観た映画 2023年9月 | BTJJ

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リハビリの為のタイピングブログ

■2023年9月に観た映画

17本(劇場、配信、レンタル、見直した作品を含む)(うち短編1本)

 

・ミュータント タートルズ ミュータント パニック! (原題:Teenage Mutant Ninja Turtles: Mutant Mayhem) - 3.6 (2023.9.26/中川コロナワールド)

監督:ジェフ・ロウ。脚本:ブレンダン・オブライエン。2023年。「ミッチェル家とマシンの反乱」で脚本を務めたジェフ・ロウの初監督作品。劇場で予告を観た時点で、画の面白さにピンと来て、調べてみると「ミッチェル家~」の脚本家だという事で大決定。もちろん面白かったは面白かったのですが、やはり映画は監督のもので、マイケル・リアンダ監督作品だった「ミッチェル家~」と、脚本家だったジェフ・ロウが作った今作とでは意味合いが違うよなあと。これは結構もう何度も体験しているのですが...(学べよ!)今回もまあそんな感じでした。映像は楽しかったけど、「スパイダーマン スパイダーバース」を観てしまっている僕らにはそこまで刺激的には映らず。話はあくまで子供向けという様な感じで、イマイチのれず。

 

・PIGGY ピギー (原題:Cerdita/Piggy) - 3.7 (2023.9.25/センチュリーシネマ)
監督 脚本:カルロタ・ペレダ。2022年。ポスタービジュアルを観た時点で即見る事を決めていた今作。予告も観てから鑑賞。フィルマークスではやたらと低い点(3.1)が付いているが、そこまででもない様に思う。確かに、画面の安っぽさ、とにかく脚本(セリフ回しか?翻訳か?)がへたくそなのは間違いないと思うし、役者の存在感のしょぼさが低評価に拍車をかけているように思う。そして決定的なのは、これ一体何が言いたいのかイマイチ分からない点。ラストに爽快感が無い。プロット自体の面白さである程度の内容は担保されているので最後まで観ることは全然出来たが、非常に勿体ない作品だなあと感じる。全然嫌じゃなかったけど。主人公サラの人間味を感じる為の作品なのは間違いないのだが、観た後に感想が残らないのがいけない点でしょうか。突き抜けそうで抜きぬけない感じがモヤモヤはする。

 

・ハリー ポッターと賢者の石 (原題:HARRY POTTER AND THE SORCERER'S STONE) - 3.6 (2023.9.23/Blu-ray)

監督:クリス・コロンバス。脚本:スティーヴ・クローヴス。原作:J・K・ローリング。2001年。東京で開催しているハリーポッターの諸々に家族と参加するため、その予習に初鑑賞。どうやらシリーズ全7作品マラソンするらしい。寝た。終盤1時間しっかりと寝た。仕方がない。長すぎる。シリーズ平均で多分2時間半くらいなんじゃないかなと思う。長い。長いだろ(一応、翌日の昼間にちゃんと残りは観た)。ハリーポッターってもっと冒険ファンタジーのイメージがあったのだが、この1作目を観る限りではスポーツと学園モノという感じで非常に狭い世界だった。ここから世界が広がっていくのだろうが、とりあえず初作を観た感想はこれだけ。話も真っすぐで分かり易く、子供は楽しいのかもなあと思う。が、長いだろう、集中できるのか?(まだ言ってる) 一つ思ったのは、主人公に甘い。全てが勝手にやってきて勝手に解決して、賢者の石もいつの間にかポケットに入っている。すごい。

 

・アステロイド シティ (原題:Asteroid City) - 3.7 (2023.9.22/伏見ミリオン座)

監督 脚本:ウェス・アンダーソン。2023年。前作「フレンチディスパッチ~」が正直微妙(というか寝た)だったので、どうかなとも思いつつ、というかそもそもウェス・アンダーソンの映画にイマイチハマり切れていないのは実感としてあった。本格的に映画ファンになった2020年頃、ラジオ評論の影響でその存在を知り、作品の価値を理解してきた部分があるため、当時は自分なりの評価・態度が取れていなかったように今は思う。勿論、好きな監督だし、好きな作品も多くある。が、判断基準が変わった様に思う。冷静に見られているという事かも知れない。とにかく、ウェス映画については現時点ではそこまでフェイバリットにならないかなというのが考えである。先日「グランドブダペストホテル」を改めて鑑賞し、過去のユリイカを読み、思ったのは、お話し自体にはそれほど熱意の無い監督なんだなという事。何よりも画面とそれに連動する運動が大事である、という事。これは私自身の考えと近い部分ではあるが、微妙に異なる。ウェスはひたすらに静止画なのだ。もちろん動いているショットも多数あるが、やはり印象的なのはその一目で感じられるフレームを伴うショット。これに尽きると思う。私は、ショットは物語が産むものだと思うし、そこには生を感じられるもので在って欲しいと考えている部分もあるので、やはりそれまでの評価になってしまうのかも知れない。さあ、そして今作「アステロイド・シティ」はどうだったかと言うと、"前作よりは全然好き"というのが答えだ。これってかなりコメディですよね?という感じにも関わらず観客は一切クスりともせず、非常に静かな劇場だった。ウェス作品は、こちらが全乗っかりしないと正直どうしようもならないと思うので、これはキツい。世界に引きずり込めないのは作家の責任だ。

 

・パーフェクトブルー - 4.0 (2023.9.20/センチュリーシネマ)

監督:今敏。脚本:村井さだゆき。1998年。4Kレストア版にて期間限定上映。今更ながら今敏を初鑑賞。最近は宮崎作品のおかげでアニメにも多少の免疫が付いてきたので、いけるかなと。最初こそ、画面の汚さ(そもそも限界地方では2K上映なのです)を残念に思ったり、アニメーションの動かなさに物足りなく感じたが、これこそ90's日本のサブカルチャーが纏っていた、暗さ、不穏さ、などなど画面から迸っており、非常に好みだった。内面世界というか、話がグルグルし出すあたりのクラクラ感は凄く、リンチと言えば陳腐だが、非常に真っ当な表現になっているよなあと感じた。鑑賞後に色々調べたら、ダーレン・アロノフスキーや、クリストファーノーランへの影響も色濃くある様で、偉大さを知る。結末も、きちんと見ていれば非常に納得もいくものになっており、作劇のうまさも垣間見られた。オタクのキモさがリアルで良かった。

 

・回路 - 3.6 (20239.16/U-NEXT)

監督 脚本:黒沢清。2000年。先日の「叫」に続き黒沢清作品を鑑賞。週末の昼寝タイムにはJホラーを観ようと思っている。これ、たしかに怖い。が、話がよく分からなさ過ぎた。怖いといってもそれも最初の方だけで、怖さは持続しない。不気味さは最後まで漂っている。ツッコミどころもまあ多いとは思うが、これはこういうもんだろうとも思う。ひたすらに不気味。まだ早かったのか、咀嚼しきれなかった。黒沢清作品は少しずつ見ていっているが正直、まだ分からない事の方が多い。

 

・おもひでぽろぽろ (洋題:ONLY YESTERDAY) - 4.0 (2023.9.15/Blu-ray)

監督 脚本:高畑勲。原作:岡本螢。刀根夕子。1991年。「君たちはどう生きるか」鑑賞後突如ジブリブームにより各種見直しキャンペーン中。高畑勲展が非常に良かったので、駿とは違う部分でやはり非常に気になる存在。今作は、初めて鑑賞。27歳の自分が、10歳の自分とその思い出を振り返りながら進行していく(書いてて思い出したけど、ある意味「アフター・サン」と同じ形式じゃないか!)。基本的にこういう構造にめっぽう弱いので、かなり楽しんで観た。しかしながら、この主人公、タエ子という人間がやはりちょっと微妙に人とのコミュニケーションがうまくない人なせいか、ずっとぼんやりと会話がかみ合っていない様に感じて若干の不気味さを感じた。「こちらあみ子」のあみ子の様でもある。全体的にはかなり満足度高く観た。特に、エンドロールはずるい。ズル過ぎる。

 

・戦慄怪奇ワールド コワすぎ! - 3.5 (2023.9.14/イオンシネマワンダー)
監督 脚本:白石晃士。2023年。白石監督の代表作シリーズの最終作?。ついに劇場版!という事で、多くのファンはかなり満足しているっぽいのですが、どうしてもファンムービーの域は越えられていないかなと思う。いや、正確に言えば、きちんと作られているし、しっかり笑える所もあるし、アイデアも痛快だし、気持ちがいいしと、良い所はいっぱいあるのですが、やはりどうしても門外漢からすると、置いてきぼりっぽい空気を感じる瞬間が多かった。ファン以外の人が見るのであれば、あまりにも荒唐無稽過ぎるので、かなり忖度が必要ではないのかなと思った。ちゃんと作られているだけにガラスのドアの外から指くわえて観ている様な状態になってしまった。何ともいえないジレンマの様に感じる。白石監督の作品は、「恋するケダモノ」だけ見たことがあって、それは結構面白かったので、次は、続きものではないものを観るか、むしろコワすぎ!シリーズを見てみるか、かなと思っている。

 

・福田村事件 - 3.7 (2023.9.12/ミッドランドシネマ名古屋空港)

監督:森達也。脚本:佐伯俊道。井上淳一。荒井晴彦。2023年。話題沸騰、満席続出の今作。楽しみにしてみましたが、冒頭からもうすでに画面が弱い。とうか、ひたすらずっと画面が弱い。キマっているショットが無い。挙句の果てにクライマックスのまさにその<事件>のシーンがお遊戯会以下。なんだその事件は、と。そんなんじゃ人は殺せないし、狂気が無い。リアリティが無い。不勉強で森監督は存じ上げなかったが、巨匠ドキュメンタリー監督が劇映画初挑戦という事が全てか、という感じ。おそらくショットや物語の紡ぎ方やリアリティのある描写には興味が無いのだなと思う。そりゃ、ドキュメンタリー作品はただ撮ってるだけでリアリティあるもんな、と1人で納得しながら帰路についた。

 

・ホーホケキョ となりの山田くん (洋題:MY NEIGHBORS THE YAMADAS) - 3.8 (2023.9.3/Blu-ray)
■再見した作品ですが、レビュー書いておきます。

監督 脚本:高畑勲。原作:いしいひさいち。1999年。2020.10.5に鑑賞して以来。初見時の感想としては、全体的に面白く観たが特にオープニングとエンディングに感動した。というような感じか。基本的にはそこまで感想は大変わりはしていないのですが、1か所、今回の鑑賞で大きく響いた部分がありました。終盤、父・たかしが結婚式のスピーチをするエピソードで「諦める事が大切だ、許す事で人生のつらい事を乗り越えていける」という様な事を話す長台詞があり、ここが非常に良かった。30代半ばで何を言っているのだと思われるかも知れませんが、本質を言っている気がした。し、ほぼ100%同意。この作品のレビューなどを観ていると、同じく終盤、教師(cv:矢野顕子)が習字で「適当」と書くエピソードがあり、そこが大きなテーマだとフィーチャーされることが多い様な気がするのですが(それも勿論合っています)、個人的にはそこよりもそのスピーチの部分にも十分なメッセージがあるなと感じた。(のでこの再見レビューを書いています)

 

・星をかった日 - 未採点 (2023.9.9/三鷹の森ジブリ美術館)

監督 脚本:宮崎駿。2006年。三鷹の森ジブリ美術館に初来訪した。ちょうどこの月は先日観た「ハウルの動く城」のスピンオフ作品である今作が上映されていた。正直、「ハウル~」との物語的な繋がりはよく分からなかったがこの作品はとにかく発想、アイデアの勝利というか、主人公であるノナが星をもらって植木鉢で育てたら小さい地球になるというただそれだけの話。なのに、こんなにもワクワクし、何かが漲る様な表現になるのがすごいなあと感心するしかなかった。

 

・ジャッリカットゥ 牛の怒り (原題:Jallikattu) - 3.9 (2023.9.9/U-NEXT)

監督:リジョー・ジョーズ・ペッリシェーリ。脚本:R・ジャヤクマール。S・ハリーシュ。2019年。日本公開2021年。ずっと気になっていたが放置していたこちら、新幹線の移動時間で暇だったので観た。とにかくひたすらにテンションが高い。話はマジで中身無い。たった1頭の牛が逃げ出しただけでこんなにも大量の人間が慌てふためくものなのか。みんなやる気満々で向かっていくのに牛が来た途端に逃げ出すのが不思議かつ面白かった。常にパーカッシブな劇伴が鳴りまくり、リズミックな編集と音演出が観ていて気持ちがいい。オープニングとかは特に良かった。あとは、沢山の人間が画面を埋めるモブシーンは素晴らしかった。結構楽しく観た。

 

・ポエトリー アグネスの詩 4K レストア  (原題:시) - 3.8 (2023.9.7/ミッドランドスクエアシネマ2)
監督 脚本:イ・チャンドン。2010年。日本公開2012年。イ・チャンドンレトロスペクティブ2023にて鑑賞。4Kレストア版。イ・チャンドンを全作見てみようキャンペーンもいよいよラスト。これにて完結。全部見ました。主人公が詩を書こうとすることで、現実に対峙していく非常に苦しい映画であった。長回しもダレず良いショットが並んでいた。が、約2時間20分はさすがに長すぎるかなという印象を受ける。いらないシーンもあるような気がしてその辺りが冗長に感じてしまった。孫を警察に差し出すシーンは、「さがす」でオマージュされていることにも気づいた。
結局のところ、イ・チャンドン作品は面白いは面白いが個人的にすごくフェイバリットな監督になるかと言われればそうでもないなというのが全作見た感想。

 

・グリーン フィッシュ 4Kレストア版 (原題:초록 물고기) - 4.0 (2023.9.4/ミッドランドスクエアシネマ2)
監督 脚本:イ・チャンドン。1997年。イ・チャンドンレトロスペクティブ2023にて鑑賞。4Kレストア版。デビュー作であり、ヤクザものという事でどうかな~と思いながら観たが杞憂に終わる。一見すると、まだまだある意味でイチャンドンらしくない作品でもあるのだが、実はイチャンドンらしい味付けや真顔でやってのける外連はしっかりと描写されている。地獄の家族ピクニックからの車でグルグルシーンや、フロントガラスに張り付くクライマックスなど気概の感じられるショットが頻発されている。やはり最初からすごいんだな、と感じた。

 

・ペパーミント キャンディー 4Kレストア版 (原題:박하사탕) - 3.7 (2023.9.4/ミッドランドスクエアシネマ2)

監督 脚本:イ・チャンドン。1999年。イ・チャンドンレトロスペクティブ2023にて鑑賞。4Kレストア版。鑑賞済みだったので観ようか若干迷ったが、前に観たのが2020年11月だったので、感想も変わっているだろうと思ったので観た。が、正直初めて見た時の方が面白かった様に感じた。最初に結末が来て遡っていくメメントスタイルだったが、遡っていく内容にさほどワクワク感が無い。とてつもなく虚しい話ではあるのでそりゃそうだろうよという感じでもあるが、それでも映画的なカタルシスがどこに向かっていくのかがあまりわからなかった。1回目観た時の感想を改めて読んでみたが、その時もあまりピンと来てない様子だった。主演のソル・ギョングは全編通して素晴らしい演技をみせている。特にラスト前の戦争パートでの演技は非常に見どころのある演技だった。レトロスペクティブは先週で終わりかと思いきや今週もあったので、「グリーンフィッシュ」と「ポエトリー」の配信なしの作品は今後観にくそうなので観ておこうと思う。
 

・ハウルの動く城 - 3.9 (2023.9.3/Blu-ray)
監督 脚本:宮崎駿。2004年。「君たちはどう生きるか」鑑賞後突如ジブリブームにより各種見直しキャンペーン中。「千と千尋」と「ポニョ」の間の一作。興行収入的には「もののけ姫」越えで2番目にヒットしたらしい。世間的には不評らしいが、けっこう面白かったように思う。というか、確かに話は別に面白いかと言われればそうではないが、やはり圧倒的に画面が楽しい。豊かだ。テンポもとても速い様に感じて、お話しもきっちりとサクサク進んでいった様な印象を受けた。文句を言うのであれば、声優か。木村拓哉はそりゃ鼻につくし、ヒロインの声がババアて(姿形もババアなのですが...)。それくらいかな。カルシファーの活躍っぷりに驚いたり、星が降ってくる描写にはワクワクした。

 

・叫 - 3.8 (2023.9.3/DVD)

監督 脚本:黒沢清。2006年。これは良いぞという触れ込み且つ配信にも無いので、ゲオの中古セルで見つけて購入、鑑賞。黒沢清映画と言えば、役所広司。赤い服の女が怖い、というフックを最大級に活かした一作。先日観た「ミンナのウタ」と同様、大きな画面で観たら迫りくる幽霊が怖かったのかなあとも思う。ホームシアターの方の環境で鑑賞したので、画面的にはちゃんと映画っぽくなっていたけれど、こんな感じの感想なので、スマホやPCの画面で観たら全然怖くないだろうなあと感じた。ちょっと期待というか、構え過ぎたか。幽霊の無念を晴らしてあげる事で成仏に導こうとする流れは黒沢清版「リング」とでもいう様な感触で悪くなかった。たしか全部で3つ?殺人が起こるのだが、最初の方は、役所広司が実はやっていたのか?という目で見ていたのですが、3つ目が起こった途端に確実に違うと分かるので、前半のサスペンスが面白かったのになとも思った。