それでも僕はまた君に恋をする10 | 1年だけ先輩。(基本お山)

1年だけ先輩。(基本お山)

やま。いちご。そうぶせん。

理解した方だけしか読まないでください(笑)
ごにんに心奪われ続け、眠る身体も起き出す状態です。

脳内妄想を吐き出す場として利用しようかなと思ってます。
ご気分害されたらごめんなさい。
※主軸は21です!

※妄想のお話です。


投稿するためにバッチリ下書きしてあって後は校正だけと思ってたのにその記事がまるっと消えて絶望してる私ですどうも( ;∀;)

記憶を頼りにゼロから書き出したのは夕飯の後です( ´ ཫ ` )

誤字脱字あったら教えて~もう~悔しい~~~っ!!
















「えっ、熱…ですか?」


「げほっ…ただの風邪だからすぐ治ると思うんだけど、とにかく今日の打ち合わせは…げほっ、げほっ!!」


「そんなの当たり前です!!原稿はほぼ出来てましたし…それより大丈夫ですか!?」


「大丈夫、げほっげほげほ!…とにかく、また連絡します…」


「あ、ちょっと先生っ」


電話は無慈悲にもその繋がりの終わりを告げている。


……熱、か。


大野さん、両親はいないって言ってたな。



………一人暮らしなら…


看病する人、いないよな……?



「…桜井出ます!」


「おーいってらー」


自由な職場で良かった。


デスク上をまとめていると雅紀が「あれー?」と寄ってくる。


「翔ちゃんどこ行くのー!?」


「あぁ…Sakura先生が熱出したみたいで、見舞いに行こうと思って。」


こそっと言うと、えー大変!と目を丸くする。


「てか、あれ、お前撮影は?」


今日はtortugaの撮影日のはずだ。


話を持ってきたのは俺でも、雅紀の企画につきっきりで担当するわけにはいかない。


「カメラマンのニノちゃんが用事出来ちゃってお休みになったの~!」


「ニノちゃんて……。」


ったく、松本と言い雅紀と言いなんでこんなえげつない距離の詰め方すんだ?


…そういや…


「…二宮くんとどうなの?」


あれから10日ほど経ってるけど。


「それがさー聞いてよ!嫌がられてはないっぽいんだけど、なーんか警戒されてるっていうか…戸惑われてる感じなんだよね~!!」


おお…


正常の反応じゃねぇか……。


男にガンガン迫られて警戒も戸惑いもしない方がおかしいと思うんだが。


「けど、今度二人で飯行きましょー!って誘ったの♪恥ずかしいのか目を逸らされて『はぁ、まぁ機会があれば』って言われたー!!脈ありだよねっ!?」


どこがどう脈ありなのか全然分からない。


けどまぁ本人が幸せそうだから水はささないでおく。


「何にせよお前は…行動力あって本当にすごいな。」


普通そんなに動けねぇよ。


大人になればなるほど、怖いもん。傷付くのが。


「だって、素敵な子を目の前にして動かないとかオトコじゃないじゃん!!狩りは本能だからさ!!!」


俺に足りないもの、すなわちそれは衝動性なのかもしれない…。


その点では雅紀はだいぶ先輩だ。


残念ながら尊敬に値してしまう。


「と、ゆーわけでぇ~…俺暇になっちゃったから翔ちゃんについてってSakura先生見に行こっかなぁ♡」


「はぁっ!?」


「だーってどんな人か見たいもん!可愛くて綺麗なんでしょ!?翔ちゃんあやしーんだよなーー!なーんか最近見た目気にしちゃってるしー!!」



……Sakura先生と雅紀が会う?


素敵な子を目の前にして動かないわけないとか言っちゃう本能丸出し男が?


大野さんという魅力が服着てるような人(←贔屓目が酷い)と、対面する……?


『こんにちはーっ!お見舞いでーす☆あー!ひゃっひゃ、やっぱすっごい可愛い!!好きになっちゃったかもー!!』


『へっ…?げほ、げほっ、だれ…げほっ』


『わーー風邪大変!早く寝て!俺相葉雅紀!翔ちゃんの後輩です!ほら、汗拭いてあげる!お白湯は?口移しで飲みます?ちゅー♡』


『え、あ、はい…ちゅー…?』


『ちょ、雅紀、やめっ……ああああああーーーーーーっ!』




「…だ、ダメ!!!!ぜーーーーったいダメ!!!!!!!!」


「え、なんでぇ!?てか急に声でかくない!?」


「お前なんかSakura先生に会わせられっか!疲れるだけだろこの万年発情期め!!」


「えーー!?何急に、失礼すぎるんですけどー!!?」


「うるせぇ!後輩は後輩らしく仕事してろ!!行ってきます!!」



ぶーぶー文句言ってる雅紀を背に事務所を飛び出した。





「この辺かな…。」


地図を片手に知らない道を歩く。


自炊をすると言っていたから、米と調味料はあると踏んで…卵だけを入れた袋をもう片方の手に提げている。


「…卵粥、まだ好きだといいけど。」


俺は実家暮らしだから自炊は全然しないけど、卵粥だけは作れるんだ。


『昔』、あなたに教わったから。




俺が医者であなたが暴力団だった時。


あなたは一緒に暮らし始めて1ヶ月ほど経った頃、熱を出したんだ。


「何か食べれる?粥でも作ろうか?」


当時は家族に先立たれた俺は、ずっと一人暮らしだったから最低限の料理は出来ていた。


そしたらあなたは、小さくこくりと頷いて。


「じゃぁちょっと待ってて」


立ちかけた俺の腕をきゅっと掴んだあなたは、上目遣いでこう言った。



「……たまご……。」



顔に傷もあって、パッと見強面に見えるあなたから初めてのお願い。


恥ずかしいのか拗ねたように口をとがらせたあなたは、とても幼く見えて。


俺の心臓がきゅうううううううっと掴まれたのは言うまでもないだろう。


その日は優しく雪が降っていて。


卵を取り扱っている八百屋は遠く骨が折れたけど


あなたが喜ぶ顔を思い浮かべたら、心はポカポカだったんだよ。



──あなたにそう言ったら、どんな顔をするだろう。


気持ち悪いって思うかな。


信じられないって笑うかな。


ちょっと…いやだいぶ怖いけど


あなたに知って欲しい。


俺がどれだけあなたを想って生きてきたか。


俺がどれだけあなたに恋に落ちてきたか。



知って欲しいんだ。



俺らは、何度も何度も恋に落ちてる運命の相手だってこと。



だって、あなたが言ってくれんだ。


記憶なんてなくてもまたきっと恋に落ちるって。


生まれ変わるベニクラゲを好きなあなたなら、きっと分かってくれる。


そう……信じるから。





「…ここだ。」


大野さんの家は立派な、だけど古びた一軒家だった。


何となく大野さんらしい。


ニヤける顔を整え、玄関をノックしてみたけど…反応無し。


「すみません」と声をかけて暫く待ったけど誰も出なかったから、庭へと回り込んだ。


熱が酷くて寝てるのかもしれない。


そう思って。



そしたら、話し声が聞こえて。


縁側で、予想外のものが目に飛び込んできた。





二宮くんが




大野さんに、キスしていた。