☆___________「財界」日本経済を斬る!!! -471ページ目

帝国ホテルで会長が退任 出資した三井不動産は再開発へ

 昨年九月、約860億円で帝国ホテル(小林哲也社長)株のおよそ33%を取得することを決めた三井不動産(岩沙弘道社長)。その帝国ホテルで長らく社長・会長を務めた藤居寛氏(77歳)が会長を退任した。

 藤居氏は1986年に旧第一勧業銀行から移り同社副社長に就任、97年に名ホテルマンと言われた犬丸一郎氏に代わり社長就任。犬丸流を受け継ぎ、バンカー出身らしからぬホテルマンぶりを発揮した。


 一方、三井不動産は現在、帝国ホテルを含めた日比谷エリアの再開発に乗り出している。すでに帝国ホテルから2ブロック丸の内側にある「三信ビル」は取り壊しがほぼ完了。


 その隣の「日比谷三井ビル」では、入居していた旭化成がすでに退去したが、残る三井住友銀行は

「2010年上期をメドに丸の内のJFEビルに転居する予定」(関係者)という。


 このため、当初予定していた三信ビルと日比谷三井ビルの一体再開発が始まるのは、さらにそれ以降となる。もっとも再開発の計画概要も今はまだ決定していない状況で、三井不動産ではこの間、三信ビルの更地を利用してイベントスペースなどとして利用する案まで浮上しているほど。一方、帝国ホテルのリニューアルもスケジュールは未定だという。


 「今は建設資材が高騰しているため、作っている間に資材の値段が上がってしまう。このため、ゼネコン(建設会社)と価格面で折り合いがなかなかつかず、計画が決まらない可能性もある」(不動産関係者)との見方も浮上しており、大型再開発でも計画作りなどに資材高騰の影響が出始めていることをうかがわせる。

ネット証券は売買が低迷 個人客離れを克服できず

 株価下落と個人投資家の株式市場離れを背景に、インターネット専業証券が苦戦している。株式の委託売買手数料の引き下げ競争により個人売買のシェアを拡大してきたネット証券だが、個人の株取引が低迷する中で縮小するパイの奪い合いに陥る可能性も出てきている。


 ネット証券大手五社による2007年の個人売買代金シェアは、最大手のSBIイー・トレード証券(井土太良社長)が34.8%と、二位の楽天証券(同13.7%)以下を大きく引き離した。他社に比べ低い手数料を武器にイー・トレードは一人勝ちの構図だ。


 証券取引所を通さない私設取引システム(PTS)でも、SBIホールディングス傘下のSBIジャパンネクスト証券が参加メンバーを増やしている。マネックス証券とカブドットコム証券もPTSを運営しており、この分野でもネット証券同士の競争が激しい。


 ネット証券大手五社の08年4—6月期の株式売買代金は前年同期比18%減の約37兆8000億円。株価低迷を受け個人の売買が低迷しており、委託売買手数料が伸び悩んでいる。


 ネット証券は従来、株式の委託売買手数料を収益の柱としてきたが、株式市況に左右されるため、投信販売を始めとした資産運用関連事業やFX(外国為替証拠金取引)などの金融取引に手を広げてきた。とはいえ、株の委託売買でSBIの独走に歯止めをかけたいというのが各社の本音。さらなる手数料の引き下げや顧客の囲い込みが激化する可能性もある。


 あるネット証券の関係者は「今のネット証券は目先の収益を確保するためにデイトレーダーの奪い合いをしているだけ」と指摘。一般投資家による株取引が低調なため、デイトレーダーの囲い込みに奔走しているのが現状。一般の個人投資家を市場に呼び戻す努力も必要だ。


NECが約二万人の社員を対象に在宅勤務を実施

 NEC(矢野薫社長)は7月1日より通信回線を使った在宅勤務が可能な「テレワーク」を全社的に導入することを決めた。対象となるのは、NECのほぼ全てにあたる約2万人。利用は週一回を原則とし、事前に管理職や上司の承認を得た人が対象となる。


 在宅勤務の課題である情報セキュリティの問題やコミュニケーション不足などの課題を克服するため、専用のパソコンやWebカメラなどを配布し、自宅にいながら仕事を行おうというものだ。


 NECでは2006年7月から08年6月にかけて、「テレワークトライアル」として2000人の社員に在宅勤務の実験を行ってきた。実施者の中からは「育児や介護の時間が増えた」「仕事に集中できる時間が増えた」などの声が上がり、実施者の98%が、テレワークの継続を求めたという。


 同社関係者は「ライフスタイルがこれだけ変わってくると、場所や時間に捉われない働き方が必要になってくる。ITを活用したテレワーク(在宅勤務)は、より働きやすい環境づくりに大切なものだ」と語る。

 

 現在、総務省や厚生労働省など政府が「2010年までに就業人口の2割をテレワーク利用者に」という目標を掲げている。05年には就業者人口に占めるテレワーカーの比率が674万人で一0.4%だったから、倍増する計画である。


 他にテレワークを推進している企業の代表例が松下電器産業。グループ会社を含めた国内7万5千人の従業員のうち、モノづくりの現場以外の仕事に従事する社員約3万人が対象になっている。テレワーク利用は「週一、二日のペースで利用するケースが多い」(松下関係者)という。


 また、01年から在宅勤務制度を始めた日本アイ・ビー・エムでは、社員約1万7千人に対して「申請が不要で利用できるため、正確な把握は難しいが、それでも2000人ぐらいの利用者がある」(同社関係者)。


 日本ユニシスなどでも試験的にテレワークを導入しているが、ユニシス関係者は「我々のように製造業などと違って設備投資がない業界にとっては、投資できるのは人だけ。その意味でも、テレワークに興味を持つ社員は多い」と話している。


 少子高齢化や正社員採用の拡大を背景に、企業は人材確保に頭を悩ませている。その意味で、テレワークを導入する企業は今後も増えていくのだろう。