち込んだ。


苦戦した。


音緒に、第一節で部曲を閉める意思を伝えた。


「私はもう少しやろうかと・・・」と、音緒は言った。


この時、決意した。


蜀が強かった。


追撃をギリギリでかわして、魏が優勝した。

三頭副長の香橘、天下布武2代目曲長の葉緑体さんの2名が、引退を決した。


威儀さん、風華鈴さんと3人で、ネットラジオをした。


許昌の宮廷前に、「WIN」の文字を献身で書き出した。


涼州が実装され、同時に表彰式があった。


特設櫓に上がった徳田さんの姿を、遠く感じた。


「上野やる気出せよ」 徳田さんが直接的なメッセージを櫓から放った。


深夜、泰山サーバーだけがダウンした。


久羅そして豆屋ひよこさんと共に、廬山で雑談をしながら泰山の復旧を待った。


蜀が強かった。


呪詛散布が強かった。


瑛彩、涼純を始めとする、数人の新人が加入した。

第二節が始まった。


蜀が強かった。


呪詛散布に下方修正が入った。


しかしまだ蜀は強かった。


2回目のラジオをやった。


天下/三頭の連合は、「電波連合」と名乗るようになった。


魏は負け続けた。


電波は、初めて突撃連合のスタイルで戦ってみた。


合戦後、このスタイルで行くのかどうか、連合内会議をした。


魏は負け続けた。


どうにかしようと、誰もが考えた。


いろいろな案が、いろいろな所から出た。


水鏡で、見かけない魏民を見た。


新規プレイヤーに、アイテムを配っていた。


蛮さんだった。


それぞれが、それぞれに必死だった。


魏は負け続けた。


城から出られない日々が続いた。


大規模連合の必要性が叫ばれた。


電波とえあ連で、一緒にやってみようという話になった。


うまくいかなかった。


国全体でもっと人を増やそう、という話になった。


とりまる連合が、祝福と神の護りを周囲に振り撒き続けていた。


楓さんが、関での大規模な兵器待ち伏せの策を打ち出した。


ひさしぶりに、勝った。


年が明けた。


呉が強かった。


呉と蜀が、制覇を争った。


魏は相変わらず、負け続けた。


呉が優勝した。


耐え続けた部員には、悪い事をしたと思った。


引退や移籍を、止めようとは思わなかった。思えなかった。


しかし、ほとんどの部員は三頭に残ってくれた。


そして、さらに部員が増えた。


第三節が始まった。


邪気連、りふぃ連、鬼神連合を中心に、魏がスタートダッシュを決めた。


三頭が、部曲順位の1ケタに載った。


部員全員が、喜んだ。


部内に役割を作った。


全員が、全員の為に動いた。


AIONのサービス開始に、にわかに全体の人数が減った。


三頭からの流出は無かった。


週末、ネカフェに篭ってレベリングをした。


椅子をブースから放り出し、中腰の姿勢でプレイした。


初めて、部曲1位を獲った。


砦に集まって、記念写真を撮った。


実装されている全ての客将を国内に呼ぼうと思った。


邪気眼さん、蒼波の情熱さん、毛一族さん、龍閃組さん、曹魏社会人組さん等、いくつかの部曲で試験納入をした。


結論として、膨大な物量が必要となる事がわかった。


「集めようじゃないか」と、部員が動いた。


その過程で、碧陽重嘉が軍略から「飾り鎧」を持って帰ってきた。


砦に祭壇ができた。


金沢遼が、武将模型を次々と入手し、砦に並べていった。


蛮さんから趙健さんを紹介され、魏志東夷伝さんとの付き合いが始まった。


東夷さんが電波に参加する際には、電波は第二連合にまで人数が及んだ。


威儀さんと風華鈴さんが、VCを用いた指揮系統を確立してくれた。


三頭生産部が、合戦のたびに消費アイテムを1銭で連合内に販売した。


自分はただ、盟主の指示に「おk」と返したりとか、何か鼓舞するような一言を吐くぐらいしかできなかった。


対話が増えた。


楓さんから、「最近、三頭すごいね」と言われた。


蛮さんから、「馬さんなら大丈夫」と言われた。


趙健さんから「馬さんのようになりたい」と言われた。


いろいろな、もったいない言葉をいただいた。


電波の主役は三頭では無いし、三頭の主役は自分では無いと思っていた。


同時に、自分が曲長である自覚もあった。


第三節の終了を控えた頃、三頭をどう閉めるべきか考えた事があった。


しかし、どんな形であれ、部員をたとえ1人でも放り出す気にはなれなかった。


結論は、1年前に出ていた。


音緒から、「私はまだ続ける」と言われた時に出ていた。


最後までやろう、と思った。


やがて部員が1人減り、2人減り、部曲が仕様上の存続不能状態になるまで、自分は続けようと思った。


自分が三頭猟戌の曲長であるから、立ち去るのも自分が一番最後であるべきだと、そう思った。 そう決めた。


第三節、魏は優勝した。


表彰式で、三頭猟戌が泰山魏の総合3位に入った。


第四節開始の直前、スタートダッシュに景気をつけようと、温めていた客将計画を実行しようと思った。


しかし、直前で納入カテゴリの仕様が変わった。


同じ頃、倉庫枠が増える修正が入った。


嫌な予感がした。


電波連合は、1つ減った魏の連合の中で、繰り上げ的に第三の連合となっていた。


勝ったり負けたりの日々が続いた。


5月の初旬、所用で関東から東北へと動き、出先のネカフェからINしてプレイした。


そんな時でも、部員たちは地道に自分たちの役割をこなしていた。


地元に戻った。


そして、目を疑った。


三國志online、サービス終了の知らせがあった。


狼狽する声を聞きながら、しかし自分にはそうしている暇が無かった。


やり残したことがいくつもあった。


客将計画を発動した。


数日間に渡って、明け方まで及ぶ納入を敢行した。


冗長な時間に、多くの協力者たちが付き合ってくれた。


そして、総ての客将を魏国内に呼んだ。


栽培部が、最後の活動を開始した。


そして、相当量の交換アイテムを作り出した。


模型部が、まとめて実装された武将フィギュアのことごとくを入手して、砦に並べた。


生産部が、あらゆる高級素材を駆使して、高級アイテムの大量生産に入った。




「無意味だ」という言葉をどこかで聞いた。


しかし自分には、そうは思えなかった。


愛しているもの、大事にしているものを失うのは、これが初めてという訳では無かった。


失うたびに、何かが残り、何かが生まれる事を、自分は知っている。


だから、


意味は自分で見つけ出す。


だから、


限界は自分が決める。


だから、


三頭猟戌は、最後まで三頭猟戌であり続ける。




そう決めて、7月19日を迎えた。