佐久間良子さん、美しい!もうその一言。

そして役柄の、本名を捨て30年耐え忍ぶ女役がほんとうにぴたっと来ている。

佐久間さんをキャスティングしたことで、このドラマは成功している。


30年前に別れた息子役に渡辺篤郎さん。

母親に捨てられた怨みを押さえこんでエリート検事になった彼が

様々なことに出あい、心が揺れ、人として再生していく

そんな難しい役どころを、クールに演じ切っている。


テレビ朝日の狩野シリーズ和美役でおなじみの藤谷美紀さんも

熱い思い持って生きる強い女の役。


二時間ドラマ

テレビ朝日は謎解き・警察もの

テレビ東京は視聴者と育みながらドラマを育てる

フジテレビはとりあえずエンターテイメント性を求める


とすると、TBSテレビはまさに「人間ドラマを描く」に尽きる。

とかねがね思っていたのだけれど、今回でまたその思いを強くした。

水野真紀さん、柴田理恵さん、梅宮アンナさん、のそれぞれ訳ありのホステス。

お勤め先は銀座クラブダイヤモンド。

ちょ~~っと無理があるんじゃない?と思ったものの、リズムもテンポも良く

午前中にまったりと見るには、大正解でした。


14年前の作品とあって、出演者のみなさん、とってもお若い。

高橋克実さん、羽場裕一さん、杉本哲太さん、あたり…でもそれぞれが大活躍する

素養が見えますね。

渡辺いっけいさんがチョイ役なのも意外でした。

神田正輝さんの刑事の半端っぷりが笑えますね。


水野真紀さん、この頃は「キャリア系の職業」を頑張っていますが、今回の

ホステス役のように、コケティシュな役もどんどんやってほしいなぁと思います。

裏番組で同じ水谷豊さん主演の「相棒・正月スペシャル」をやっていたのだけれど、

初めてみる、こちらを…


2001年放映ということで、ガムを噛んで時々不良っぽい目つきをする左文字が

なんともチャーミング。良く言えば軽い、悪く言えばヤンキー、こんな水谷さんは

いまではなかなか見られない、かもですね。


おはなしは…なんていうか…微妙な、内容でしたが。

謎解きしきれていない部分もあって、不完全燃焼だったし。

左文字がなんで河本雅裕さんに化けたのか、とか、大島蓉子さんたちがなぜ

左文字の行動を消そうとしたのか…とか。


細川直美さん、この頃からいい雰囲気の女優さんだったのですね。


このシリーズ、いまでは戸田恵子さんがレギュラーですが、

当初のレギュラーだった、さとう玉緒ちゃんも捨てがたいなぁと思ったりもしました。

横山秀夫さん原作のサスペンス。


陰の季節シリーズは、上川隆也演じる某県警・警務課調査官二渡真治が

警察全体を思い、正義とは何か、警察官の本分とは何かを常に自問自答して

問題解決に奔走する内容。


そこに渦まく、縄張り意識やメンツなど、「おそらくは、そうであろう」という

こちら側の想定を超え、さらに深くえぐく描いている。


長門裕之さんが、県議会議員で一癖も二癖もある役を演じているのだが

その県議をもすら利用して保身を図る、県警秘書室長の坂庭正一さんも

意外性のある役で、なかなか面白い。

そして津田寛治さんの、突っ走る系の役もたまらなく好き。


今回は「男の友情」がもう一つ柱にあって、これも見どころ。


2時間ドラマで横山秀夫さんといえば、「絶対見なきゃ!」と思わせるシリーズですね。

狩矢警部といえば…やはりテレビ朝日の田村亮さんが思い浮かびます。


そこを払拭して新しい狩矢像をつくる俳優さんもたいへんだぁ。とは思いますが

何をやっても「熱くて、良く走る、正義の味方、船越ワールド」を作ってしまう

船越英一郎さんが演じるので、そこのところは見る方も楽な気分で…ってことでしょうか?


紅葉ちゃんは奥さまね。テレビ朝日との違いは捜査一課内部のやりとりに比重を

おいているところ、かなぁ。だんだん鴨川べりで会議をする時の装備が派手になっていない?

前は塩大福だけとかだったのに、すごい量のお菓子、しかもお茶の道具も半端ない。

これはやりすぎかも。

小橋めぐみさん演じる新任刑事と、古株雛形あきこさんとのバトルもしつこいしなぁ。


などといいながら、結局みちゃうあたり、船越ワールドにしっかりとはまっていますね。



森村誠一さんの原作というと、ドロドロなものを想像しますが

この「灯」は、一味違いました。


家庭内暴力の息子に手を焼く会社員が殺される。

その謎を追う、援交さえしそうな別居中の娘が気にかかる刑事。

刑事役の根津甚八さんが、いいんだなぁ。もったいないなぁお休み中なんて。


交換殺人のトリックが解けても、心に苦いものが残る。

家の灯りが、子どもの未来への灯りと重なっているかのような、先行きの

見えない日本だからこそ、こういうドラマってもっとあって欲しい。


さすが「ドラマのTBS」でした。