それでも僕はまた君に恋をする14 | 1年だけ先輩。(基本お山)

1年だけ先輩。(基本お山)

やま。いちご。そうぶせん。

理解した方だけしか読まないでください(笑)
ごにんに心奪われ続け、眠る身体も起き出す状態です。

脳内妄想を吐き出す場として利用しようかなと思ってます。
ご気分害されたらごめんなさい。
※主軸は21です!

※妄想のお話です。

 

何度だって言いましょう。

私的には完全なるハッピーエンドです。(信頼感ゼロ)

次位?で結構話動くと思われます。

そしてもうすぐ違う人の視点です!

ずっと暗くて申し訳ない!(笑)

 

 

 

 

 

 

 

 

「…大野さん…俺…。…あなたに、言いたいことが…。」

 

「……さく……」

 

ドクン、ドクン。

 

俺の心臓の音か

 

大野さんの心臓の音か

 

もう、わからない位に密着してる。

 

 

 

あなたに、何を聞けばいい?

 

俺と一緒に死んでくれ?

 

そんなこと言えるわけがない。

 

なら、俺のこと好きかどうか?

 

だからって死ぬ運命をたどる口実にしてはいけない。

 

 

生きていてほしい。

 

でも、一緒に生きていきたい。

 

 

俺は欲張りで

 

それは自分勝手な気持ちでしかなくて

 

 

じゃぁ、大野さんにとっての正解は…?

 

 

 

 

 

『ダメ──。お願いだから、終わらせないで…。』

 

 

そうだ。あの時。

 

いつだったか

 

生徒だった彼は、俺の唇に人差し指を当て、キスを遮ってそう言った。

 

…『終わらせないで』。

 

彼にとっては多分、生徒と教師としての今の関係って意味だと思うけど

 

輪廻転生している俺からすれば、この運命をってことに聞こえて

 

ひどく動揺したんだっけ。

 

 

 

それでも欲望を簡単にしまい込めるわけがない。

 

──何をしてるんだ!

 

たまらなくなって彼を抱きしめたところを学校長に見つかり

 

俺らは当然、引き離されることになった。

 

俺は彼に逃げようと言った。

 

また失うなんて絶対に嫌だったから貯金もしてたし、逃げる先にあても見つけていた。

 

彼もその時はついに「一緒に逃げる」と言ってくれた。

 

嬉しかった。

 

運命に打ち勝てるんだと思った。

 

今度こそ。

 

本気でそう思っていた。

 

 

だけど

 

やっぱりそれは叶わなかった。

 

 

深夜に互いがこっそり家を抜け出して落ち合うはずだった深夜の丘に、

 

陽が上るまで彼の姿が見えることはなかった。

 

当時連絡手段なんてものはなくて

 

ただ彼が心変わりしたんだと自分に言い聞かせて、肩を落として家路についた。

 

俺の家の前にいたのは、彼の両親だった。

 

 

「息子が死んだのはお前のせいよ!!!」

 

頬を殴られ大泣きされて、ようやく知った。

 

彼が橋から落ちてしまったことを。

 

彼はよく言っていた。

 

家の近くに古い橋があって、ギシギシ鳴って怖いんだと。

 

その橋が壊れていて、壊れた箇所に彼の靴がひっかかっていたらしい。

 

俺は知ってたのに。

 

そうなるかもしれないことを。

 

迎えに行ってやればよかったのに。

 

誰かに見つかっても、一緒に手を取って逃げることが出来たかもしれないのに。

 

だけど、一緒に逃げると言ってくれたから安心してしまっていた。

 

今度こそ、って。

 

今度こそ俺は運命の輪から逃れられるんだって。

 

だけど…それすらも歯車の一つだった。

 

死 体 は上がっていないと聞いて、もうたったの一度も彼の顔を見れないその世界に絶望し

 

俺もすぐに命 を 絶 った。

 

 

何の後悔もなかったけど

 

ただ、辛かった。

 

また一人で彼を死 なせてしまったことが。

 

どうせなら一緒に終われたら良かったのに。

 

それがだめでも、せめて俺だけ終わるようになればいいのにって。

 

だけど運命は、それを許さなかった。

 

どの人生でも。

 

 

ああ、またダメだったって。

 

そう毎回後悔して

 

だけど抗い方もわからなくて。

 

俺は波に身を任せるしかなかった。

 

 

 

だけど。

 

 

 

俺は、今度こそ自分の力であなたとの未来を掴みたい。

 

 

 

そのためには

 

俺はまずあなたに聞かなくちゃいけない。

 

俺だけが望む未来なら

 

それは存在しちゃいけないから。

 

 

それでも一緒に死んでくれるというなら

 

俺は、あなたと抗いたい。

 

この運命に、立ち向かいたい。

 

 

 

 

 

「…分かってたら…」

 

突然の俺の言葉に、眼前の大野さんが「えっ?」と声を上げる。

 

小さく距離を開けて、手を優しく握る。

 

温かい。

 

この手が冷たくなるのを、見たくない。

 

だけど

 

 

 

手放すなんて、もっと嫌だ。

 

 

 

「…突然変なこと聞きますがすみません。…バスに…。

車中に、どうしても諦められない大切な人がいる。その過程は泣きたくなる程幸せだ。

だけど、必ずその先が…終着地点が、『二人の死』だと。

永遠に終わらない、深く、暗い闇の中だと。

分かっていたら、あなたはそのバスに…乗りますか…?」

 

 

前世を知らない大野さんへ、俺なりの精一杯の質問だった。

 

あなたが俺なら、どうしますか。

 

本音を言うなら、俺はあなたを死なせたくないんだ。

 

だけど…それこそ死ぬほど、狂ったように、あなたを求めてしまう。

 

散々悩んで結局毎度同じバスに乗ってしまう俺と

 

俺のワガママのせいでいつも先に死んでしまうあなた。

 

俺が殺 してるも同然だ。

 

そう、わかってる。

 

わかってるのに……。

 

 

「乗るよ。」

 

 

大野さんが迷うことなく言い放つ。

 

真っすぐな瞳に、迷わぬ意見に、ぎゅうっと胸が締め付けられる。

 

 

「大切な人がいるなら。諦めるなんて出来ない。

例えそれが幻で、悲しい終わりだとしても。

…果てしなく続く、深い闇だとしても…。

どんなことをしても一緒に乗ることを選ぶよ。…桜井さんとなら。」

 

 

俺と、なら。

 

わけのわからないであろう質問に、大野さんが俺の名前を出して優しく笑ってくれて。

 

だから俺は、泣きそうになるのを必死でこらえて同じように笑顔を張り付けた。

 

 

また、このバスに乗ろう。

 

あなたと一緒に。

 

例え行先が、地獄のような未来だとしても。

 

あなたにとって俺がどれほどの価値かはわからないけど

 

俺にとってあなたは、命よりもずっと大事な存在だから。

 

 

「…俺…頑張りますから。だからあなたと今度こそ、この運命を…っ」

 

「…待って。」

 

大野さんがそっと俺の手を離した。

 

驚いて大野さんを見ると

 

悲痛な顔で、涙を一筋流しながら言った。

 

「それ以上は、言わないで…。お願い…。」

 

何でだよ…。

 

バスに乗ってくれるって言ったのに。

 

ずるい。ずるいってば。

 

何でいつも、そうやって俺を拒絶するの。

 

いつだって俺を恋に落とすくせに

 

俺に、恋に落ちてくれてるくせに

 

 

どうして

 

どうして俺らは結ばれちゃいけないんだよ!!!

 

 

「何故ですか!俺らは、とっくに…何度も何度も恋に…っ!」

 

言いかけた時、大野さんが遮るようにもう片方の手で俺の手を握り返した。

 

 

 

「おいらね。もうすぐ死ぬんだ。」

 

 

 

…は?

 

予想外の台詞に息を飲む。

 

 

「余命3年。…が、今2年過ぎたとこ。あと1年位しか生きられないの。

だから…どちみち今、『死』に向かってるバスの中みたいなもんなんだ。」

 

 

大野さんが、へらりと笑った。