それでも僕はまた君に恋をする17-うたかた- | 1年だけ先輩。(基本お山)

1年だけ先輩。(基本お山)

やま。いちご。そうぶせん。

理解した方だけしか読まないでください(笑)
ごにんに心奪われ続け、眠る身体も起き出す状態です。

脳内妄想を吐き出す場として利用しようかなと思ってます。
ご気分害されたらごめんなさい。
※主軸は21です!

※妄想のお話です。

 

うたかた、大好きなんですよね。

イントロも好きだし櫻井さんのラップもたまらん。

たまたま自分か書きたい話の世界観に合う歌が見つかったら

テンション爆上がりしてひたすら聴く。

という生活を繰り返している私です。

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 


あなたと出逢えたことを


後悔したことなんて、一度もないよ。


どれだけ傷付いても


一時の幸せが例え幻だったとしても、構わない。



あなたと同じ時を過ごせたら


あなたとまた恋が出来たなら



もう他に、何も要らないんだ。





──ハッピーエンドですら。





 

 

-うたかた-


Side O

 



 

それは

 

占い師がその国の行く先を決定しているような、そんな時代のこと。

 

おいらの人生は。

 

…記憶は、そこから始まる。

 

覚えていることと覚えていないことが曖昧になるほど、膨大な前世の記憶達。

 

その中でも、彼以外で、絶対に忘れないことが二つある。

 

 

一つは、『2つの約束』。

 

 

全てのそれをはっきりと覚えているわけじゃないけど

 

何度も、何度も、何度も、何度も。

 

気が遠くなるほどの数の恋をした。

 

いつも相手は同じ。

 


彼だ。


 

おいらが年上の時もあれば

 

うんと離れた下だったこともある。

 

だけどいつも同じ性別で

 

いつも同じような顔で

 

いつも同じように終わる。


この『生まれ変わり』は


同じ血筋とかそういうのじゃないのに、不思議な力のおかげでそれだけはいつも同じだった。

 

何百回、何千回も繰り返すおいらと彼の恋を

 

「初めまして」

 

毎回そうやって始める理由は、ただ一つ。


 

おいらは無力だったから。

 

だからただひたすらに『巫女様との約束』を続けるしかなかったんだ。


 

これはおいらにとって

 

『絶対変えてはならない運命』だった。

 

 

 

そしてもう一つ覚えているのは

 

この運命が、『歪んだ瞬間』だ。

 

 


 

「父上!!!!!!!!!」


 

あれは、おいらからしたら『割と最近』の転生。

 

火付け人と間違えられて、彼のお父さんに無理矢理連れていかれた。

 

「お願いです父上っ、アイツだけは…っ!」

 

彼の悲痛な顔を見たのは、もう何度目だろうか。

 

引きずられる身体より、強く握られた手首より、胸が痛んだ。

 

──何か今回は様子がおかしかったな。

 

そんな風に、ぼんやりと地面を見つめながら

 

この先に起こるであろう未来に思いを巡らせていた。

 

 

 

「…ふう、ここまでくれば追ってはこれんだろう…」

 

彼の父は、家から離れたところで息をついた。

 

「面倒かけさせおって。」

 

そんな感じのことを言っておいらの腕ごとおいらを投げ捨てた。

 

ドカッと倒れこみ、着物が泥に滑った。

 

「…あの…」

 

「お主らは大罪を犯したことにするからここから出ていけ。」


…お主、ら?

 

吐き捨てるように言うお父さんの視線を追えば、木の陰に隠れた両親を見つける。

 

怯えた様子だけど、大きな怪我などはしていないようだ。

 


…話はこうだった。

 

おいらと彼が人目を盗んで会っていたことがばれていて。

 

彼が将来のことをおいらのせいで真剣に考えられなくて。

 

だから彼の前から姿を消してくれとのこと。

 

大罪人との悪名は後から必ず消すからという約束で、小判を頂いたらしい。

 

おいら達は低い身分。

 

断る理由も権利もない。

 

「…わかりました。」

 

そう言うほかなかった。

 

だけど

 

(…良かった。『いつも通り』だ。)

 

おいらは安心していた。

 

だって、『運命』は決まっていて。

 

だったらこの先どうなるかってのはわかってたから。

 

 

 

…なのに。

 

 

 

「…え?」

 

「だから、お主のせいで……ッ」

 

数日経ったある日


突然彼の父がおいら達の前に現れ、おいらを思い切り殴って、告げた。

 

彼がおいらが死んだことを苦に腹を切ったことを。

 

彼の父を振り切り慌てて彼の家に戻り確認したけど


その身体は間違いなく彼の物で、何度顔を触っても冷たくて


どれだけ揺らしても、呼んでも、起きなくて。


 

「…ねぇ、起きてよ、起きてったら。

何で?何でこんなことに…?」



おいらは、涙も流さず


ただただ動揺した。

 


だって

 

それ

 

 

 

『おいらの知る運命』じゃなかったから。

 

 

 

いつもの流れだったら、恋路を引き裂かれた彼とおいらはどこかで落ち合って、そして二人で自決するんだ。

 

『また来世も一緒に』って。

 

そう、二人で心で願いながら。

 

何度も何度も何度も何度もそうしてきたのに

 

でもそうならなかった。

 

何故か彼が先に逝 ってしまった。

 

後から思えばおかしいところは他にもあった。

 

彼が頻(しき)りにおいらへの想いを口にしてたところ。

 

本気で一緒になろうと説得してきたところ。

 

そんなことしたら運命が変わってしまう。

 

そしたら来世で会えなくなるかもしれない。

 

だから必死でそれとなく『時が来るまで』『運命だから』とほのめかしたのに、全然わかってない様子で。

 

そんなこと、今までなかったのに。

 

頭の中をぐるぐる回る不可解な点。

 

その外で彼のお父さんがひどく怒って罵声を浴びせ、ついにはおいらに剣を下ろした。

 

──ごめんなさい。

 

口の中で呟いたところで、この時代のおいらの記憶は終わる。



結局おいらはその時代で、彼のために1粒の涙も流せなかった。


 


 

次も

 

その次も。

 

ずっと同じことの繰り返しだった。

 

次から初めて会う時の挨拶に悲しそうな顔をして。

 

彼がとにかくおいらと結ばれようとして

 

結局おいらが死んだと思った彼が死んでしまい、おいらが後を追う。

 

──まるでロミオとジュリエットみたいに。


 

おいらの疑念は、確信に変わった。

 

 

 

『彼の一言』が原因で、『運命が変わってしまった』ということが。