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ななちのブログ

このブログは、スキップビート好きの非公式2次小説作成SS中心です。作品については、あくまで個人の趣味で作成しています。
馬車馬のごとく働く社会人ですので、更新スピードは亀ですが、よろしければお読みください☆

「……………。」

 

 節々が痛み、吐くもののない胃から壮絶な痛みがこみ上げ、身体をむしばんでいた。

 頭は朦朧とし、セラやポーラと思しき人間が、何かを問いかけてきたけれど、何をいっていたのかは分からない。

 開く視界は滲んでいて、何も見えなかった。

 体中が寒く、だが、暑かった。

 

 何がなんだか分からない、痛みや苦しみにのたうち回って……最終的には、その痛みたちが消え去りかけていて。

 

 ―――私、死ぬのかな……―――

 

 そう、感じた。

 

 もし、本当にあのまま、命が絶えていたら。

 死んでいたら、どうなっていたのだろう?

 

 死んだら。

ハデスの裁判が待っている。

 

 そうしたら、彼はコレットを、どう判ずるのだろうか?

 

 不敬がすぎると牢に閉じ込められるだろうか?…いや、それはない。

 きっと、師匠であるアンノ先生と同様に、あの暖かな明るい場所に行けと、判じてくれる。

 

 でも………

 

「死にたく、ない………。」

 

 死んだら、ポーラやセラに教えることができない。

 立派になってきたけれど、彼らはまだ一人前ではないのだ。

 それに、この村はもう、コレットの故郷も同様。

 やっと分かった大切な場所なのに。これからたくさん、思い出を作っていく場所なのに、失ってしまいたくない。

 

「ハデス様、私……。」

 

 それに、死んでしまったら。

 死んだらもう、ハデスの薬師ではいられない。

 ハリーやコツメ、ガイコツ達には会えないし、カロンとも時々しか会えなくなるだろう。

 何より、自由にハデスに会うことができない。

 

 実体を亡くしたコレットは影になり。

 そして、徐々に全てを忘れていく。

 

「死にたく、ないです。」

 

 ……忘れたく、ない……

 

 次の生に向かうには、忘れたほうがいいこともある。

 それは冥府の王の祝福ともいえるのだろう。

 

 全てを忘れ、新たな生を得ることで、また違う生き方をしていく。

 きっと次に生まれる『自分』は、『コレット』と違う生き方をするのだろう。

 

 父や母…村の皆の命が理不尽に奪われることはないかもしれない。

 温かな『家族』に恵まれて。

 思わず井戸に堕ちてしまいたくなるほど、心身ともに過酷な仕事に就くこともなく。

 他者の『死』を前に、悔やむことはない、ただただ、温かくてぬるま湯のような一生を、送ることができるのかもしれない。

 

 全てを忘れ、そうして生きることができたら。

 それはもしかしたら『幸せ』なのかもしれない。

 

 けれど。

 

「死にたくない……。」

 

 じわり、と視界が滲んだ。

 でも、逸らすことなく見つめる先の黒髪の冥府の王は、ただ黙ってコレットを見つめていた。

 

「忘れたく、ないです。ポーラや、セラのこと。村の、皆のこと。」

「………そうか。」

「ハリーやコツメや…カロンやガイコツ達のことも……ケルやベロやスーのことも、忘れたくない……。」

 

 そして、誰よりも。

 

「ハデス様のこと……絶対に、忘れたく、ない………。」

 

 これだけは、絶対に。

 

 だって、『恋』なんて知らなかったのだ。

 目線があったら恥ずかしくてドキドキして。ずっと見つめることはできない。

 傍にいたらソワソワして。それでも、離れることなんて考えられない。

 会えない時でも何度も思い出して。会いたい気持ちを募らせて。

 

 苦しくなったり、幸せになったり、フワフワした気持ちになったりと。

 

 たくさんの今までにない『感情』を、教えてもらったのに。

 
 
 
 

 

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「ごめんね」
「何がですか?」

 直ぐ横で、恋人といえる先輩が、いつもとは違う顔で少しだけすまなそうに口する意味が分からなくて、キョーコは聞き返してみた。

「うん。だって、君も仕事して帰ってきたのに、食事を作っているけど俺は手伝えない。君だって疲れてないはずはないのに

 成る程と、キョーコは「ごめんね」の意味を理解はするが、それは何処か違うと思って恋人への答えを返す。

「気持ちは嬉しいですが、『ごめんね』という言葉は必要ではありません。だってキッチンは私のお城で、作りたい料理をしているので、私の領域に侵略しないで欲しいくらいですから」

 キョーコは自分の場所だからと、蓮の心配は何も必要ではないと、自分の場所を取らないでとまで主張してみる。
 蓮への思いをのせて作る料理は楽しくもあり、それを大変だと思うことはない。それよりも好きな人への料理はキョーコを幸せにもさせている。

「確かにキッチンは君の領域だけど、侵略したらダメなの?」

 蓮がクスクスと笑いながらいつか聞いた言葉にも似ていて、懐かしさも手伝って言葉を返した。

「ダメです。ここは私のお城ですから」
「お城ね

 確かに蓮の城、家でありながら蓮の場所ではない。料理道具も殆ど置き場所が分からない状態だ。キョーコの方が全てを把握しているのは確か。
 蓮は恋人が料理の用意をしている姿に目を細めながら、領域を侵さないようにキッチンの入り口で壁に凭れていた。

「だって敦賀蓮という大先輩は、俳優にモデルに、ドラマに、映画に、CMにって大活躍です」
「そう?」
「そうですよ。頑張って追いつきたいのにずっと先で、まだまだ適わないんですよ? だからせめて私のお城くらいは私が守りたいんです」

 キョーコはにっこりと笑みを浮かべて蓮を見た。

「そんなに守らなくても

 キョーコが少しムキになっているようにも見えて、でもそれが可愛くてクスクスと笑いながら、恋人の無駄のない調理する姿が愛おしい。

「だって、一つくらい敦賀さんじゃなくて私じゃないとダメ!っていうのが無いと、悔しいです!」

 余裕に見えた可愛い笑顔が、やっぱり負けず嫌いだったのだと蓮を見る。キョーコの上目遣いの目は、蓮には理性を揺さぶられる誘惑の視線。
 蓮は数歩キョーコの城に足を踏み入れて、キョーコの手元が危なくないことだけを確認して頤に手をかけて唇を重ねた。

「キョーコが君だけじゃないとダメなのは、君の城の中だけじゃないよ。君を指名してくる監督やプロデューサーがいる意味は、君でなければという指名だよ。『君がいい』ではなく『君じゃないとダメ』。俺もキョーコでないとダメな一人だけどね」

 流れるような言葉でキョーコを懐柔する蓮に、一瞬の優しいキスもされて、キョーコは頬を赤らめた。

……敦賀さん、侵略しないで下さい。特に料理中は

 可愛い恋人がほんのりと頬を染めていたら、もう一度恋人の挨拶がしたくなるのが恋する気持ち
 もう一度だけ触れるだけのキスをすると、蓮はキッチンの外へと撤退した。

……もう、侵略禁止!」

 キョーコの表情は、言葉とは裏腹に幸せな笑みが溢れていた。

皆さま、こんばんわ、ななちでございます!!

新年度を迎えて早1月を迎えようとしておりますが、皆さま、お加減いかがでしょうか?

ゴールデンなウィークですね。社会人になると、ゴールデンなウィークがあるために、「時間が、時間がない!!」と発狂してしまうようになりました。休みに事務所に入れない悲しさ……。でも、頑張る!!社会人は負けません!!

 

さてさて、そんな近況(?)はこのくらいにいたしまして。

 

先日、だぼはぜ様とコラボさせていただいておりました、「幸せになる方法」がだぼはぜ様のキョーコサイドにて完結、ということになりました!!いぇ~~い!!ありがとうございます!!

だぼはぜ様とこのお話を書く際に色々と相談をさせていただいていたのがまるで昨日のように思われます。正直、タイトルから躓くという状況だったもので(汗)が、しかし。タイトルセンス皆無なだぼはぜ様から素敵なタイトルをいただきました。それがこの「幸せになる方法」!!

 

このタイトルにはですね~~~ちゃんと理由があるのですよ、フフフのフ。

それをこのブログで暴露しちゃいたいと思います!!

ネタバレごめんなさいな内容なので、「解説なんていらないわ!!」という方は以下は読まれませんよう、よろしくお願いいたします~~。

 

 

 

 

さてさて、それではここから、本来はありえないかもしれない物語裏設定・解説編です!!

 

このお話ですが、そもそもが、「プロポーズ」をテーマとしておりました。

……え、「どこにプロポーズの言葉があった??」とおっしゃる?そんなあなたは全編の蓮編を読んでいただきたい!!

なんと、毎回蓮様はプロポーズをしているのであります!!

心の中ではないですよ、ちゃんと言葉にして伝えているんです!!「どの言葉か分からない~~」という方は、キョーコちゃん級のニブニブさんに決定です!!…あ、でも絶対、普段言われても分からないセリフですけれどね。答えあわせがしたいということでしたら、改めましてネタバレ(笑)しますので、ぜひコメントをお寄せください。←どんなコメの求め方……。

ですが、タイトルに直接的な「プロポーズ」という言葉をいれるのもなんだな~~…というお話となりまして、うまいこと「幸せになる方法」というタイトルをつけてくださったのがだぼはぜ様です!!さすがだぼはぜ様ですよね!!

そしてそして。毎回、ギャグなのか真剣なのか微妙に変態なのか分からない蓮様は、必死にキョコちゃんを口説こうと頑張ってくれるのですが…ことごとくを無視してくれるだぼはぜ様(笑)

その手腕たるや……。蓮の心の声を知っているというのに、どんなニブニブの実を食ったんだと思っちゃったですよ……。

ここまでいくと鬼畜や…鬼畜やで、だぼはぜ様…と思いつつも、テンションあげまくりでもっとヘタレたり変態にしたりして、なんとか口説き落そうとした結果…意味の半分は理解されていませんが、無事、恋人同士として終了することができました~~!!

よかったね、蓮君!!君と私の苦労(笑)は報われたぜ!!

そして、蓮様の変態発言込みで全てに総スルーしてくださっただぼはぜ様!!その鬼畜さに脱帽←超失礼。

いやいや、可愛いキョーコちゃんをありがとうございました。あまりに可愛すぎて、私と蓮様、完敗でございます。燃え尽きちゃったぜ!!

そんなこんなで楽しく書かせていただきましたが、みなさま、いかがだったでしょうか?

 

そしてそして、このお話にですね!!続きともいえる素晴らしいお話を作ってくださった方がいます!!…ン?続きとして紹介していいんかな?違っていたら訂正するんでおっしゃってくださいね!!

その方とは~~!!

 

山崎由布子様:スウィート・ムーンのブログ様  https://ameblo.jp/yuukoy/

 

です~~。素敵なお話をありがとうございました!!キョーコちゃんの「台所」のお話というのは、なんかいいですよね~。

こちらは変な蓮様ではないので、多分恋人同士になって色々落ち着いてきたころの蓮様なのだろうと思っております。素敵蓮様でございます!!

のちほど、私のブログでもご紹介させていただきますね!!

本当に素敵なものをいただき、ありがとうございました!!

 

 

「………………。」

「あ、あの、蓮さん………?」

「………………。」

 

 もう6年前になるだろうか。

 久しぶりに日本の地に立ち、再起を誓った時、俺は確かに『完璧な日本人』になったつもりだった。

 

「え、え~~~と……。魚にはですね?食べ方というものがありましてですね…。」

「………………。」

 

 いや、分かっていた。『完璧な日本人』になりきれていないことは、分かっていたのだ。

 『天手古舞』で笑われた時なんて典型的だったじゃないか。

 あれはものすごく恥ずかしかった。

 あのニワトリ君があれほど笑い飛ばしてくれなければ、もっと恥ずかしかったに違いない。

 

 ……今思えば、無遠慮に笑ってくれたのは、彼なりの優しさだったのかもしれない……

 

「し、仕方ありませんよ。だって、ほら、蓮さん……食に関心、ありませんものね?」

「………そうだね、そもそも、それも問題だよね………。」

 

 今、目の前にいるのは、愛しい少女。

 先ほどまで、俺の手で汚されそうになっていた、可哀そうな清らかな乙女。

 

「で、でもほら、蓮さんはお箸の使い方が綺麗ですよ!!まるで基本のようなクセのないお箸使い!!むしろ日本人らしくないくらいの美しさです!!」

「…………………。」

 

 その哀れな少女が、地味に俺を攻撃してきていると思うのは、被害妄想でしょうか…!!!!

 

「あ、あぁぁぁぁっ、ど、どうしてそんな凹まれているんですか!?ほ、ほめたのに!!」

「…………いや、どう見てもほめられる状況じゃないよね、これ。」

 

 目の前には、いい色合いに焼かれた魚のお頭と……それ以外の何か、に分かれたものがある。

 

「木っ端みじんという感じですね!!むしろ芸術作品!!」

「全く褒めていないよね。というか、これ、食べ物だから。芸術作品じゃないから。」

 

 頭があることで、魚だったものであることは分かる。

 だが…頭以下が、骨も身も、全てがグチャグチャになってしまっているのだ。

 

「それにしても、蓮さんの箸さばきはすごいですよね。頭と胴体を一発で切り裂いた時には、どうしたらそんなことができるのかと思いました。骨があるのに。」

「……………。」

 

 何やら本気で感心しているようだが、全然褒められていないことは分かる。

 

「料理もワイルドでしたが、食べ方もワイルドですよね!!」

「…………。」

 

 ……まぁ、ワイルドなのかもしれないね!!俺は紳士じゃないからね!!むしろ野性味の方が強いかもね!!……

 

「骨と身がごちゃまぜになっちゃいましたねぇ。でもむしろ、これ、骨まで食べられる完璧な状況とも言えなくもないですね…。鯛じゃないのでいける気がします!!」

「まぁ、フレークみたいになっているといえば、そうなのかもしれないけれど…。」

 

 よくよく考えたら、こういう魚を丸焼きにされた状態のものを食べたことがなかった俺は、とりあえずナイフとフォークを使うかの如く、魚を箸で分断していった。

 まず頭と胴体を分断。その後、魚を縦に食べられるくらいの大きさに分断していった。

 だが、ナイフとフォークのようにきれいに切れるわけがない。箸では切れないじゃないかと思いながら、必死に格闘して…なんだかいろんなものが混ざった状態になったところに、壮絶な表情で皿を見るキョーコに気が付いて…今に至る、というわけだ。

 

「あれですね、これは『骨まで食べます!』アピールになるかもしれませんねぇ。」

「こんなグチャグチャにして?」

「グチャグチャになって、お皿も汚していますけれど…それでも、きれいに全部、食べるんですよね?」

「まぁ、せっかくキョーコが作ってくれたものだから、全部食べるよ。」

 

 喉に刺さるほどの骨は…見たところないし。……というより、俺、よくこんなお箸で骨を粉砕できたな。というより、これだけひどい扱いをしても折れない俺の箸はすごい気がする。

 

「グチャグチャになって、汚れてしまっても、全部食べてくれる…。」

「え?」

「……そういう、ことですよね………。」

「?え、今、何て言った?」

 

 もはや骨まで食べられるフレークもどきの焼き魚を、とりあえずお箸で掬いあげようとしていた俺は、キョーコの言葉を聞き逃した。

 

「いえ。敦賀さんは見かけによらずワイルドなんだなぁと思っただけです。」

「……あぁ~~~…。まぁ、好きな娘をいじめて喜ぶような男だしね?……こういう俺は嫌?」

 

 クスクスと楽しそうに笑ったキョーコは、そんな俺の問いに首を左右に振ってくれる。

 

「いいえ。可愛くていいと思います。」

「……いじめをする野性味あふれる男は可愛くないと思うけれど。」

「いいえ。可愛いですよ、とっても。」

「……それに、俺のイメージに『可愛い』はあまりふさわしくないと思うけれどなぁ…。」

 

 昔の『天使』…キョーコには『妖精』と呼ばれていた頃ならばいざ知らず。

 今の俺に『可愛い』要素はどこにもない。

 

「いいえ。敦賀さんは昔から『可愛い』人でしたよ。」

「え?」

「クスクス…敦賀さんの可愛いところ、私は大好きです。」

「っ!!!!」

 

 納得しかねるところではあったが、『大好き』と言われてしまえば仕方がない。…うん、俺のどこが可愛いのかは分からないが、とりあえずキョーコが俺のことを大好きならばそれでいいか。

 

「でも、さすがにこんなワイルドな敦賀さんを見せてしまうと驚かれてしまうと思いますから、ちょっと練習しましょうか?」

「?え?」

「ここに私の焼き魚があります。…今日は食べ方を見るだけ見てもらって。また次の機会に、練習しましょう。」

 

 ニコニコと邪気なく笑うキョーコ。

 

「え~~~っと……。」

「大丈夫です。大将、敦賀さんのこと絶対に気に入ってくれますよ。」

「っ!!!!」

 

 この言葉で初めて、彼女が俺のリクエストの意図を理解していることに気が付いた。

 

「一緒に、練習しましょうね?」

「っうん、そうだね…!!」

 

 全く、この娘は……!!どうして普段は恋愛ごとに劇的な鈍さを発揮するのに、こういうことには鋭いんだっ!!!!

 

「……残さず、綺麗に食べてくださいね?」

「っ!!!!」

 

 「いただきます。」と綺麗な箸さばきで魚を食べ始める彼女を見つめていると、こんな言葉を投げかけてきた。

 

 ……分かっている。今のは俺の目の前にあるフレークもどきになってしまった焼き魚に対してだ。別にそれ以上の深い意図はないだろう。

 けれどもっ!!違う意味にとってしまうのは、俺が穢れた大人だからなのかっ!!それとも彼女を愛しすぎて、紙縒りがモロモロでボロボロだからなのかっ!!

 

「………君には一生、勝てる気がしないよ。」

 

 脱力しながら敗北宣言をする、俺。

 そんな俺に、目の前の俺の唯一の『女』が、嬉しそうに微笑んだ。

 
 
 
 

 

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