明け行く空に…。  ~ひねもすひとり?~ -6ページ目

闇の向こうにあるモノ。

オレは夢の中にいた…。



深く人の心に巣食う悪も、そして善なるモノも全てを覆い隠すような、そんな闇の中をオレはさ迷い歩いていた。

いったいどれだけ歩き続けただろう…。
足は既に空き地の隅に無造作に放置された棒きれのようにその存在意義を失い、今にも崩れ落ちそうになっていた。

ふと辺りを見渡すと、遥か前方に一筋の光が差しているのを見つけた。
とにかく歩こう。
あの光が指す所まで行ってみよう。

オレは残された力を振り絞ってみた。
申し訳なさそうに溢れ落ちた一滴の雫。

たった一滴の弱々しい力ではあったけど、オレにはまだ残された力があったのだ。
ゼロではない。


あの光をつかみ取ってみよう。
きっと行けるはず、たどり着けるはず…。

疲れきった体を引きずりながらオレは歩いた。
そこに何があるのかは分からない。だけど前に進まなきゃなにも始まらないだろう。

あと少し、手を伸ばせばもう届く距離。

そしてオレはたどり着いた。
斜め上空から射し込む光が肩に触れる。

光が反射した場所からはどこか懐かしい感覚が溢れ出し、そして何より暖かだった。


程なくして遠くで誰かが呼ぶ声が聞こえてきた…。


そしてオレは夢から覚めた…。





夢の中で光が反射した肩にはまだ温もりが残っていた。
あの夢はいったい何だったのだろう…。


また誰かがオレを呼んでいる。
そして誰かが肩を揺らしている…。



お客さん!お客さんってばっ!


ふと我に返って顔をあげて見ると、 そこには駅員らしい男がオレの肩を激しく揺らしながら立っていた。



お客さん、終点ですよ。



深い眠りから覚めたオレ。

気がつけばそこは終点でした。

オレは駅員に問いかける。



あのぉ・・・まだ仙台方面行きの電車ってありますかねぇ…。




そんな問いに駅員は困ったような含み笑いで応えた。



今のが終電だったからねぇ、残念だけどもうないよ。外にタクシーが待機しているはずだからそれで帰るしかないね。



オレは残された力(お金)を振り絞ってみた。
申し訳なさそうに溢れ落ちた一滴の雫(福沢諭吉)。

たった一滴の弱々しい力(福沢諭吉)ではあったけど、オレにはまだ残された力(福沢諭吉)があったのだ。
ゼロではない。

そう、ゼロではない…。



駅の外に出てみると、駅員が言ったようにそこにはタクシーが待機していた。



お客さん、寝過ごした!?どこまで行くの?



嬉しそうに訪ねてくる運転手。



○○○駅まで行きたいんだけど、1万円(福沢諭吉)で行けますかねぇ?



そんなオレの問いに対して運転手の答え。



う~ん、ホントはちょっと足りないけどいいよ、オマケしちゃう♪




ですって。

そしてオレに残された力(お金)はゼロになった…。


闇の向こうにあったモノ。

それは終点という名の夢の駅でありました。


給料日まであと1週間とちょっと。



とほほ・・・。




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爽やかな月曜日。

休日の午後、オレは愛車軽ナンバー1を走らせて最近近所にオープンした大型ショッピングセンターへと向かった。

目的はオープンセールで激安になっている靴を購入するためだ。

まぁアレですけどね、近所って言っても車で30分以上かかる距離なんですけどね・・・。

ついでにいっときますけど、オレの軽ナンバー1ときたら最近ライバル社に売り上げでついに土つけられて、実際は軽ナンバー2に格下げになっちゃたんですけどね・・・。

でもね、そこはアレですよ。

心優しい読者の皆さんのご厚意に甘えまして、これからもナンバー1と胸張って言わせていただきます!?

ダメ?



閑話休題。



月曜日の朝、オレはいつもの7時43分の電車に乗るため駅へと軽ナンバー1(本当はナンバー2)を走らせる…。
これに乗らなければ遅刻確定。
それならばと余裕を持ってひとつ前の列車に乗ろうとすると、これが7時10分と今度は早すぎる時間帯となってしまう。
朝の30分、それは言わずと知れた精神と時の時間。

日中の3時間にも相当する朝の30分を犠牲にはできないので、オレは渋々毎朝遅刻ギリギリの電車に乗る。

誰だ~!早起きできないだけだろうなんて言うヤツはぁ~!?


その通りです・・・。


駅から我が家までおよそ30km、時間にして朝なら40分、夜なら35分のドライブコースであります。
本日もデキル男は時間の余裕を十分に持って、6時40分に家を出た。
愛車軽ナンバー1の車内では、先日わざわざ取りつけた社外コンポを外した代わりに返り咲いた、純正MDコンポがぱんぱかぱーんと存在を主張し、懐かしい音楽をせっせと再生している。
今日の朝の音楽は 『渡辺美里』(漢字あってるか?)のマイ・レボリューション(スペルわからん)だ。


さらに閑話休題。


いつも車を運転する時はサンダルをはくオレ。
別に車内を土足厳禁にしているってわけじゃないが、この方が楽だからだ。
家をスーツにサンダルという、なんともしまりのないスタイルで飛び出し車に乗り込む。
そんでもって駅付近に借りている月極駐車場についたら靴に履きかえるって寸法だ。

今日もいつものオレ流のいでたちで家を出る。
10分ほど車を走らせふとあることがオレの脳裏を過ぎる。
そういえば、昨日新しい靴買ったんだった。紐結んであったっけかな?と助手席の足元を見ると、そこにはあるべき靴が見当たらない。
やべ!昨日買った新品の靴と古い靴、新旧入れ換えのためどちらも車から下ろし、そのまま家に忘れてきちまった…。

財布や携帯忘れることはよくある。
でもまぁそれはさほど問題ではない。

財布が無くても定期があれば電車に乗れる。

ケータイが無くても、電車内での暇つぶしに若干困るくらいで特に支障はない。
でも、靴ってなると話は別だ。

サンダルで電車に乗るくらいは、今更恥もへったくれも関係ない31歳サラリーマンにはどうでもいいことだが、そんな格好で出社となるとコレ大問題。

さすがにサンダルで出勤はばれたらマズイ!

夏先取りかお前は!って話になっちゃうのでマズイ。

で、オレは遅刻覚悟で愛車軽ナンバー1にターンをかまし、忘れ去られたピカピカの激安靴を取りに家へ戻ったのであった。


さて、靴を積み込み再度自宅を出発したのが7時10分。
さぁ困った。

あと33分後には電車が出発してしまう。
今までの出勤コースレコードは30分ジャストであるので、車降りてから電車に乗るまでの時間を考慮したら、今日ここで記録更新しないと遅刻必至だ!

オレの軽ナンバー1がうなりを上げる。
もうね、ダンプだろうがローリーだろうが松本だろうが寺西だろうが全部ぶち抜いてやった。

結果として記録更新!
やったね☆

新しいコースレコードは29分であります。


車を飛び降り駅までダッシュ!

電車出発まであと4分。
途中石につまづくも構わずダッシュ。
で、ギリギリセーフで電車に飛び乗りました…。

降りかかる数々のピンチにも屈する事無くしっかり電車に間に合うオレってかっこいい・・・。

なんて悦に浸っていると、さっきつまずいた時に石にぶつけたオレの足に恐ろしいほどの激痛が!
電車内で痛みを感じる場所を確認してみましたら、悲しいことに親指の爪が割れてました…。

とほほ・・・。


そして、下ろしたての靴も破損してました…。
これにより、また当分かかと激しくすり減った靴とのつきあいが続きそうです。


以上、爽やかな一週間の始まりでした。



とほほ…。



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大人の嗜み方。

3月下旬、いわゆる歓送迎会シーズンなんて言われるこの時期。
夜の街には千鳥足でふらふらと、行く宛の定まらないほろ酔いのご機嫌なサラリーマンや、お気楽学生生活に終止符を打った未来を夢見る若者などなどが溢れ返り、いつも以上に街中は賑やかさだったり煌めきを増している。
そんな気がする。


もうね、はっきり言って邪魔!お前らみんな邪魔だってんだよ。
若いもんはギャーギャーうるせーし、オヤジどもは足元おぼつかなくなるほどに酒を浴び、真っ直ぐ歩けなくなる始末で他の通行人に迷惑かけてやがるしさ。
しまいにゃ交通量の多い道路の真ん中でリバースタイムなんて大暴走しちゃってる輩までいる始末だ。
言わせてもらいますがね、歓送迎会なんてちょっとお涙頂戴なイベントに参加し、その胸に秘めた様々な思いが込み上げてくるのは分かりますよ。でもね、どんな理由があるにせよ人様に迷惑かけるような飲み方はどうかと思うよ。
おカミが見過ごしてもオレは許さんからな、絶対だ!



閑話休題。



先日地元の先輩との何気無いメールのやり取りの中で、どこでどう間違ったのか分からないんですが、近々酒でも一杯やるか?何て間違った方向に話が進んでしまった。
オレはしまった!と思った。そして激しく面倒クセーと思った。
酒は一人で飲むが信条と言う極めて社交性の薄いオレにとって、この手のイベントは苦手以外の何物でもない。
だが相手は地元の先輩、しかもこれまたどこで話かこじれたのか定かではないが、参加メンバーはさらに一人の先輩が増えて3名になってるし。
そんな憂鬱なら断ってしまえばいいじゃん!何て思うかもしれないが、オレの地元には「一個違えば糞同然」と言う非人道的風潮が今でも根強く残っており、その逃れられない呪縛はこんなオレの心の中にも未だに潜伏し続け、未来に向けて今にも飛び立とうとするオレの足枷となっているのだ。
でもね、オレも大人なモンですからソコはアレですよ。心とは裏腹に涙ながしながら



分かりました!んじゃ店予約しておきますね。



なんて返信しておきましたよ。
本当涙ながらに…。




待ち合わせの時間が近付くにつれてオレは憂鬱になる。仕事の多忙さに睡眠不足が加わり、既に疲れ果てていた。
待ち合わせの時間は午後7時15分、仙台駅構内にある伊達政宗の騎馬像前で支倉常長の真似しながら待機ってのが目印だ。
時間ぴったりに現地へ到着したオレ。さて先輩方は来てるだろうかと辺りを見渡すと、政宗像に向かって左端の所で何やら怪しげなポーズを取り、ん?違うなぁと首を傾げている一人の男を発見。
先輩だ!
そのあまりにも怪しすぎる風貌を目撃してしまったオレは、声をかけるのを躊躇しこの場はスルーかな?と思ってしまった。仲間だと思われたくない。
だけど支倉常長の物真似しながら待っててくださいと言った手前、それは許されない。
つーか支倉常長って何をやって歴史に名を残した人なんだ?
そもそも漢字があってるのかすら分からん歴史上の人物を真似ようと試みてくれる、そんな先輩の懐の深さはある意味驚愕に値する。
言葉を変えて言うなら、それはただのバカだ…。
でもまぁそこはアレですよ。オレも大人なモンですからそんな言葉はゴクリと飲み込んで



先輩、ご無沙汰してました!いや~しかしアレですね、あまりに常長にそっくりだったもんですから、一瞬先輩だって気が付きませんでしたよ…。



なんて声をかけた。
そんなオレに対して先輩は



う~ん、もう少しメランコリックな感じを出したかったんだけどうまくいかないんだよ。でも似てたんだったらそれはそれでよかった。



こうしてオレたちは久々に感動的?な再会を果たし、あーでもないこーでもないと無駄話などしながらもう一人の男の登場を待った。
約束の時間が5分ほど過ぎた頃、こちらに全力疾走で向かってくる男がオレたちの視界に入ってきた。
スーツにネクタイ、そして頭にはちょんまげのヅラという、ちょっと友達にはなりたくない雰囲気満載のその男は、オレたちの姿を見つけると満面の笑みを浮かべながらこちらへやってきて



いや~遅くなってかたじけない。申し訳ない気持ちで一杯でござる…。



などとワケの分からないことをワケの分からない口調で宣う。
なるほど、あんたの持つ支倉常長に関するイメージってがそれなんだね。
だんだん気が重くなってくるオレ。もうね、どうでもいい感じ。
ふともう一人の先輩を見ると、そんなちょんまげ先輩の姿を眺めながら、ひどくメランコリックなオーラを纏っているようで、望まずとも己の描く常長像に近付いた様子であった。


さて、何だかんだといいながらもメンバーが揃ったので、早速予約していた居酒屋へと移動する。
歓送迎会シーズンってことで店内はものすごい混みようであり、店の入り口には席が空くのを待つ人々で溢れかえっていた。
もうね、邪魔くさい。そこまでして酒飲みたいのかお前らはって話です。
とにかくそんな輩を尻目にオレたちズッコケ3人組は予約しておいた個室へと向かったのであった。
オレの前を歩く先輩の一人はまだちょんまげズラ被ってやがる…。
ほんとズッコケだよ…。


さて、やっとこ席にたどり着いたオレたちは、早速ビールで乾杯しようと注文を取ってもらう。2時間飲み放題コースを頼み、まずはビールを3つ頼んだ。
ビール片手に扉を開けた女性店員を見てオレたちは同時につぶやく。



可愛いじゃねーか!



受付にいた店員もなかなか可愛いかったんだけど、このコの方が確実にオレたち3人の心を釘付けにしたことは間違いない。



生ビールお待たせしました!



そう言うと彼女はオレの正面に座っていた先輩にジョッキを手渡す。続いて斜め向かいに座っていたちょんまげバカにジョッキを手渡す。いい加減脱げって感じです。
最後にオレの目の前にジョッキを置いた彼女はいそいそと怪しげな3人組の部屋を後にした。
オレたちは一気にビールを飲み干し、続けざまに2杯目を注文する。

生ビールお待たせしました!

そう言ってこの狭い個室に入ってきた女性店員は、どうやらさっきの女性とは別のコでこれまた可愛い。
彼女はオレの正面に座っていた先輩にジョッキを手渡す。続いて斜め向かいに座っていたちょんまげバカにジョッキを手渡す。ホントそろそろ脱げって感じです。
最後にオレの目の前にジョッキを置いた。
ん?なんかおかしいぞ!?
オレはあってはならないある事に気がついた。
さっきから二人の先輩にはジョッキ手渡しなのに、オレの分だけ無造作にテーブル置かれているようだ。
これはどういうことだ?
確かにどちらかと言えば非イケメンであるオレではあるが、ほかの二人の先輩だってイケメン度ってことに関しては似たり寄ったりだぞ。しかも一人はちょんまげバカだっていうのに。
何だか納得いかないがそこはまぁアレですよ、オレも大人なモンですからあまり気にすることはなく流すことにした。


そして3杯目のビールを注文。
コトの真相を確かめるがごとく、店員がやってくるのをまだかまだかと待ち望んだ。



生ビールお待ちしました!



低い声で戸を開けたのは男性の店員だった。
オレたちはヤローに用はないんだよボケが!
そしてこのボケやローはオレの正面に座っていた先輩にジョッキを手渡す。続いて斜め向かいに座っていたちょんまげバカにジョッキを手渡す。そんなにちょんまげが好きだとは知らなかった…。
最後にオレの目の前にジョッキを置いた。

なんだなんだ!オレはヤローにまで嫌われているのか!
どう言うことだ?オレの背中に何か手渡してはならないぞ~なんて怪しげなメッセージが張られているのか、はたまた近づくことも許されない強烈な悪臭でも発しているのか?
オレは困惑した。大いに困惑した。
くそ!こうなったらヤケクソだ!
どうせこの席では最も年下のオレだ。
糞同然上等だ!
ええーい!手渡して貰えるまで飲み続けるまでよ。
ピッチを上げてビールを飲み干す。当然グラスは3つ同時に持ってきてもらわなければ真相究明にはならないので、そろそろピッチが下がりつつある先輩たちにも強制的にグラスを空けさせる。
ゆっくり飲ませろ?バカなこと言ってんじゃねーよ、このカスどもが。
つべこべ言う暇があったならさっさと飲めってんだ!

こんなオレの問いかけを快く聞き入れてくれる先輩方がオレは好きだ。
気がつけは両手で数え切れない数のビールを飲み干し、オレたち既にロレツが回らなくなりつつあった。



生ビールお待たせしました!



もう何杯目か分からなくなった生ビールが届く。
彼女はオレの正面に座っていた先輩にジョッキを手渡す。続いて斜め向かいに座っていたちょんまげバカにジョッキを手渡す。もうどうでもいい…。
そして最後にオレの目の前にジョッキを置いた。

さすがのオレも堪忍袋の緒が切れた。
そして言ってやりましたよ、どうしてオレだけ仲間はずれなんだと。
いじめっ子にいじめられっ子の気持ちが分かるのかと。
どういうつもりなんだ!理由を言ってみやがれ!



どう言うって、狭い個室ですので奥の席につかれているお客様のところまで手が届かないんです。手前のお客様の場合はテーブルに置くことができますから。



ですって。

泥酔の状態で店を後にしたオレたち3人。
足元おぼつかなくなるほどに酒を浴び、真っ直ぐ歩けなくなる始末でどうやら他の通行人に迷惑かけていたみたい。記憶が定かじゃないが…。
しまいにゃ交通量の多い道路の真ん中でリバースタイムなんて大暴走しちゃってる輩はオレだ。




言わせてもらいますがね、歓送迎会なんてちょっとお涙頂戴なイベントに参加し、その胸に秘めた様々な思いが込み上げてくるのは分かりますよ。でもね、どんな理由があるにせよ人様に迷惑かけるような飲み方はどうかと思うよ。
おカミが見過ごしてもオレは許さんからな、絶対だ!

そう自分に言い聞かせ、ズッコケ3人組は次の店へと千鳥足で向かったのでした。


以上。



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翼の折れたエンジェル。

今日は朝一から結構重要な会議がありまして、まぁ当然のように憂鬱な一日となったワケであります。
会議には重役クラスのお偉いさん方がズラリと顔をそろえておりまして、まぁオレなんかは話半分で聞きつつ、昨晩飲み過ぎのため疲労困憊している体を労わるように目を半開きにし、鼻などほじりながらの参加でありました。
まぁアレですよ、早い話が居眠りしていたんです。


何日もかけて必死で作成した会議資料も、お偉いさんの手にかかれば一刀両断されるのがサラリーマンの悲しい現実。
会社の底辺で働く者たちの努力なんて、肩書きという最強にして最大の武器にはかなうはずも無い。
それに逆らうということはアレですよ、竹槍で上空のB21を突き落とそうとする行為に等しいワケですよ。
無駄!やるだけ無駄。

そんなワケで、この苦痛極まりない会議がさっさと終わることを祈りつつ、オレは居眠りなどしながら時が過ぎるのを待つ。



え~、この件につきましては担当のユキオ君に説明をしてもらいます。



え?今オレの名前呼ばなかった?
夢心地の状態からいきなり現世へ引き戻されるオレ。
そして隣の席に座る同僚が、資料のオレが作成した箇所を開き差し出す。



それでは説明いたします・・・。




おいおい!説明しなきゃならんなんて聞いてないぞ!

上司のウンコタレが言葉につまりオレに無茶振りしてきたのだ。

でもまぁアレですよ。

予想外の展開にもしっかり対応するオレってかっこいい~♪

そんなとこです。

な~んて悦に浸っていると、重役の1人が口を開く。



あぁ~この企画はダメだね、経費かけ過ぎにつき却下!



だってさ。
だからお偉いさんとの会議って嫌いだよ。

この企画を考え形にするまで一体どれだけの時間を費やしているのか分かってるのか?

といってやりたい気分満点です。
まぁアレですけどね、本当はヤッツケにヤッツケた本当にヤッツケ仕事だったからいいんですけどね・・・。

でもやっぱ、とほほですよ・・・。


そんな不快極まりないお偉いさん達との会議であっても楽しみなことがひとつ。
重役クラスの会議の後には決まって特上の寿司が昼食として振舞われるのであります!
やったね。

つーかさぁ、一人前一体いくらなんだ?って程の特上寿司なんですけど、コレこそ経費の無駄遣い以外の何物でもないと思いませんか?
な~んて思いもするけれど、まぁね、オレの口にも入る訳ですから今日は堅いこといいっこ無し。
だってお寿司大好物なんですよ、オレって。

もうね、これだけを楽しみにここ数日間頑張った。
会議資料作成の為の残業だって、特上寿司のために頑張った。

結果一刀両断されたって構いやしね~。

コレさえ食えれば万事OKであります。


目の前に運ばれてきたお寿司を見てオレは狂喜乱舞する。

超高級な霜降肉を彷彿させる極上の大トロ、そしてこの季節には入手が困難であることが容易に想像がつく三陸産の鮑、そんでもって今にも溢れそうなほどに乗せられたウニの軍艦巻き。

特に寿司桶の左右両端にどっしりと構えながらその存在感をコレでもか!って主張してるウニと鮑にオレは目が無い。

ウニが右翼なら鮑は左翼、この2つの翼が力強く羽ばたき今にも桶から飛び出しそうだ。

よし!そのままオレの口の中まで飛んでこーい!

さて、どれから食べようかナァ・・・と考えていると、会議室入り口からオレを呼ぶ声が・・・。



ユキオさ~ん、電話が入ってますよ~。



っておい!誰だよ!こんな大事な時に電話なんてかけてくるアホんだらぁは??

時間は現在12時をまわり、世の中はお昼休みなんてサラリーマンのつかの間の休息タイムに突入しているのだよ。

つーかさぁ、そんな電話繋ぐんじゃねーって思いで一杯だったので、オレはとりあえず相手を確認してどーでもいいヤツだったら後にしてもらおうと、電話を繋いだねーちゃんに確認した。

分かりました。畠山さん って女性からでしたが、後でかけ直すと伝えますね☆

おい!ちょっと待て!それって若い女の子って感じのしゃべり方じゃなかった?なんて確認すると

そうですね。そんな感じでしたよ。

危ねぇ~!そりゃアレだよ、大手取引先の女社長だよ。

オレは大好きなウニ・鮑につかの間の別れを告げ、後ろ髪引かれる思いでそそくさと電話口へと向かった。

クソ!何でこんな時に電話よこすかなぁ・・・。

彼女の電話と言ったら業務と無関係な話に始まり、ちょっとだけ仕事の話をしつつ、また無関係な話に終わるのが常だ。

普段なら彼女の話に付き合ってあげるのだが、今日のオレは忙しい。激しく忙しい。

なもんですから、ちょっと冷たい感じで電話を切る。

あら、ユキオさん今日は何だか冷たいのね・・・。

まぁアレですよ。ウニ鮑というビックウイングがオレを待ってるからとは当然言えませんので、大事な会議中だと言うことで話を切り上げさせてもらった。

さぁ、待たせたねボクのお寿司ちゃん達って事で会議室へ戻ると、既に他の皆さん方は食事を済ませ、事務員さん方が後片付けの真っ最中だった。

で、オレの分のお寿司は姿を消し、もう跡形もない。

あれ!オレの分の昼食は?

ちょっと前から派遣としてやって来た女性社員(グルド)を捕まえてその所在を確認した。

大丈夫ですよ。ちゃんと給湯室へ運んでおきましたから。

オレはほっと胸を撫で下ろすと同時にある不安に駆られる。

会議などで残ったお弁当などは決まって給湯室に運ばれ、暗黙の了解でそこにあるモノは誰が食べてもいいことになっていたのだ。

やばい!給湯室はやばいよ!

オレは机の上にあった会議資料を掴み、給湯室へと走った。

頼む!間に合ってくれ!!

風のそうに颯爽と走るオレ。

あり得ない早さで給湯室へ到着すると、オレの視界に一つの寿司桶が未だ健在であるとの情報が飛び込んできた。

良かった間に合った。

オレは呼吸を整えて、さっそくお預けを喰らった寿司を食べようと蓋を開けた。

そしてボクは途方に暮れる・・・。

見事、正に見事にオレの大好きなウニと鮑だけがその姿を消していたのだ・・・。

だ・誰だぁ~!オレのウニと鮑喰ったヤツはぁ~!!!

両の主翼を失った特上寿司の姿は何だか酷く哀しげにそこに佇んでいた。

暗黙の了解、ココに置かれた会議で残った弁当等は誰が食べてよい・・・。

でも、これは、これは残ったんじゃないんだよ。

今日の会議(特上寿司)へ向けてのオレの熱い思いがこみ上げてきた。

翼の折れた天使(エンジェル)

作詞・作曲/高橋 研
歌     /中村あゆみ

ドライバーズ・シートまで
横なぐりの雨
ワイパーきかない 夜のハリケーン
"I love you"が聞こえなくて
口もと耳を寄せた
ふたりの想い かき消す雨のハイウェイ

Thirteen ふたりは出会い
Fourteen 幼い心かたむけて
あいつにあずけた Fifteen
Sixteen 初めての Kiss
Seventeen 初めての朝
少しずつ ため息覚えた Eighteen

もし俺がヒーローだったら
悲しみを近づけやしないのに・・・
そんなあいつの つぶやきにさえ
うなずけない 心がさみしいだけ

Uh・・・・・・ 翼の折れたエンジェル
あいつも 翼の折れたエンジェル
みんな 翔べないエンジェル

何故かこの歌が頭の中に鳴り響いた。

何度も何度も鳴り響いた。

もし俺がヒーローだったら悲しみを近づけやしないのに・・・。

とほほ・・・。


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学習しない男。

自慢じゃありませんが寝起きの悪さにはちょっと自信があります。

目が覚めるとさっきまでの夢の世界が愛おしくて恋しくて、現実のまるで地獄の3丁目?ん?4丁目?どっちだっけ?

まぁとにかくそんな不快極まりない朝の憂鬱な時間とおさらばすべく、再度夢の世界への逃避行という名の二度寝なんてのは日常茶飯事なオレです。

だが、今朝のオレは違っていた。

何故か知らんが、普段ならそこに無駄に重い鉄アレイでも乗っかってんじゃねーか?と思うほどになかなか開こうとしないまぶたが、何の抵抗もなく全開になる。

そんな自分のありえない事態にちょっと困惑し、やべ!寝坊したのか?と目覚まし時計に視線を移すと、このウンコヤローがギャーギャー騒ぎ出すまでまだ1時間以上も猶予があった。

さすがに布団から這い出すには早すぎるだろうってことで、オレは再度布団の中に潜り込んだ。

しかし何だが落ち着かない・・・。

あまりにも静かすぎて何だか落ち着かない・・・。

仕方ないのでオレは泣く泣く愛しい布団とおさらばすることを決意して、テレビのスイッチを押した。

ブラウン管の中では、何やらおっさんが天気図を眺めながらあーでもないこーでもないと講釈をたれていた。

タバコに火を付けしばらくその様子を眺めていると、画面の上方にさっきから白い文字がスクロールしている事に気がついた。

東北地方~宮城県北部~大雪警報~~東北自動車道・○○インターから××インター間通行止め~~

へぇ~雪降ってんだぁ~。

なんてボーっとテロップを見つめていたんですが、ふと我に返る。

宮城県北部~大雪警報~・・・。

え?

宮城県北部っていったらこの辺のことだよね?

オレは急いでカーテンを開け外の様子を確認した。

そうしましたら、当然と言えば当然の一面の銀世界が目の前に広がっておりました。

もうね、あほかっ!と言うほどに真っ白。

一体積雪何センチあるのですか?とブラウン管の中でニヤつくオヤジに聞きたいくらいに真っ白。

オレは恨んだ。

今年はさっぱり雪が降らなくて季節感が無いので神様少しくらいは雪が見たいです。

とちょっとだけ心の中で思っていた自分を恨んだ。

しかし降ってしまったモノは仕方がない。

幸いいつもより早く目覚めた本日。

オレはさっさと身支度を調えて、車に積もった雪を処理するために外へ飛び出した。

大好きな愛車軽ナンバー1では本日のドライブにはちと荷が重すぎるので、滅多に乗ることのないミニバン(4WD)のエンジンに火をともしてオレはいつもよりかなり早く家を後にした。

一面の雪景色、道路と田んぼの境界線がよく分からない状況に加えての吹雪に恐怖しながらもオレは道無き道をいつもの駅へと突き進む。

さすがにスピードは出せないが時間的にかなり余裕があるので、オレは両手でしっかりとハンドルを握りしめながらもお気に入りのCDなど聞きながら鼻歌交じりで先を急いだ。

もしこの雪の影響で電車が止まってでもいたら、このまま職場まで車で向かわなければならないので、時間の猶予は充分に欲しいところなのだ。

視界の悪い雪道、前方に何やらちかちかとハザードを灯している車の影が見えてきた。

あり得ないのはその左右のハザードの位置で、左右のランプの高さが明らかに違っているのだ。

オレは察した。

あぁ、この車はあまりの視界の悪さに運転をミスり側溝にでも片方のタイヤを落としてしまったのだろうと。

助けてやりたい気持ちは確かに少しはある。

でもオレはオレで急ぐ旅を直走る状況であるので、良心の呵責との葛藤を余所にこの状況はスルーだなと無視を決め込もうとしたら、オレの車の前に一人の青年が飛び出してきた。

コイツあほか!?と思いつつもオレは車を停車させ青年の声に耳を貸そうとした。



すいませーん、車が脱輪しちゃいまして困ってたんです。ちょっと牽引して貰えないですか?



そう窓越しに話しかけてくる青年と目が合うと、オレたち二人は



あっ!


あっ?



ほぼ同時に声を上げた。

コイツ以前オレんちの畑にダイブかましたあのドリフト小僧 じゃねーか!

あほなやつだ!性懲りもなくまたダイブしてやがる。

オレはいい機会だから一言いってやらねばならん!と思い、雪降る車外へ飛び出した。










大変ですね~大丈夫ですか!?







まぁアレですよ。

オレも大人なモンですから、こんな状況で説教たれるのもアレかぁと思いましてね。

時間的にもまだ余裕があったもんですから、とりあえず話だけでも聞いてやろうかなぁと思いまして・・・。



その節は大変ご迷惑をお掛けいたしました。

ところで、申し訳ないんですが、ちょっと引っ張れば抜け出せそうなんですけど力貸してくれませんか?



なんて下手に出るモンですから、オレは惜しげもなく手を貸す事にした。

あぁ、なんて紳士的なオレ。


こんな時のためにと日頃から常備してある牽引ロープをここぞとばかりに取り出し、ドリフト小僧のボンネットの下にあるフックに一方をくくりつけ、もう一方をオレの車のリア部分に固定する。

後は、お父さんの車は四駆だぞ(千と千尋の神隠し参照)なんてつぶやきながらアクセルを踏み込む。

少しだけ空回りするお父さんの四駆ではあったが、わけなく状況を脱することができた。



ありがとうございます!ありがとうございます!



と必要以上に頭を下げるドリフト小僧。


オレは、いいから早く行きなさい!と促しつつも近くにあった自動販売機で熱い缶コーヒーを二つ購入し、一つを彼の車の運転席に放った。そして彼の車を先に行かせてやった。

心地よいスキール音を響かせて走り去るドリフト小僧。

さて、それじゃオレも先を急ぐとするか。

缶コーヒーの蓋をブシュっと抜いて、オレはまた雪道のドライブを再開した。



カーステレオからは季節外れのサザンオールスターズの歌声。

曲はお気に入りの 『 海 』

雪景色の中で聞くサザンもまたいいもんだなぁなんて思いながら、タラタラとお父さんの四駆を走らせる。


ふと前方を見ると、何やらちかちかとハザードを灯している車の影が見えてきた。

あり得ないのはその左右のハザードの位置で、左右のランプの高さが明らかに違っているのだ。

オレは察した。

あぁ、この車はあまりの視界の悪さに運転をミスり側溝にでも片方のタイヤを落としてしまったのだろうと。

しかしこの車には見覚えがある。

つーか見覚えがありすぎる。

オレはまさかなぁ・・・と思いつつも近くまで車を走らせた。



すいませーん、車が脱輪しちゃいまして困ってたんです。ちょっと牽引して貰えないですか?



もうね、ここで助けたらコイツのためにならないと思ったね。

むしろそう思わなければならないと思ったね。


オレは当然のように一言



死ね!



と言ってやりたかったんだけど、その言葉を飲み込みJ○Fと言う名の強い味方の連絡先を彼に手渡し先を急ぐことにした。


こんな大雪の中、遅刻する事も無く出勤したオレ。

そんな自分を褒めてやりたいと思った。




以上。




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割れ目の神秘。

土曜日は出勤する人間が少なく、電話の鳴る回数も少ないので落ち着いて仕事が出来る。
オレはそんな土曜のオフィスが結構好きだ。
まぁね、アレですよ。
人の目が少ないので気兼ねなくネットできるしね。
人も目が少ないので気兼ねなくエロサイト閲覧しまくれるしね。
まぁそんな感じで今日も仕事なのか遊びなのか良く分からんが出勤しております。


12時を回りちょっと小腹も空いてきたことなので、後輩を誘って昼飯でも食いに行こうってことに・・・。
何食う?と後輩に尋ねると、ラーメンがいいっすねって返答だったので、近くのラーメン屋に行くことにした。


オフィス街の食堂ってのは、平日の昼時はどこもかしこも混雑していて席を確保するのも一苦労だが、さすがに土曜日ともなると、休日の企業が多いためかどの店もガラガラで、のれんが出ていない店も少なくは無い。
さて、お目当てのラーメン屋に付くと、やはり店内には数人の先客いるだけで好きな席を選び放題って感じだった。
小上がりになっている座敷の席とテーブルの席



先輩、ここにしましょうよ。



という後輩の言葉に導かれ、オレたちは座敷席に隣接するテーブルに腰掛をかけた。



先輩、あれ見てくださいよ。



後輩の指差す方向に視線を向けると、そこには19・20歳くらいの女の子が2人座敷席に座って1人はラーメンをすすり、1人はカレーを喰らっていた。
ん?だから何だ?若い娘がラーメンとかカレー食ってる姿がそんなに珍しいのか?と後輩に尋ねると



先輩もっと、もっと下ですよほら。



と指差す。
オレはその方向を再度確認してみた。あぁ、そういうことか。
ローライズなジーンズを穿いている彼女達、オレたちに背中を向けて座っている1人の娘はその股上の短さ故に腰の辺りが露出して丸見えになっていたのだ。
それどころか、ただでさえ短い股上が正座することによりさらにズリ落ちてる様子で、ケツの割れ目まで惜しげも無くご披露するという大サービスと化していたのだ。
コレがですね、どっか別の場所なら喜んで見ますよ、オレだって。
如何せんここは飲食店。どんなに若い娘のケツの割れ目と言えども飯食いながらは見る気になれません。
さすがにこの場でのその過剰サービスは不快以外の何物でもない。
なのでオレは後輩に



おい、アイツ等にその薄汚いケツの割れ目仕舞いやがれって注意して来い!



なんて冗談で言いましたら



はい!分かりました!



なんて元気よく返事をしまして、オレが止める間もなく席を立ちやがんの。
そんでツカツカとその娘の前まで歩み寄り、割れ目を指差しこんな台詞を吐く。



ねぇねぇ、この隙間って何を入れておくためにあるの?



うわっ!やっちまった・・・。
しかも注意になってないじゃん!?冗談だって分からないかなぁ・・・・。
いや、そのニヤついた顔は面白がってんな?確信犯だ・・・。
まぁいいや。
面倒なことになったらお前1人で対処しろよ。
なんて考えていたら、その娘がカレーを食う手を止めて振り返り返答をする。



え?これ?この隙間のこと言ってんの?何入れると思う?



逆に質問を返される後輩。
試したつもりが試される立場に攻守交替。
さぁなんて答える後輩よ。
俄然面白くなってきた状況にオレもニヤつきながら、我が後輩のセンスが光輝きだすのを待ちわびた。
そして口を開き出てきた言葉は・・・



えーとえーと、分かった!福神漬けでしょ!?



間髪入れずに娘が開口。



ぶ~!はずれ。答えはナ・イ・ショ・・・でした。




・・・・・・・・・。




笑っていいのか悪いのか分からなくなり、オレは思わず視線を外した。
席に戻った後輩は



俺はカレーにしますけど先輩も同じモノでいいですか?



と言うのでオレは小さく頷いた。



すいませーん、カレー2つくださーい。1つは福神漬け大盛りにしてくださいっ!



オレはお願いだからその大盛りの福神漬けを持って、割れ目の彼女に再戦を挑むのだけはやめてくれと切に願った。



以上。




追伸


で、結局あの割れ目には何を入れておくのが正しいのでしょうか?
誰か教えてください・・・。




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綺麗なおばさんは好きですか?

30代、まして40代と言ったらおじさんやおばさんと呼ばれても文句は言えないだろう。

私事で大変恐縮ではありますが、最近甥っ子やら姪っ子やらがぽんぽん生まれやがってさぁ、コレで名実ともにおじさんなワケですよ。

ちょっと空き地の土管に腰をおろしてぼけぇ~っと紫煙なんて燻らせているときに



おじさ~んボール取ってよ~



なんて言われても、ガキんちょ相手に文句も言えるはずがないんですよ。

世間はオレがおじさんだとしっかり認知しちゃってんですから。

もうね、ちょっと前のオレならば目玉をギラつかせてすれ違う女性に対して隙あらば取って喰らうぞ~なんて勢いもあったでしょうに、最近のオレときたらもうダメです。

だって世間が認知しちゃってんですから。勢いも無ければ切れもない。ついでにやる気も無いワケです。

本当はもうちょっと頑張んなきゃならないんですけどねぇ、おじさんは・・・。


一方、おばさん連中はといったらコレ、結構頑張ってる。

30代40代の女性なんてまだまだみんなお綺麗でして、年齢不詳な方が急増中な気がしてならない・・・。

ホント、もはやおばちゃんなんて呼んだら失礼にあたるんじゃないかってくらい。



閑話休題。



この前の日曜日、某有名スーパーマーケットでの無料試食会のスタッフとして借り出されちゃいまして、休日だというのに店舗の入り口、木枯らし舞う寒空の下で開店から夕方までせっせと試食品を配っていたんですよ。

休日のスーパー、客層の中心はやはり主婦でありまして、まぁ見た感じ30代40代くらいの女性が多かった気がします。

そんな奥様方に共通して言えることは、やはりアレですよ、みんな小綺麗だって事ですかねぇ。

当然例外ってのもあるワケで小綺麗ではない方もちらほらではありますが、みなさんスラッとしたスタイルに綺麗に染められた髪をなびかせてまして、でもちょっと近所のスーパーでお買い物なワケだからラフな服装、これがまたちょっと無防備で良かったり。

男なら加齢臭で鼻も曲がっちまうところだが、何だかみなさんちょっといい香りがしたりして。

お昼の準備面倒だからインスタントラーメンでも旦那に食わしとけ!でもしょうがないからネギでも刻んでやるか・・・って想像をかきたてるようなネギ臭もその手からは感じられない・・・。


そんな主婦層の女性を一日眺めていたら、若い子が大好きなオレではありますが



う~ん、熟女あなどれないぞ!



なんて女性の趣味を大きく転換させられそうになりましたもの。


でもね、そんな外見若くて小綺麗になった女性であっても、オレは あぁ、やっぱこいつらはおばちゃんだわ・・・。

なんて思わずにはいられない事態を目の当たりにしちゃったのです。


その日店頭で無料試食として配っていたのは、まぁ高級食材とまでは言えないにしても、実際購入しようと思ったら手にとって3分くらい考えてからやっと籠に入れる・・・ってちょっとお高い食材を調理したものだったんですけど、まぁ無料って言葉に過剰反応してわんさか群がって来るのはさ、アレですよ、やっぱおばちゃん・・・。

もう小綺麗だろうがそうじゃなかろうが、とにかく血眼になって我先に手を伸ばしてくるのはおばちゃん。

さっき見かけた、あぁあの人綺麗な人だな・・・と見とれてしまった40歳くらいの清楚な女性も血眼。

ちょっとマッチョなおじさんが群衆をかき分けようとしても、はじき飛ばされてましたからね。



もうね、その勢いに圧倒されてオチが付きませんよ。


外見は若返りに大成功した女性も、ウチに秘めたる闘争本能が開花するのは止められないのですねぇ・・・。

などと尻かきながら電話の応対するちょっと小綺麗な事務員を眺めながら思った本日でありました。



以上。





人気blogランキングへ  ← よぉ~し、怒りはコイツにぶつけてくれぃ!

昨今の常識 VS 古風な正義漢。

自慢じゃないが極度の方向音痴なオレなんです。

なもんですから車で外回りなんて時はそりゃ大変なんですよ。

まぁアレですよ、そんなマイナスな特技が災いして?いや幸いしてなのか?

とにかく意外な発見したりしてちょっとお得なんて時もある。

道に迷ってですね、隠れた名店!と呼んでもいいようなラーメン屋だとか発見したりってことがしばしば。ヤッタネ☆

でもね、所詮は方向音痴なもんですから、再度その隠れた名店!に行こうとしてもまともにはたどり着けないんですけどね。

とほほ・・・。




先日も外回り中に道に迷っちゃいまして途方に暮れていたんです。

取引先との約束の時間は刻一刻と迫って来ているのにいつまでたっても目的の場所にたどり着けない。

仕方がないので近くにあったコンビニへ足を運び、地図なんぞ立ち読みしてみる。

あぁ!さっきの道右折すりゃ良かったのか!

この地図わかりやすいなぁ、でも買うのはもったいないし・・・ってことで、とにかく記載の内容をせっせと頭にたたき込んでいると、オレの右隣で立ち読みしていた男子高校生が読んでいた雑誌をカバンに詰め込み、逃げるようにその場を立ち去ろうとしていた。

オレはその一部始終を目撃してしまったが、もちろん何も言うつもりは無い。

はっきり言ってオレには無関係な事だから・・・。

ところが、そんな男子高校生の逆隣で週間文春読んでいたおっさん(推定年齢62歳)がですね、余計な事を口走る。



君!今カバンに入れたモノを出しなさい!



もうね、メンドクセーと思いましたよ。

別にほっとけばいいんですよそんなこと。

はっきり言っていちいち騒ぎ立てる事じゃないと思うんですよね、オレは。

でもね、おっさんはそうは行かないみたいだったんですよ。



君!そんなことしていいと思っているのか!どこの学校の生徒だ!



徐々にヒートアップしてくるおっさん、火の粉は同じく一部始終を見ていた店員に飛び火する。



ちょっと!店員さん、あんたも見ていたでしょ!こんな事されて黙ってないで何とか言いなさいよ!



そう言われて何だかメンドくさそうに頭をかくアルバイトらしき店員。



ウチとしては別に問題ないですから・・・。



どうやらアルバイト店員もメンドーなことに巻き込まれるのはゴメンらしい。

どうにも治まりがつかない様子のおっさんは、何度も高校生に詰め寄ったり、アルバイト店員が見て見ぬふりをしたことに憤慨してやれ店長を呼べだの叫ぶ始末。

で、結局火の粉はオレにも飛び火する。



あんたも見てたんだろ!何とか言ったらどうなんだ!



仕方がないので正直にオレの見解をおっさんに伝えた。



いいんじゃないですか、店員さんも構わないって言ってるし・・・。



オレの投げやりな発言に更に熱を増すおっさん。

ついに警察を呼ぶだの学校に連絡するだの言い出した。

でも、当の本人である男子高校生がついに切れてまして



うるせ~!てめぇ~にゃ関係ないだろ!!てめ~が連行されろバカが・・・。



極めて挑発的な言葉を残して店を出て行った。

オレもこれ以上面倒なことに巻き込まれるのはゴメンだし、時間もなかったので店を後にした。



ついでにオレも男子高校生がカバンに詰めたのと同じ ホットペッパー を小脇に抱えながら・・・。





以上。






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平成とりかへばや物語。

朝の通勤電車内では、極力本を読むようにしております。
まぁいろんな意味で雑食なオレですので、そのジャンルは小説だったりエッセイだったり、時にちょっとお堅い専門書だったりと様々。
もうね、本当節操がねぇなぁと自分でも思うわけですよ。
え?官能小説が抜けてるだろって?
ふっ・・・甘いな。
これはあくまで朝の通勤電車の話なのだよ。
官能小説はアレですよ、もっぱら夜の帰宅電車で読むのだよ。
さすがに朝からってのはねぇ・・・。


元来活字に触れるのは嫌いじゃないから通勤時に本を読んでいるワケですが、電車内でそういった行動を取るのにはもうひとつ理由がある。
それはアレだアレ、痴漢に間違われないようにするため。
激しいほどのローカル線と言えども、朝の通勤時はそれなりに混雑するんですよ。
まぁ都心のそれと比べたらカワイイもんではありますが、身動きするのに不便を感じるくらいの乗車率となることは確かだ。
終点に近づくにつれて乗車率はアップするが、オレの場合座ることはできないまでも、好きな立ち居地を確保できる状態からの乗車となるので、終点まで十分に本を読むスペースくらいは確保できる。
で、痴漢に間違われないようにする手段として右手はつり革、左手は文庫本というスタイルを他の乗客にアピールするワケだ。手出せませんよーって。
まぁね、手なんて使わなくてもできるんですけどね、痴漢の一つや二つくらい・・・。


やっぱさぁ、やってないのに痴漢に間違えられて人生を棒に振ることくらい男として無念なことなんて他に無いと思うんですよ。
やってないのに犯人として吊るし上げられ、無実の罪を償うために残りの人生を費やす。
あぁ、なんて悲しいんだろう・・・。もし自分がそんな立場だったらと考えただけで変な汗が滴り落ちてくるのが分かる。
こんなことなら、こんなことならせめてあのブサイクな女の薄汚れたチチでも臭そうなケツでもいいから触っとくんだった・・・。


こんな事態に陥ることを未然に防ぐためにオレは本を読むのだ。
ほら、オレの外見ってどちらかというと 好青年<エロオヤジ じゃないですか?
まぁそんな感じです。備えあれば憂い無しってことです。


そんな感じ(?)で先日もいつものようにしょーもない小説の世界に埋もれようとしていたら、隣に立つ男(推定年齢28歳)が何やらオレにちょっかいを出してくる。
オレより10cmほど背の低い彼は、両手で吊革をつかみ電車の揺れに身をまかせながら立ったまま眠っている。
オレは基本たったまま寝るなんて不可能だと思っているタイプでありますから、コイツも同類なのかと思ったね。両手を封印して備えあれば憂い無し作戦決行中なんだと思ったね。
でもね、よくよく観察してみると、ちょっとヨダレを垂らしたくらいにして本気モードの全開で寝てやがるんですよ。
彼の体を支える、ちょっと女々しく内股になっている下半身には力が無く、今にも崩れ落ちそうなおぼつかない状態で電車が揺れる度にぐらんぐらんと螺旋運動を行いながら、頭をオレの文庫本にぶつけてきやがる。もうね、邪魔臭い・・・。
若いのにちょっと薄くなっている頭が何だか哀愁を醸し出しているが邪魔臭い。
それでもきっと彼も疲れているんだろうと、注意を促すことなく寛大な心で許してあげるオレ。
ホントくたびれたサラリーマンの鏡だね、オレって。


そんな彼の正面には、この内股の薄っすらサラリーマンとは対照的に、腕を組み股と口を大きくおっぴろげ豪快かつ男気溢れるスタイルで眠るねーちゃん(推定年齢21歳)が座っていた。
そのいでたちはアレですよ、映画NANAに出てくるナナ役の中島美嘉のソレとまったく一緒。
何やら不健康そうなメイクっていうか、毎晩ベッドの上では彼(もしかしたら彼女?)が必要以上に求めてくるモンだから寝不足なの♪なんていわんばりのクマ?と幸薄そうなモダンな喪服スタイルは中島美嘉のソレとまったく一緒。
ぜってーコイツの肩もしくはケツには狼ちっくなタトゥーがあるに違いない。
そしてこの女、確実に男を闇に葬り去った経験があるわ(サゲマン)。12人くらい闇に葬り去った経験があるわ(激しくサゲマン)。



とにかくそんなキャラ色の濃い男女二人が向かい合って、二人仲良く特徴的な眠り方をしていたのだった。
まぁ面白がって観察していたのはほんの一瞬のことで、その後は何事も無かったかのように小説の世界に引きこもったんですけどね・・・。


読みかけの小説もそろそろクライマックスに差し掛かろうとしていると、ガタンという音と共に電車がちょっと強めに揺れた。
そうしましたらですね、薄っすらサラリーマンのヤツが握っていたつり革をツルンなんて音が噴出されるかのように、それこそ漫画のように手を滑らせて前方へ倒れこみそうになったんですよ。
さすがのオレもコリャヤバイ!ともうちょっとで読み終えそうだった小説を光のスピードで閉じ、薄っすらサラリーマンを救出すべく手を差し伸べたが時既に遅し・・・。
コンマ1秒、まさにタッチの差で彼をつかみ損ねた。
そうしましたらですね



ごんっ!!



なんて鈍くて恐ろしくデカイ音と共に二人の頭が激しく衝突。



いってぇ~!



そういいながらやっとお目覚めの様子のお二人さん。
オレは思ったね、これで中島ねーさんの13人目の獲物確定だって。薄っすら君ご愁傷さまって思ったね。



大丈夫ですか?お怪我はありませんか?



以外にも自分のことより相手をいたわる中島ねーさん。
やはり人は見かけで判断しちゃいけませんね。ちょっと反省・・・。



いってぇーなぁ~!



と言いながらまたつり革をつかみ直す彼。
でも何だかそこに座っていた彼女のほうが悪者みたいなやり取りに、ちょっと違和感を感じるオレだった。
いきなり倒れこんだ薄っすら君の方が悪いでしょ、確実に・・・。


その後何事も無かったかのように静寂を取り戻した電車内。
でも何だかさっきの違和感が未だに払拭できていないオレ。
何なんだろう、この違和感は・・・と思いながら引き続き眠りについた二人を観察して見るとある異変に気がついた。
さっきまで弱々しくつり革を握り、そして女々しい感じの内股スタイルだった彼が、電車の揺れをモノともせず腕組みをして仁王立ちしている。

一方男勝りの大股開きに腕組みだった彼女は、慎ましく足をそろえ手をひざの上にのせて、まるで子猫のように可愛く眠っていたのだった。


オレは悟った。激しく悟った。
コイツらさっき激しく頭をぶつけたショックで体が入れ代わったに違いないと。
そうだ、そうに違いない。それならこの違和感の説明はつくってモンだ。


程なくして電車は終点に着いた。
彼女と彼、そしてオレを含めた全ての人たちが電車から降り、各々の職場だったり学校だったりへ向かっていった。
体が入れ代わってしまった二人も別々の方向へ進んで行く。



きっと本来の性に戻ったに違いない「若君」と「姫君」には、これからそれぞれ本当の未来が待っているかも知れない。
出世すれば関白と中宮だねきっと・・・。


体が入れ代わったことに気がつかず、雑踏の中に消えていった二人・・・。
つーか本当に入れ代わったのだろうか?
その謎を解き明かす術はもうない・・・。



以上。

テニスの王子様をねらえ!?

朝から斜め向かいの席に鎮座する、宇宙的尺度で見れば美人って言葉も嘘ではないかもしれない事務員(34歳)がはしゃいでいる。
ガラにもなく彼女の趣味はテニスらしく、今朝は新しく購入したラケットをみんなに見て欲しくて超音波のような不快極まりない雄叫びをあげていたのだ。



ねぇねぇユキオ君見て!新しいラケット買ったんだ。



ホント面倒くさいんですよね、だから何だって話ですから、オレは。
そんなことよりさっさとコーヒー持って来いよ!
なんて言えるはずもなく



あぁ、ボクはよく分からないですけど何だか高そうなラケットですね、ヨネックスですか?



と、どーでもいい雰囲気満載で気だるく返事をしておいた。
オレの知ってるラケットに関する知識といえばヨネックスくらいだけだし。
でも本心はというと



あぁ、デカイしゃもじですね・・・ヨネスケですか?
そう言えばどことなく似てますもんね、ヨネスケと。つーことは今日あたり突撃ですね、隣んちの晩ごはん。
遠慮のなさはいい勝負ですもんねヨネスケと…。



気の小さいオレなので、もちろん心の中で呟くだけなんだけどね…。
さて、朝のメールチェックを済ませて仕事に取り掛かろうとすると、斜め向かいの席に君臨する宇宙の猛禽類(夜行性)は狙った獲物はそう易々と逃しはしないと言わんばかりのマシンガントークでさらにオレを追い詰めようとする。



へぇユキオ君ヨネックス知ってるんだ!もしかしてテニスかバドミントンやってた?
ってそんな訳ないよね。いかにも 『私は運動できません』 って顔してるもん。
うふふ♪



もうね、お願いだから誰か、ホント誰でもいいからこのヨネスケ女(鳥獣戯画に登場してる?)を黙らせてくれと思ったね。
つーか地元じゃ負け無しの運動神経の塊と言われているこのオレ様に向かって、『運動できなそう…』 とは言ってくれるじゃねーか!





・・・・・・・。





時は遡ること12年前の春。
大学生となり見知らぬ土地で新しい生活を始めたばかりのオレは退屈していた。
高校時代名門と呼ばれた陸上部に所属しそれなりの結果を残してきたオレは、大学でも当然陸上を続けるつもりでいた。
もっと、オレはもっと早く走れるはずだ、そしてもっと遠くまで飛べるはずだ!
その答えを導き出す為、高校時代には見ることが出来なかったアスリートとしての輝かしい世界を目の当たりにする為、オレはもっと己の肉体と技術を磨く為のステップとして、学生課へ陸上部の所在を確認しに行った。
両手に予めしっかりと手入をしたスプリント用・ジャンプ用の2つのスパイクを持って・・・。



陸上部へ入部したいのですが、どこへ行けばよいでしょうか?



期待に胸を弾ませる20歳のオレがそこにはいた。
だが、そんな期待を裏切るかのように学生課の職員はオレに言い放つんです。



え?うちの大学に陸上部なんて無いよ。あぁ、確かマラソン愛好会ってのがあったからそこへ行ってみたら?



あぁ、なんてこった・・・。
オレは落胆した。
大学生活を充実したモノにするべく今日まで思い描いてきたビジョンがここで全て木っ端微塵に打ち砕かれた気分だった。
陸上部が無ければ一人で頑張ればいいじゃんなんて思うかもしれない。
でも、オレが専門にやってきたのは跳躍。
この学校には部が無いばかりではなく、ハイジャンプ用のマットも無ければ、ロングジャンプ用の砂場すら無かったのだ。

や~めた。やめやめ。
もうメンドくさくなっちゃったよ、オレ。
一人で黙々とグランド走り回るのも何だかアホくさいしね。
そうそう!せっかく新しい生活が始まったんだから、何か新しいスポーツでも始めりゃいいじゃん!

ってことで、何か激しくオレの心を揺さぶるような未知なるスポーツはないかと探した。


鍛えあげた肉体を武器にして相手に、そして己に立ち向かうちょっと男くさいスポーツはないかと一心不乱に探した。
もうね、しゃかりきコロンブスって感じで探した。


そんなある日のお昼休み、同じクラスのヤスと呼ばれる男がオレに話し掛けてきた。



よぉ~お前高校では陸上やってたんだって?実は俺もそうだったんだよ。
で、ここでも続けてやろうと思ったら無いんだってな、陸上部。
ところで、種目と記録はどんな感じだったんだ?



オレはメンドクセーと思いながらも丁寧に説明をしてやった。



え!じゃあの国体の会場にお前もいたんだ!?



一気に話は盛り上がりオレたちは意気投合することとなる。
そしてヤスはオレにある提案をしてきた。



大学まで来てヘドを吐くほどに練習するなんてナンセンスってもんさ。
どうだ、俺と一緒に来ないか?



どこへ行くとも告げずにオレを連れて歩き出したヤスの行き先はテニスコートだった。
ふざけんじゃねぇ!!
こんなナンパなスポーツをこのオレ様がやれるかってんだ!
見ろ!コートの中できゃっきゃとはしゃぐ婦女子どもの顔を!


・・・・・・。


可愛いじゃねーか。
物凄く可愛いじゃねーか。


オレは求めていたものをこのコートの中に見つけ出した。気がした・・・。
ここがこれからのオレの居場所だと。そんな気がした・・・。



ユキオよぉ、いつまでも根性論でスポーツを語るなんて古いぜ。見ろ!コートの中の女どもを。初心者丸出しだぜ。テニスサークルなんてチャラチャラした場所に集う奴等なんてみんなお遊び目的さ。同じ初心者なら種目は違えどオレ達本気で運動やってたモンの方が確実に上達が早いに決まってるんだよ。
なぁ、ちょっと本気で練習してさぁ、上手くなったら他の女子メンバーに手取り腰取り指導してやりゃいいとは思わないか?
えへへ。



なるほど。
ヤスの言うとおりだと思ったよ。
よ~し!いっちょやってやるか!
そしてオレ達二人はお気楽ナンパなテニスサークルに参加することを即決した。


さぁここからが大変だ。
とにかくさっさと上達して諸先輩方のように、手を取ったり腰を取ったり尻取ったりアレ取ったりするぞ!
意気込み充分でオレとヤスは練習に打ち込む。思ったとおりオレ達はメキメキと上達していった。
よし!時代はオレ達に傾きかけていると思った矢先、大きな障害が立ちはだかる。
同じ新入生の中に都だか県だか知らないが、とにかく公式テニスでベスト8入賞を果たしたやり手(佐々木)がいてオレ達二人の前に立ちはだかったのだ。

コイツがねぇ、アホみたいに上手いんですよ。

結構やり手の先輩達でも太刀打ちできないくらいに上手い。

そしてオレ達にとって最悪なことに、コイツ(佐々木)ったら甘いマスクでなんか八重歯がキラッってな感じの好青年だったりするモンだから、コートの中の尻の軽そうな腐女子共はうっとりって感じで、その軽いケツを差し出す始末。


オレとヤスはさぁ、コイツに勝たなければアレ取ったり出来ないと安易に思うわけですよ。

そして打倒!甘いマスクの同級生(佐々木)を目標にヘドを吐く程に練習することを誓ったりしちゃうんですよ。

でもね、甘いマスクの同級生(佐々木)に勝つのは初心者二人にはあまりにも経験不足で、とにかくオレ達に技術という最大の武器を授けてくれる師匠を捜したワケです。

でも甘いマスクの同級生(佐々木)、既にこのサークルでナンバー1の実力を誇示してしまってるので、コイツ以上のやり手なんてそう易々と見つかるでもなかった。

仕方なくオレ達は最大の敵である佐々木に接近し、頭を下げて指導を願ってみた。まぁアレですよ、敵をさぐるにはその懐に潜り込むのが一番手っ取り早いってことですよ。



ボクはさぁ、男に教える気はないんだよねぇ。

つーか、どんなに頑張ったってボクには勝てないと思うよ、君たちじゃあさ。

あはは。



甘いマスクの佐々木君、実はすごく嫌なヤツだったみたい。

コニャロメ!

ヤスが必要以上に熱くなっているのが分かった。

オレはまぁ意外と冷静にその言葉を受け止めはしたものの、いつか恥をかかせてやると思った。


でも実力差は火を見るより明らかだったモンですから、途方に暮れるしかなかったオレ達。

やばい!このままでは佐々木のヤツにアレ、全部持って行かれてしまう・・・。

それでも地道に練習を続けるヤス、そしてもうどうでも良くなってきたオレ。

が、そこを救世主とも言える男が登場して事態は急転する。


土曜日の午後、いつものように下手ながらも地道に練習を続けるオレとヤス。

何やら隣のコートでは佐々木とどっかのおっさんが一騎打ちの真っ最中だったのだ。

よく見ると、いつも女には必要以上に優しく、男には冷酷非道な佐々木がおっさんに一方的にやられてるではないか!

もうね、オレたちは狂喜乱舞ですよ。



おっさん頑張れー!



オレ達の応援など全く必要ない感じで、おっさんの一歩的な試合運びによりストレートで勝敗は決した。

聞けばこのおっさん、このサークルの創始者でここの卒業生らしい。

見つけた!

このおっさんに弟子入りすればオレ達はきっと佐々木のヤツを倒すことが出来るに違いない!

そして早速オレとヤスの二人はこのおっさんに接近し打倒佐々木という事情を話し教えを請うことにした。



そうか、分かった。タダ俺の練習は厳しいぞ!



もちろん望むところだ!

佐々木のヤツを倒してアレ、取れるなら何だってやるさ。


それからオレとヤスは暇さえあればコートに通いラケットを振り続けた。

雨が降ろうと槍が降ろうとラケットを握り続けた。

本来のサークル活動などには目もくれず、オレ達は練習に励んだ。

後に分かったのだがオレ達の師匠のおっさんは、高校生の頃インターハイでベスト4入賞したほどの王子様、そうテニスの王子様だったのだ。

そんな王子様の指導の元、オレ達はその技術を盗み取ることに成功した。


さぁ、腕ためしだ!

オレ達は軟派なサークルではない、公式テニス部の連中の元へ道場破りに出向いた。


結果は、5勝1敗1分。

もうね、自分でも驚くほどに上手くなってやがんの。

テニスの王子様はむしろ界王様かって話ですよ。テニスの界王様。

テニスの界王拳を身につけ、早速オレ達は佐々木の元へ果たし状を叩き付けに行くのだった。



やい!佐々木!オレ達と勝負しやがれ!



楽しそうにサークル活動を行う和やかな雰囲気のコートに訪れたオレとヤス。

どうやらコート内の腐女子共はオレ達二人に釘付けのようだ。

あぁ、あの二人って実は男らしいヒトだったのね、きゃー!かっこいいー!!

そんな声が聞こえて来るようだった。



あれ、君たちって辞めたんじゃなかったの?

何ヶ月も顔出してなかったから除名にしといたけどマズかったかな?



打倒佐々木を目標に、来る日も来る日も練習に励んだオレ達。

雨の日も風の日も練習に励んだオレ達。

この数ヶ月の間に、とんでも無い実力を手にしたが、どうやら手取り腰取りアレ取りの目標成就の場は失ったみたいだった。

そりゃそうだ、みんな仲良く和気あいあいが目的のテニスサークル、みんなとのコミニュケーションを取るコトを忘れ、オレ達二人は・・・。 


一度出した果たし状を照れながら引っ込めるオレ達だったのでした・・・。







へぇユキオ君ヨネックス知ってるんだ!もしかしてテニスかバドミントンやってた?
ってそんな訳ないよね。いかにも 『私は運動できません』 って顔してるもん。
うふふ♪



宇宙的ヨネスケ女(鳥獣戯画に登場してる?)のこの言葉に対してオレは



ふっ、オレがテニスなんて軟派なスポーツが出来なそうだって?

笑止千万!!それならオレと勝負しやがれ!!



のど元まで出かかった言葉をオレは飲み込んだ。

同じ過ちを犯すことはもう無い。

オレも大人になったんだ。


スポーツは楽しくやってなんぼです。

同じ過ちによって、職場での居場所まで無くすわけにはいかないのだ。



つーかヨネスケのアレ、取りたくないしね、間違っても・・・。




以上。