鏡の向こうは夢の中 -4ページ目
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9月24日

最近練習はたいてい2の1の教室であっていたので、一体どこであるのかわからずうろうろしていた。

会議室はもちろん、2の1の教室もふさがっていたからだ。

「もしや・・」と思い部室にいくと、案の定、2年の女子の先輩とOBの男の先輩が2人来ておられた。

結局、この二人のOBの先輩の名前はこのときは分からずじまいだった。


しばらくすると、3年のちくりん(と、2年の女子の先輩方は呼んでおられる)先輩と、

他に2年の男子の先輩が2、3人来られた。


そこで、OBの先輩に誰がどの役をやるかなどを説明して

発声をやってみせることになった。


「あーえーいーうーえーおーあーおー」と一人ずつやっていったのだが

「それでは時間が足りなくなる」と、新しいやり方を教わった。


「あ、え、い、う、え、お、あ、お」をア行からワ行、さらにガ行、ガ行鼻濁音、ザ行、だ行、バ行、パ行まで。

それを5回連続。


そして、』少しずつでも腹筋をやるように・・みたいなことを言われる。


私は「合唱やってたろ?」と言われた。

小学校のとき、合唱部でコンクールを目指したこともあったのでびっくりした。

発声でそんなことまでわかるなんてすごいなあ・・と思った。


しばらくして、OBの先輩方は差し入れのお菓子を残して帰っていかれた。

そのあと部室に戻って、そのお菓子をつまみながら、プランのことやなんかを話した。

学校を出たのが、7時過ぎだった。


今日は歩きだったのだけど、

M先輩と二人で校門を出たところで一人の先生から声をかけられた。

私は習ったことのない先生だったが、先輩の習っている先生だった。

名前も存じ上げない先生だったが、先輩と二人車に乗せていただき、

うちまで送り届けてくださった。

家に帰り着いたのが、ちょうど7時半を過ぎたあたりだった。


帰宅後、さっそく腹筋を20回やった。

9月20日月曜

昼休み、部室に行き、大道具関係の本を探す。

『舞台装置の仕事』という本を見つける。

が、かなり前に発行されたものなので、いまひとつぴんと来ない。


つくづく一人の一年生部員というのが心細くなる。

もちろん先輩はいるが・・・。

ぜひ近日中に誰かを引き込もう・・とは思うのだが

引き込む自信がない。


舞台づくりの役割としては、もしかしたら役者が一番楽なのかもしれない。

もちろん練習には必ず出なければならないし、台詞も覚えなければならないけど・・。

とりあえず「演技」というものをしとけば、なんとかなりそう。


それに比べて、一般に「裏方」と呼ばれる人たちは、かなりの技術がいる。


それでも、他の部に入っている人を誘うとして

一番頼みやすいのが大道具かもしれない。

プランを立て、設計をする。

もちろん演出との話し合いは必要だろうけど・・。

それなら、家でもできるんじゃないだろうか?

とすれば、一番引き込みやすい?


各部会に参加はしてもらわなくてはならないが

作ったりするのはみんなでできるし、舞台に運ぶのもみんなでできるだろうし・・。

そうなれば、別に舞台につきっきりになる必要もあまりなさそう。


これが照明なら、

プランを立てた後も、公演時には必ずついていて、その通りにしなければならないから・・。

効果も、たぶんそう・・。



『舞台装置の仕事』より 重要部分(と思われる?)の書き抜き

P47 


2 平面計測(プラン)


 プランを進めていく上の絶対的な基本条件は、その装置を作るための場、すなわち舞台機構の的確な認識の上に立つということである。

十坪の土地に十八建坪の家は建てられないという、きわめて当たり前な原理が、舞台装置の場から受ける制約のすべてに対していえる。


脚本が決まって・・

夏休み 中旬 脚本が決まる


   三島由紀夫作 邯鄲 (出典 近代能楽集)



9月18日 土曜


市立高校で理事会並びに各部会が開かれる。

「エビータ」の話を聞く。


その後、なぜか大道具として各部会に参加。

舞台が役者一人ではできないことをあらためて実感する。

例え部員が一人だけになってもやってやる・・と意気込んでいたが

やはり速く仲間を増やさねば・・と思う。

8月2日

あせる・・というか、手持ちぶさたっちゅうか・・・。

はやく脚本決まんないかなあ。

裏方なら裏方だっていいし・・とにかく早く決まってほしい。

キャストならキャストで

台詞も覚えたいし、役の研究だってしてみたいし・・。


この部は、かけもちちしている3つの部の中で一番好き。

人数が少なくって確かに良かったなとは思う。

和気あいあいだし、

もしもこんな部でなかったら、先輩とは口きくことなんてなかったかもしれない。

一年部員一人で、必然的にしゃべらないといけないし・・。

中学の頃を振り返ると、その差は歴然。

あのときの部はとにかく大人数で(人気の高かったテニス部)

先輩や後輩とおしゃべりするなんて、

必要に迫られないとしなかった。

どっちかっていうと、口下手な方だし・・。

だからこんな部でホントに良かった。


ただ一つを除いては・・・。

みんな仲が良すぎるから、つい甘えも出ちゃうってことだ。

なんだか気分次第で、練習が休みになることもあるような・・・・。


資本主義と社会主義にそれぞれ長所と短所があるように

大きな部と小さな部についても、それぞれ長所と短所があるってことなのかな。

それぞれの長所をうまく取り入れていけばいいんだろうけど・・。


それにしても、早く練習がしたい。

7月31日

あと10分足らずで課外が終わる。

大掃除が終わって、クラスのホームルーム(あるかな?・・今日は)が終われば

あとは部活だけ・・。


パンザーイ。


ところがかけもちしている文芸部の集まりのあと部室にいくと

かきおきが・・・。

「磯田さん 今日はお休みよ・・」だって。がっくり・・・。




紀伊国屋で脚本をあさった。


ひとつキャストがぴったりなのがあった。

「TANTEI小説」だったかな・・。

劇中劇もあったりして・・・。ま、よろしいんじゃないですか?

お金にかかわるいじきたなさ・・そんなのがテーマになっていた。

劇中劇はうんとくさくやればいいし・・。

あとは年代をいかに出すか・・と、

いじきたなさを出せばいいと思う。

まあ、個人としては一応スイセン!

ただ・・この手の脚本って、著作権がうるさいんだっけ。

いくらか払わないといけないみたい。


こういうとき創作(オリジナル)っていいなあ・・と思っちゃう。


来年ね、

もし一人だったときは、一人芝居も考えてるんです、ふふ・・・。

あのね、

とにかく人類が滅亡しちゃうというか、その女主人公を残していなくなっちゃうんです。

まあ、核かなんかで・・・。

その人が(年齢については思案中)

そのにひとり、つぶやくんですよ・・だれともなくに・・。

自分が幸福だった頃のこととか、いろいろと。

そして結局は彼女も死んでしまうのです、その夜に。

だから、タイトルは「最期の夜」


最初はね・・主人公をおばあさんにしようと思ったのです。

・・その線も強いけど・・もすこし若くてもいいかなあ・・。

7月30日

今日も図書館にたまっていた。


今日来たのは、M先輩、C先輩、Y先輩、H先輩

男の2年の先輩4人。それに私を入れて9人。


まだここまで人数がそろう前、

確かまだ合計6人くらいしかそろっていなかったとき、

OBの先輩(女子の先輩方は「かるくパス」と呼んでおられる)がいらした。

どうも遅れ気味で、まだ脚本が決まってないことを告げると

パス先輩は

「脚本が決まったら教えて」と

ジュース代300円を残して帰っていかれた。

「なんか悪かったねえ・・」とM先輩。

その後、3人の先輩方が来られた。


現在の有力候補は、三島由紀夫の「カンタン」

キャストが多いので、誰かを「スカウト」という話が出ている。

(私が一人で言っている?)

中学のときのクラスメイト(男子)にも当たってみるかな?

裏方だって足りないし・・・。


だれか、はいってくれ~。

はじめに

後輩たちへ

 

私は大江台高校演劇部における、現在ただ一人の1年生部員です。

いろいろと策は練っているのですが、どうも実行するまで至らないのです。


説明不足でした。


・・策というのは・・いかにして1年生部員を増やすかということなのです。


今は2年の先輩たちがいらっしゃるのでまあ良いのですが、

先々のことを考えると、やはりこのままではいけません。

来年、新たに新入生が入ってきてくれたとしても、いろんな問題が出てきます。

例えば、技術的なことをどうやって伝えていくのか・・などの・・。


それは、まあ先輩方に来ていただければ済むことかもしれません。

でも、先輩方には受験などが控えています。


だから、本当は今の1年生部員に増えてほしいのです。


それにしても、つくづく自分はLuckyだなあ・・と思います。

だって、最難関といわれたこの大江台高校の門をくぐることができたのだから・・。

入りたくても入れなかった人がいるんですものね・・。


ところで、入学して、いや本当は中学のときから

入る部は絶対「演劇」と決めていました。


中学のときは、課外の部活動で演劇はありませんでした。

文化祭のとき、必須クラブにできただけ・・。

それだって、希望はしたのに、入れませんでした。


だから、高校の演劇部ときたら、さぞかし部員が多いことだろう・・そう思っていました。

そして、例えば「ガラスの仮面」で読んだような

「お高い先輩ばかりじゃないかな~」と心配したりもしていました。


だから、あの日も一人部室の前で迷っていました。

それは、部活動紹介で、一通り見て回って解散になったときのこと・・。
私は、どうしてもその一歩が踏み出せずにいました。

すると、そばを同じ中学出身の友達が通りかかりました。

彼女は入学するが早いか、ブラスバンド部への入部を果たし

すでにその日も練習中で、その合間にそこを通りかかったのです。

「何してるの?」

「うん・・演劇部に入ろうかどうしようか・・・」

「こんなところでウジウジしてたってダメ。

ココ(大江台高校)じゃ通用せんよパンチ!

まさに彼女は私の背中を押してくれたのでした。


実際のところ、現実は私の想像を見事に裏切ってくれました。

本当に良い先輩ばかりだったのです、お世辞ではなく。

だから、部活だけが毎日の楽しみとなっている、今日この頃・・・。


さて、一応私は「役者」ということになっています。

ですが「メイク」「小道具」などなど、すべてにがんばるつもりです。

なんたって・・・ひとりしかいないんですからね・・・。

でも・・本音はやっぱり誰かに入ってほしい。


私は、このノート(自費ですぞ)に

日々の様子を書いてゆきたいと思います。

いわゆる「演劇日誌」

後々の後輩たちよ、ま、これを参考にしてね。

 

1982,7.30

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