【艶展】月待講「同一情感」 | 妄想小説?と呼べるのか否か

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艶が~るに関する内容です。

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↑販☆についての説明がありますので、アメンバー公開です。

気になった方は、是非。



さて、三日目ですね。本日は月待講です。図録にも載せていただけました。


今だから言おう。これが一番大変だった……!

一番最初に書き上げた、月待講。これが、花里主役の超真面目な話、後日公開予定の「記憶」です。

これをノリノリで書いて、気付けば5000字を超えていて。あれ?規定1600字ですよね?っていう。

仕方なく一度没にして、再度花里主役の話を1600字で書く。

花里ちゃんの恋の話だったんだけど、なんとなく「う~ん・・・?」という感じが抜けぬまま、とりあえず提出。


しかし、ナツミンさんからの月待講のイラスト を拝見し、「ふおおおおおおおおお!!」と大興奮して、「これは!これは書かずにはいられない!!」と、再度花里を没にして書き上げ、締め切りぎりっぎりに最終稿を提出しました。


そんな話がこちら。イラストとリンクされているといいな。

ちょっと改変してあります。すみません。

完全翔太ルートのネタバレ含んでます。嫌な人は回れ右でオナシャス!!













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『同一情感』


 夜空にぽっかりと浮かぶ黄金色の丸い月。
 縁側に二人で腰掛けながら、私と翔太さんは黙ってそれを眺めていた。
 昔と違って、その無言の空間に、焦りや緊張といった物は全くない。ただただ、その時間が心地よくて―…いつしか互いに手を繋ぎながら、私達はその時間に身を委ねていた。


 そんな時、私は一つこの光景に既視感を覚える。それが何なのかを思い出した瞬間―…私の口から自然と笑みが零れた。
 それに気付いたのか、翔太さんは柔らかく微笑んで私に「どうした?」と問いかける。
 そうして、それに応えるように私は首を横に振ると、再び空を見上げながら、話し始めたのだった。


「…なんだか、懐かしいなと思って」
「懐かしい?」
「うん。…翔太さん、覚えてる?私達がこの時代に来て、初めて手を繋いだ時の事」
「…覚えてるよ。庭に面した部屋に二人で泊まった時の事だろ?…あの日もこんな満月だったよな」
「うん…だからね、こうして二人きりで縁側に座っていると、思い出して懐かしくなっちゃっ…っ!?」
 

 その時、繋いだ指先がきゅっと握りしめられるのを感じて、翔太さんの方へと顔を向ける。だけど彼は懐かしむかのように、夜空を見つめていた。

「…実はさ。今だから言うけど…あの日の翌日に俺、ほんの少しだけ後悔してたんだ。
どうしてあの時、手を繋ぐだけにしたんだろうって。もっと他に…」
「・・・・・・・・・。 えっ!?」


 その言葉の意味を深読みしてしまって、だんだんと顔が熱くなるのを感じる。
 だけどそれに気付いたのか、彼は慌てて否定してきた。

「いや、その、それ以上の事をとかじゃなくて…そりゃ確かに思わなかった訳じゃないけど…って、何言ってるんだろうな、俺…」


 彼は先程の私と同じぐらい頬を赤らめる。
 しかし、そんな顔を両手で隠すかのように覆うと、言葉を続けた。

「…まあ、だからさ。もっと他に、言わなきゃいけないことがあったのにって思ってた。
 あの時は、自分が生きている保証なんてどこにもなかった。…それに、そうやって考えあぐねているうちに、他の誰かに取られる可能性だってあったのに」
「翔太さん…」
「…でも、まあ、あの時はあの時で…何より龍馬さんのことがあったし。それに、例え思いが通じ合ったとしても、すぐに俺が死んでしまったら、結局悲しませてしまうし。だったら、他の奴と幸せになったほうがいいんじゃないかとか考えた結果だったんだけどさ。…だから、ほんの少しだけ、後悔なんだ」


 彼はようやく顔を上げると、自嘲気味に笑って私の方へと少しだけ体を向ける。そうして、もう一度掌を私の手に重ねると、再び優しく握りしめた。
 その手を見つめながら、思い出す。翔太さんの命が消えかかろうとしていた時、私も同じように後悔していたことを。どうして、あの時にこの気持ちを伝えなかったんだろうと。でもまさか、同じことを思っていたなんて…。
 ふと顔を上げると、彼と目が合って。それが何かの合図となったかのように、翔太さんの顔がゆっくりと近付いていく。
 そうして私もまた、これから起こることに胸を高鳴らせながら瞼を伏せた。


 耳に、甘く優しい声が響く。

「…あの日の続き、してもいい?」


 それに頷くと、私達はどちらからともなく唇を交わす。
 同じ後悔をしていたことを伝えたら、彼はどんな顔をするだろうか。そんな思いを胸に秘めながら。





 終わり。



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と、こういう内容でした。

いやあ、久々に文章をアップすると恥ずかしいもんだな!←


では、明日は、先ほど申した花里主役の物語、「記憶」についてです。

結構長いので、前後編でアップしようかな。


ではでは。