愛媛新聞 2012.1.1.

えひめ地域再生戦略研究会長

(抜粋)


地域再生には、住民が自分たちで考え

自治体を運営する意識への変革が不可欠。


愛媛は保守的でなく、後進的。

「お上の言うとおりにする」「施してもらう」意識がある。


住民は当地対象ではなく、主体。


愛媛は人材流出が深刻。

能力や才能があり各分野でリーダーとなる人が枯渇している。

特に周辺地域は顕著だが、

女性は有能な人が比較的残っている。

もっと女性が力を発揮できるきる場を

つくらねばならない。


人材育成システムが行き詰まりを招いた。

中央に行くのが一流で

地元に残るのは二流、三流という前時代的な意識が

教育現場にある。


都会で能力を生かせるとは限らない。

地方こそ、意欲ある若者にとってのフロンティアだ。

記憶力を競う偏差値一辺倒の進路指導をやめ

若い人が地元に残って新しい国づくりを担うことが

日本再生にどれだけ大事か教えるべきだ。


朝日新聞 2012.1.3


インタビュー2012

文明崩壊への警告 ジャレド・ダイヤモンド


ルワンダにおける虐殺は

人口が増える中、森林を切りすぎて土が流され、

農地の奪い合いで人々が深刻に対立していたことが

背景にあります。

ソマリアの国家が崩壊したのも

森林破壊と過剰な放牧で国土が砂漠化したのが

大きな原因です。

現代の世界で、重大な環境や人口の問題を

問題を抱えている国と、政治的に不安定な国は

ほぼ一致しています。



今の文明の環境・人口問題は12に分類できます。

自然破壊、漁業資源の枯渇

種の多様性喪失、土壌浸食、化石燃料の枯渇

水不足、光合成で得られるエネルギーの限界

化学物質汚染、外来種の被害、地球温暖化

人口増、1人あたり消費エネルギーの増加。

そのひとつでも対策に失敗すれば、

50年以内に現代の文明全体が崩壊の危機に

陥るでしょう。

火のついた導火線付き爆弾を12個抱えているようなものです。



社会を存続させる秘訣は、結婚生活を続ける秘訣と同じ。

「現実的であれ」ということ。

結婚生活を続けるには、夫婦の間のあらゆる問題で

合意や妥協が必要です。

それと同じく、水、森林、治安、人口、外交など

次々と生じる社会問題のひとつからでも

目をそらし、対策を怠れば、そこから社会は崩壊してしまう。


愛媛新聞1月1日


地域の元気回復


愛媛地域政策研究センター所長 森敏明

(抜粋)


都会には便利さや快適さがあり

田舎には豊かな自然や細やかな人情など

別のよい点がある。

都会と同じ価値観で見ると

周辺部ほどマイナスに。

田舎は不便だから無価値なのか

不便さを補って余りあるメリットがあるのか

選択の問題。


必要なものをすべて行政がやるのは無理で

地域の自立に向けた側面支援にならざるを得ない。


イベントもにぎわいにはプラスだが

収益をあげ、事業や雇用につなげていく視点が不可欠。



朝日新聞 2011.12.1 
京都大学教授 佐伯啓思
抜粋・要約

-民主主義って?

日本人は、民意がストレートに政治に反映すればするほど
いい民主主義だと思ってきた。
その理解そのものが間違っていたんじゃないか。

古代ギリシャの時代から、民主主義はほおっておけば
衆愚政治に行き着く、その危険をいかに防ぐか、
というのが政治の中心的なテーマ。
だから近代の民主政治は
民意を直接反映させない仕組みを組み込んできた。

政党がさまざまな利害をすくいあげ、
練り上げてから内閣にもって行くということで
民意は直接反映しない。

2院制もそうで、下院は比較的民意を反映させるが
上院はそうでないことが多い。
実際の行政を、選挙で選ばれるのではない官僚が中心になって行うのも
その時の民意に左右されず、行政の継続性、一貫性を担保するため。

そういう非民主的な仕組みを入れ込むことで
実は民主政治は成り立ってきた。

-日本だけでなく、欧米でも民主主義が機能不全に陥っている。
グローバル化によって、政治が解決すべき問題が複雑になりすぎた。
そういう状況では、国内の民意を政治に反映するという
単純な民主主義は根本的にうまくいかない。
いつまでたっても問題が解決しないので、民衆の不満が高まり
政治批判や官僚批判が出てくる。

-日本では1年ごとに首相交代。
ある意味で民主主義が進みすぎた。
国民の政治意識の高まりを伴わないまま
民意の反映を優先しすぎたために
非常に情緒的でイメージ先行の民主主義ができてしまった。

-民主主義がうまくいかないとどうなるのか
グローバル化、資源・食糧の不足、国家間の競争激化
国家間の競争に勝ち残るためには国内の不満を抑えなくてはならないので
強力な政府を必要とする。その極端な例が独裁。

-独裁の流れをとめるには
国民の政治意識を変えていくしかない。
まず、民主主義の理解を変える。
民主主義は不安定で、危険をはらんでいることを前提に
どうすれば民主主義を維持していけるかを考えなければ。
メディアの役割りも重要。
政治に性急な問題解決を期待しないこと。

ナショナルストーリー

本家本元ポールオースター編集の

アメリカ人から集めたtrue storyと

日本版との比較の話を編者たちがしているのを聞いて・・。



アメリカのマジョリティ一神教(キリスト)だと

絶対神がいるために

絶対悪もある。

底なしの恐怖や気持ち悪いもの

底なしの悲しみ

そういったものが存在しうる。


でも日本はそういったことを世間化する。

世間の中において、まあるくしてしまう。

なのでどこかかわいい話が多いようだ。


先日アメリカのベストセラーランキングを見ていると

14歳?のときに誘拐され、性的奴隷のように

監禁され、こどもも10代で2人も出産。

30代後半で開放(発見)された女性が

手記を出版していた。

自分自身のセラピー的な要素もあったようだけれど

日本だとどうなんだろう。

個人主義で一神教の国だからこそ、ありえた話?

日本なら世間という壁が邪魔をするか。



曾野綾子 著

その時々において
人間は気楽に楽しんで
上下関係を承認できるくらいの、[大人気]がありたい。間違った平等意識こそ紛争のもとだからである。完全な平等ということは、神の前以外、いかなる動物社会にもないことなのである。

表現を過不足なく理解するには、常識と成熟した心がいる。それが欠けているから、言葉尻をとらえての論争になってしまう。

色気の基本は、相手に関心がありますよ、という気持ちであり、それを態度で示すこと。

友情の基本は[あの人には自分にないすばらしいところがある]と思うことだと思う。

受けるくことより、与えることの方が人間には大きな幸福をもたらす。

すべて人生のことは[させられる]と思うからつらかったり、惨めになるので[してみよう]と思うと何でも道楽になる。

明るいということが、賛辞の一種だとなったのはいつからのことだろう。明るさは確かに救いの場合もあるが、鈍感さや、無思想の代わりに使われることもある

相手が[心配いらない]と言ったら、それは心配すべきことがある証拠だし、[問題ない]と言えば、それは問題がある証拠だと反射的に考える癖もつけられた。

電話をかけるべきだったのかどうか、いまでもわからない。しかし、相手に負担をあまりかけない限り、素直であるべきだろうという気がした。声が聞きたいと思ったら電話をかけ、休みたいと思ったら休み、泣きたいと思ったら泣き・・・・それが、人生に対する誠実というものかもしれない。

個性を認められる、ということには孤独と差別に満ちた闘いを覚悟するという反対給付がつく。

一人の人を傷つけるくらいの勇気がないと、一人の人の心も救えない。

ノーマン・ミネタ

911時の運輸大臣

人種プロファイリングをしろという

圧力に対し、NOをつらぬいた。

彼の背景にある太平洋戦争時の

日系人強制収容所の記憶。


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こうすることは正しい。

そう考えたら、後にひかないこと。

揺らいではいけない。


強い姿勢で立ち向かい

われわれはこう感じている、

この形でやる、というべき。


多くの人が手榴弾のよう。

耐えるしかない。

これは正しいことなんです。

憲法にのっとっているんです。


直面している問題を明確にすること。

感情的にならずに判断すること。

そして強固な基盤を築くこと。

こうすればさまざまな方向からの圧力に耐えられます。


レンガを1つづつ積み上げていく。

そうすればどんな風が吹いても

立ち続けられます。


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ミネタだけではなく

多くの日系人がイスラム系住民への差別に立ち向かう。


イスラム教徒の女性が

「わたしたちに怒りの目が向けられている。

こわくて外に出られない」というおびえた声を

ラジオで聞いた。


これは正しくない。

と感じ、すぐ行動しようと思った。

(日系3世の女性)


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文明の進歩によって人は墓穴を掘っている。

不安定な自然と向き合ってきた日本人は天然の無常と付き合ってきた。一方、安定した自然を持つ西ヨーロッパは自然を客観的に見る自然科学が発展してきた。(山折)
科学の本質
現代文明を発展させる原動力、科学。
人間にとって科学は[業]である。

文明は制度と装置。一度作ってしまえば、ほころびができていても、なかなか壊せない。政府や知事や会社の社長に頼るのはどうなのか。彼らはその制度を維持するためにいる。基本的にはビジネスとして成り立っている。だからこそ、一人一人の市民が変えていかなければならない。
(ETV特集 梅棹忠夫)
朝日新聞 2011.8.1.



福島原発を調べだすと、まるで戦後日本の鏡。
一時的な生活安定と引き換えに
エネルギーを供給した地方が
都市に服従していく歴史を浮かび上がらせた。



師の一人、上野千鶴子さんは
「単なる事例研究でなく原発を戦後史に位置付けた。
詰めは甘いが射程が大きくのびしろがある」

原発はどうするのか。
「やめられたら、いいんですけどね」
簡単に答えは出せない。
事故まで見向きもされなかった地方は
やがてまた忘れられることはないか。
行方を見届けたいと、走り続ける。

文:高重治香