社人研が将来推計人口公表 人口減少と統計利活用 | 希望のブログ 上越新幹線の新潟空港乗り入れ

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東京一極集中の緩和、地方の活性化、新潟の人口減少抑制、経済活性化、国土強靭化のため、上越新幹線の新潟空港乗り入れを考える。人口、経済、GDP、保健福祉、政務活動費、議会活動などにも関心を持っています。専門統計調査士。

国立社会保障・人口問題研究所(社人研)は、12月22日に「日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)」を公表しました。



画像は国立社会保障・人口問題研究所の資料より

この推計は、将来の人口を、都道府県別・市区町村別に求めたもので、令和2(2020)年の国勢調査を基に、令和32(2050)年までの5年ごと30年間の人口について推計したものです。

新潟県の人口総数の推計値は次のとおりです。
なお、社人研のホームページでは、男女別、年齢5歳階級別に全国の都道府県・市区町村別に公表されていますので、ご覧ください。

新潟県(2023年12月公表)
2020年 220万1,272人(実績値)
2025年 208万4,429人(推計値、以下同じ)
2030年 197万4,466人
2035年 186万3,278人
2040年 175万660人
2045年 163万7,004人
2050年 152万5,004人

参考として、前回の推計値(平成27年国勢調査の結果をもとに推計)も掲載します。
過去の推計値も社人研で公開されています。

新潟県(2018年3月公表)
2015年 230万4,264人(実績値)
2020年 222万3,647人(推計値、以下同じ)
2025年 213万1,156人
2030年 203万1,445人
2035年 192万6,432人
2040年 181万4,665人
2045年 169万8,989人

それぞれの2045年の推計値を比べると、新潟県は前回より6万2千人減少しています。人口減少が前回よりも進むと予測されたということになります。

さて、令和4年新潟県人口移動調査結果報告によると、令和3年10月1日から令和4年9月30日までの1年間の県人口の自然動態は、出生12,006人、死亡31,467人で、差引き19,461人の自然減少。
社会動態は、転入61,074人(うち県外からの転入26,872人)、転出65,828人(うち県外への転出31,651人)で、差引き4,754人(うち県外差引き4,779人)の転出超過(社会減少)。

また、令和3年新潟県人口移動調査結果報告によると、令和2年10月1日から令和3年9月30日までの1年間の県人口の自然動態は、出生12,794人、死亡30,909人で、差引き18,115人の自然減少。
社会動態は、転入58,266人(うち県外からの転入24,430人)、転出64,544人(うち県外への転出30,621人)で、差引き6,278人(うち県外差引き6,191人)の転出超過(社会減少)。

令和2年新潟県人口移動調査結果報告も見てみると、令和元年10月1日から令和2年9月30日までの1年間の県人口の自然動態は、出生13,148人、死亡29,506人で、差引き16,358人の自然減少。
社会動態は、転入60,115人(うち県外からの転入25,207人)、転出66,015人(うち県外への転出31,077人)で、差引き5,900人(うち県外差引き5,870人)の転出超過(社会減少)。

新潟県庁

地元紙や自治体広報紙のうぶごえ欄、おくやみ欄を見ると、出生は少なく、死亡が断然多いことが普段から感じとることができます。

団塊の世代がこれから亡くなり、もう15年後には団塊ジュニアの世代が65歳以上の高齢者となり、ますます死亡者数が増えていきます。
団塊ジュニアより若い世代には出生の大きな波がほとんど見られず、合計特殊出生率も2.0を大幅に下回る状況であり、子どもが少なくなっていることは、小学校の統廃合により普段から多くの地域で感じていると思います。

超少子高齢化社会を迎えている現在、死亡者数が増えていくことは避けられないことですが、子どもを産みにくい社会を少しでも改善して、子どもを産みやすく、育てやすい社会、制度を整備していくことが大切だと思います。

また、前述の新潟県人口移動調査結果報告のように、社会動態で移動理由をしっかり把握しているのは、全国的に少なく貴重な資料と言えます。
転出超過が続いている新潟県は、様々な統計データを分析して活かし、人口増加と経済活性化、生活の改善につなげてほしいと思います。

ちなみに、新潟県の県庁所在地で政令市でもある新潟市の2050年の社人研による推計人口は、61万6,385人。
2020年の人口を100とした場合の2050年の人口指数は78.1、中央区か西区くらいの人口17万3千人ほどが30年後には市内からなくなる感じです。
今回推計の新潟市の2040年の人口は68万256人、前回推計の2045年の人口は68万8,878人となっており、5年以上早く人口減少が進むと予測されたことになります。

新潟県庁から撮影した新潟市内。信濃川が見える

また、前回の推計では、新潟市やさいたま市、岡山市などの新しい政令市は、行政区別に推計されていませんでしたが、今回の推計では、新しい政令市の行政区別人口も推計されたのが、注目点の一つと思っています。

今回公表された推計データは、多くの自治体にとって大変厳しい内容となりましたが、あくまで「推計」です。
生残率や移動率、子ども女性比などの仮定値により算出されたものなので(これらの仮定値も根拠を持って計算されたと思いますが...)、将来の人口減少を緩やかにすることも、さらに厳しくすることも、今後の施策次第なのかもしれません。

調査員を使う調査統計、業務の中で集計される業務統計、様々な一次統計を使って作られる加工統計。様々な統計データが、政府、自治体、民間企業、大学などで作られています。
それらを活かしてより良い社会にするための統計の利活用が進むことを期待しています。