それでも僕はまた君に恋をする16 | 1年だけ先輩。(基本お山)

1年だけ先輩。(基本お山)

やま。いちご。そうぶせん。

理解した方だけしか読まないでください(笑)
ごにんに心奪われ続け、眠る身体も起き出す状態です。

脳内妄想を吐き出す場として利用しようかなと思ってます。
ご気分害されたらごめんなさい。
※主軸は21です!

※妄想のお話です。

 

「遅いよ。」やNo control然り…

よくぞこの暗く重い、謎多き話にここまで付き合ってくださったと

毎回ネタ晴らしの投稿する時に感動するんです。

(似たような話が多いということだスミマセンw)

無理な人は離脱していいからね!と毎度書くけど

やっぱり話の核までついてきてくれたらすっごく嬉しいのです。

いつもありがとうございます!(笑)

まぁ

こんなこと書いときながらまだ折り返しくらいなんですけどね←

ハッピーエンドまでまっだまだ遠いんですけどね←

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──皆の前世についての話だよ。

 

 

そう聞き愕然としていた俺らだったが、慌てて大野さんが松本に掴みかかる。

 

「……ッ!や、やめろ…っ!」

 

…え?

 

真っ赤になって、服を掴む手が震えている。

 

「何で…おいらたちがどれだけっ…!!!」

 

こんな激高してる彼を初めて見た。

 

何で?

 

何で大野さんがそんなに慌ててる?

 

大野さんは前世について覚えてないはずで

 

だからこそ毎回初めましてって……。

 

「…大丈夫だから。俺の先祖は、巫女だった。…通じるでしょ、『あなたなら』。

そして

tortuga──スペイン語で、『亀』の意味も。」

 

「か、め……?あ…巫女…様……。」

 

大野さんは、ハッとした顔でよろりと後ずさり

 

そのままドッと力が抜けてしりもちをついた。

 

「大野さんっ!?」

 

「智!」

 

慌てて二宮くんと俺が駆け寄ったけど

 

大野さんは顔面蒼白で茫然自失。

 

その様子はまるで先日大野さんを見た瞬間の松本のようで、何が起こっているのか全く見当がつかない。

 

「わかった?…『俺なら大丈夫』だから、とりあえず話聞いてくれるかな。」

 

松本が静かに言って、大野さんが少し迷ってから小さく頷いた。

 

その様子を見て胸ポケットから取り出したのは、黄ばんだ紙。

 

「木箱に入ってた、俺の先祖からの手紙だよ。

文章古すぎて読めないと思うから俺が意訳して読むね。」

 

あの木箱の…?確かに紙が入っている感じはしてたけど。

 

松本はゆっくりとその手紙を開け、深呼吸をしてから口を開いた。

 

『五つの輪が集まる前年の新月の夜に、禁忌が犯される。翌日、関係する者は全て集まること。

 尚、この書が当家の血筋によって読まれた瞬間より”禁句”については不問に付す。』

 

…ってことで。

多分五つの輪はオリンピック。その前年てことは今年で、新月は…今夜。

もちろん次の新月でもいいと思うけど、今年の新月は残り少ないから一日でも早く言った方がいいと判断した。

だから急遽集まってもらったってわけ。

…これで通じるかな?運命が…変わるってことだよ。」

 

松本が俺をちらりと見る。

 

この前相談したときは俺の例えに「重い」と笑ってたのに…どういうことだ?

 

というか、運命が…変わる?

 

禁忌が犯されるって…

 

それに、『禁句』……?

 

大野さんは難しい顔をして何かを考えこんでいて。

 

二宮くんが恐る恐る声を上げる。

 

「まさか、智…お前……。」

 

「……ごめんね、黙ってて…。」

 

流れが読めない。

 

俺と雅紀だけが、取り残されている。

 

目を合わせて、わかる?わからない…と言葉なしに伝え合う程度しかできない。

 

「誰が禁忌に触れるのかはわからないけど。予言ではそうなってる。

だから明日、19時に喫茶シオンに集まろう。」

 

松本が言うと、大野さんが首を振る。

 

「おいらはっ…そんなん……っ!」

 

切羽詰まった声に、松本が優しく大野さんの肩に触れる。

 

「…本当、綺麗な色してんだね。」

 

服装でもない、何かを見つめて松本が言うと大野さんが動揺する。

 

「………っ、巫女様っ…!」

 

「俺じゃないって。先祖ね。」

 

苦笑する松本は、そのまま優しく大野さんの頭をなでる。

 

どこかその表情が、愛情に似たものを感じて胸の奥がざわっとしてしまった。

 

今はそれどころじゃないのに。

 

しかも、松本は俺のこと好きなはずなのに。
 

「…よく頑張ったね。もう、いいんじゃないかな。あなただけじゃなくて、皆。

俺は『当事者じゃない』し『記憶なんてない』から無責任なこと言えないけど…

そろそろ終わらせるかどうか、話し合う時期なんじゃない?

誤解だって結構あるみたいだし…

とにかく折角『不問になる』んだしさ。腹割って話しなよ。」

 

松本の言葉に、大野さんは何かを覚悟するように小さくため息を吐いた。

 

「…わかりました。…桜井さん。今日話せるかな。」

 

思いつめた顔と、泣きそうな顔が混じっていて。

 

俺は頷くしかできなかった。

 

二宮くんも何かを決心した顔で──

 

「ねぇ、俺も話あるから今日ちょっといい?」

 

「え…俺っ!?」

 

「そう。アナタ。」

 

何故か、雅紀を指名した。

 

 

 

 

「…大野さん。何か知ってるんですか…?」

 

その日の夜。

 

大野さんの家で話すことになった。

 

大野さんは恐る恐る言葉を選ぶように口を開いた。

 

「…桜井さんは…その……おいらとの、前世の記憶があるの?」

 

「っ!」

 

目を丸くすると、やっぱり、と大野さん。

 

「それは…んーと…どこから始まるの?」

 

…どこからって…

 

「江戸の…豆腐屋のあなたと…」

 

言いながら声が震える。

 

どういう意味?

 

あなたは今から、何を言おうとしてる…?

 

「あぁ…だからかぁ。そっか。それであの時あんなにおいらと一緒になろうとしてたんだね。」

 

覚えて…る、の…?

 

言いたいことがまるで見当がつかない。

 

俺は黙ったまま、汗ばむ手をぎゅっと握る。

 

 

「…聞いてくれる?おいらの…『おいら達』の物語を。

その後でおいらと一緒になるか…ううん。

『禁忌を犯す』のか。桜井さんが、バスの行き先を決めて。」

 

 

大野さんはゆっくりと息を吐いて、どこか寂しそうに微笑んだ。

 

 

次は大野さん視点だよっ。