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越前岬 氷天然生原酒

たけぶろ-氷天然  
福井県 田邊酒造 「越前岬 氷天然(ひょうてんねん)」純米吟醸 生原酒  

Alc17.0~18.0 福井県産五百万石 精米歩合55% 日本酒度+3.0  

  

関西以西 ネットでも殆ど流通の無いこの蔵元の酒と巡りあえたきっかけは 長年懇意にして貰っている福井の名士A氏からの紹介でした 田邊酒造の主力銘柄は「越前岬」「優勝」ですが 殆どが地産地消の銘柄です 

  

昨年出会った「越前岬大吟醸 波涛(はとう) 」そして「越前岬 滓酒 樽底 」 間違いなく福井を代表する銘柄と謳って恥かしくないその極上の雫に 紹介させて貰ったブログを田邊専務が閲覧され 連絡を頂いたのが 昨年の出会い(2009年3月6日記事参照 )に繋がっています 

  

この“氷天然”も本来なら入手等不可能 僅か数百本のみの生産だそうですが こうやって手元に類寄せれたご縁に感謝しながら頂きたいです 寒作りの直後“新酒”として出荷される生原酒は 透明ではなく 若干淡い琥珀色です 色抜きや雑味抜きを目的とする“炭素濾過”していません   

  

薫りは至って控え目 ほんの僅かですが米の甘味を醸し出しています 先ずその口当たりの柔らかさにびっくりしました「熟成させている…」 程よくこなれた酒質と優しく旨いアルコールを然程も感じない程

抵抗無くするりと入っていきます 五百万石らしい 柔らかいながらも深みのある米の旨さが活かされています 

  
たけぶろ-氷天然1  
22BYの蔵出しとは思えない程 こなれた味わいを演出しています 雑味が全くといって感じられず 口当たりは純米大吟醸さながらです この深いまでの熟成感はまさに感動もので 新たな生原酒の一面を垣間見たそんな感じでした 蔵元の酒に対する想いを直球で受けた印象です 

  

常温 ぬる燗 とそれぞれ頂きましたが 温度帯の違いでも腰の柔らかさ そして控え目ながら豊潤な味わいは秀逸です 昨年 感動だったあの「滓酒 樽底」が ふと脳裏を過りました 

  

こういう旨酒を自分が造る料理と併せて 提供したいですね 酒から発信するイメージを連動させ 膨らませ 旬の素材に絡めるこの柔らかさを持つ銘酒が 厳寒の地で僅かのみの出荷だったと思うと 日本酒世界の奥の深さを改めて思い知ります 

  

1週間後 1年ぶりの再会となるであろう 田邊酒造の兄弟達と また杯を交わしてこの酒に対する想いをじっくり聞き出してみたいです 

雄山一のご縁 ~ 三宅島より遥々

先日書いた焼酎“雄山一(おやまいち) ” 実は1年半前の店HPより修正/加筆して再UPしたものです というのも昨日 三宅島より蔵元さんが遥々当店に来られていた事情がありました 

  
たけぶろ-三宅島酒造名刺  
昼席が終わって一息ついていた時 三宅島の蔵元Aさんが「こんにちは~♪」と突然来訪され 「やっと来れたよー!」って… ただただビックリだったのですが  


お土産に貴重な蔵のお酒等を頂き ホテルに一旦戻ってまた出直すとの事 そういう経緯で雄山一の記事を再UPした訳です そして晩Aさんが1人で再来されました 連れの方は別に飲んでいるとの事 

  

正直 Aさんが女性だったので てっきり蔵元の奥様かと(失礼しました) ずっと思っていましたが Aさん当人がこの三宅島酒造の杜氏と改めて知り…(驚 表現が難しいですが 酒作りに携わっているとは言われない限り判らない華奢で清楚な雰囲気の漂う そんな女性でした 

  

関東で全国酒販会の催しに出席の後 酒造りもメドがついていたので併せて休暇を取り 和歌山で1泊 そして大阪で1泊と予定を組まれ私の店に顔出しされる予定だったとか 何とも光栄の至りか… 

  

改めて挨拶を交わし 丁度他の客のオーダーが落ち着いたのでカウンター越しにゆっくり話が出来ました 酒の話をしているその表情はさすが蔵人らしいアツい目でした  

  

三宅島酒造の事 伊豆七島全体の焼酎業界の現状などなど 作り手の深い話と酒に対する想いを含めた貴重な話を沢山聞かせて貰い ふとお土産で頂いた焼酎を飲みたくなったので 一緒に 

  
たけぶろ-雄山一原酒  
謹製 OYAMAITI 原酒40度 500ml  

  

生産本数 僅か1,000本という希少な原酒です 味わっていらずにはいられません Aさんはこの瓶のデザインに不満そうだったが 私は大変気に入りました 早速開栓し 瓶口から放たれる薫りを嗅いでから 生で頂いてみます 

  

やはり“雄山一”です 米麹の柔らかい薫り そして他の伊豆焼酎とは一線を画した女性的な優しさ 原酒ゆえフーゼル油の匂いと刺激感がしっかり伝わりますが 喉越し優しくすっと切れる後口 西方が醸す麦酎とはまた違い派手な香ばしさも無い… その代り麦らしい甘さが仄かに全体を包んでいます 

  

「これ…湯割りで合いそうですね」自分が率直に聞くと 「そうね 出来れば人肌くらいで飲んで欲しいかな? 面倒臭い事言うようだけど」 いえいえ 折角醸した本人の助言です 湯割り用の陶器を温めて 言われた様に人肌程度のぬる割りで調整し頂いてみました  
  

成る程…軟水の“馴染み”も早い 微妙な花咲き加減がまた由 といったところでしょうか 決して薄っぺらく無いまろやかな旨味 甘味が十二分に口の中に広がります が原酒の輪郭を“割る”事で僅かながら損なうのが何故か勿体無い気が  
  

Aさんの考えでは 三宅島特有の環境/水質等を含め 貯蔵前の割り水は作り手から見てリスクも多少あるらしいです やはり本音として割り水していない原酒で風味 味を愉しんで貰いたいという事でした 失礼ながらも作り手の前でその酒を頂きながら 深く納得する思いでした  

  

焼酎ブーム前 そしてブーム最盛期を経て今…変わらない確かな物を再確認出来た事がとても嬉しく そして遥々のご縁にただ感謝です 元は群馬の知人からご縁で頂いた その繋がりが結実した思いです 

  

恥ずかしながらも 未だ誰にも見付かっていない宝物を見たような嬉しさもありましたが 「そう言えば 関西に全く販路が無いんですよね」と問うと 中々生産本数の関係で構築が捗らないとの事でした しかし明日 私も付合いの長い酒販店さんに挨拶に伺うとの事 自分も近々伺う予定なので是非 後押しさせて貰いたいと思います  
  

HPでも直販をしているとの事 そこなら+送料だけで手に入れる事が出来ます これも吉報でした 

  

雄山一 雄山一セットのご案内   

  

今年から関東を中心にイベント等 積極的に参加する予定らしく 夏前にはあの“横浜大焼酎会”への参加も決まっているらしいです 知合いに会う目的もあるが… 行きたいですね 兎に角 楽しい時は直に経ち またの再会を約束してAさんは帰路に 三宅島から遥々ご来店頂いた事に またご縁の深さをしみじみ感じた1日でした  

ありがとう♪

 

                      こちらこそ何時もありがとうです♪  

  

 

                      応援ありがとです♪ 元気でるな~o(^▽^)o  

  

                      おしゃー! 頑張るでー(*⌒∇⌒*)

  

                      こっちこそ♪ 何時も楽しみにしてます!

  

                      うは!! ご利益満点♪

  

                      ちょっと遅くなったけど ありがとう♪(*^o^*)

  
  
  

                           お礼が遅くなってしまいました(涙

                           ホントにみんなありがとう♪ 

                           これからも頑張りますー!  

御山一(おやまいち)

以前 私の我侭を群馬の知人が快く聞いて下さり お陰で手元にたぐい寄せれた 本当に感激.ご縁の銘柄です 

   

DSC01993.JPG  
東京都 三宅酒造 「雄山一」 

参照HP 三宅島酒造  


10数年前だったか…当時の記憶では4合の角瓶だったと思います 何せ飲み易い麦だなあ…と 噴火による島民避難に伴い 蔵は閉鎖され絶版になっていたこの「雄山一」が数年前より復活する と風の頼りを聞いて ずっと捜し求めていました が調べてみると事実は少し 違っていたようです 
  

創業は昭和4年 屋号「伊ケ谷酒造」で平成12年の噴火に依り蔵は閉鎖されましたが その少し前に後継者不在 という事情で焼酎の製造は既に休止されていました 一昨年秋より有志が三宅島酒造を立ち上げ この「雄山一」もその年の春復活したという事です 因みに その復活の際に貼られたポスター  

  
20080411161542s.jpg  

で一昨年12月にニュースでも報道されていました 
http://www.yomiuri.co.jp/gourmet/news/20071212gr0d.htm

  

ご縁を齎してくれた群馬の知人に深く感謝しながら開栓しました 薫りはいたって控え目 優しい香りです 伊豆で生産される焼酎達は麦麹を使用する事で独特の香りと味わいを醸しています 

  

大島には 御神火  
利島には さくゆり  
新島には 嶋自慢  
神津島には 盛若/神津の華  
八丈島には 鬼ごろし/嶋の華/黄八丈/一本釣り  
青ヶ島には あおちゅう  

  

この「雄山一」はそれらとは一線を画す様な味わいです 飲み口は本当に滑らか 多分麦麹でなく米麹を使用しているせいなのか 後口にまるっと麦の柔らかい甘味を感じ取れます  

  
ロックで食事との取り合わせも充分いけそうです 湯割りで飲んでみても 然程香りは膨らまないですが まろやかな すいすい飲める癖の無い味わいです  

  

一昨年 4月の最初に1,000本だけ出荷されたそうです と聞いて尚更 巡りあいの運の良さを実感出来ました ご縁に感謝♪  

  

IMGP7457-dabce.jpg  
東京都 三宅村 雄山の風景  

“素材眼”を会得する事

料理人は献立を考慮.調理し 客に提供する時 その料理に合わせる副材(醤油/塩/柑橘系)等はどの様に考慮し選定しているか…つい最近 常連から尋ねられた話ですが 改めて振り返ってみます 

  
たけぶろ-造り盛22-3

(参考として自分の扱っている商品)  

店で看板商品にもなっている“特選 造り盛り(7~8種)”1,780円  

  

盛付けや素材などは和食乍当然 季節や旬の素材を優先に考慮します 其々の素材(例えば鯛 平目 鰤 雲丹など)の味見は当然してから調理に用いています 

  

その時の留意点として 醤油や山葵など 副味を一切付けず 素材そのものが持つ“味”を体感する事です 造りであれば何でも“山葵だ 醤油だ”という概念では 素材の持つ本来の旨味を引き出す事は出来ないと思います 

  

居酒屋等でよく見かける 造り身に柑橘類を添える盛り付けですが 本来鮮度の良い造り身であれば 柑橘の酸味や薫りは逆に仇となってしまいます 見た目の綺麗さと相反して 素材の美味さを妨げているこれも自分自身 考察を重ねる事で見える様になりました 

  

河岸で仕入れた魚介の状態にも拠りますが すぐ提供した方が良い物 少し時間を置いて旨味を熟成させてから提供した方が良い物… 長い事 河岸に通っていると 大体の感覚で季節の食材.魚介の出回りや時期が把握でき またその素材を“見るだけ”で自然にその素材が持つ味まで想像出来る様になります 

  

以前書いた「相対価値」 と並んで料理人に不可欠な この素材に対する深い理解を 私は「素材眼」という言い方で 後進に指導してきました 

  

修行した場所での技法が その人の料理の基本になります しかし一人前の料理人はそれらの“概念”という壁を乗り越え 自分の料理感を展開していかなければ この受難の時代 概存の常連そして新たな顧客創出への対応が出来ないと見ています 

  

参考に挙げた魚介のみならず野菜や獣肉含め 関わる全ての素材に対し 今までの“観念”を一回リセットし改めてその素材と向き合う それは数多の料理本や風評等の情報では決して得る事が出来ません 

  

自らが体得したものが「素材眼」の全てであり 料理人としての力量もそこから慮る事が出来る と言っても過言ではないでしょう 勿論 先人達の教えや智恵も疎かにする事は出来ません 料理人はスタート地点で誰しもが模倣(真似)から修行が始まります 

  

そこからひとつ 抜け出すかどうかは自分自身の力量に掛かっています 教育や指導だけでは「素材眼」を会得する事は出来ないと日々痛感しています