R15で、最低なダメダメ人間ばかりが登場する映画、
でも、俳優は最高・・・といったら、見るしかない。
ちょっとアタマ休めたいときは「ミックス」とか、「ブレードランナー」とか、
わかりやすい映画にいってしまいがちだけど、
これは外せないな、と思って京都シネマへ行きました。
15歳年上の佐野陣治(阿部サダヲ)と共に生活している北原十和子(蒼井優)は、下品で地位も金もない佐野をさげすみながらも、彼の稼ぎに依存し自堕落に過ごしているクレーマーだ。ある日、彼女は8年前に別れ、いまだに思いを断ち切れないDV男、黒崎に似た妻子持ちの男、水島(松阪桃李)と出会い、彼との情事に溺れていく。そんな折、十和子は刑事から黒崎の失踪を知らされ、佐野がその件に関係しているのではないかと不安を抱き……。
だいたいヒロインの十和子がかなり危ない。
情緒不安定で被害妄想、自己中心的でわがまま。
そんな彼女がさげすみながらも暮らす陣治がまた本当に汚い。
色黒の小男で、傲慢、仕事の不平ばかり。
ものを食べる時にはクチャクチャと音を立て、飲みかけのコーヒーカップに煙草の吸殻を捨てる。
水虫でめくれた足の皮をちびちび剥き、脱いだ靴下で顔を拭く。
女性なら誰でも生理的に嫌悪感を抱く。
すごくよく演じてる、阿部さん。
昔、十和子を捨てた黒崎も、金のために上司に彼女を売ったDV男。
現在の十和子が溺れるデパートの店員、水島は女とみれば口説いているセックス依存症の矮小な男だ。
物語は刑事の出現で、十和子が「失踪した黒崎は陣治に殺されたのではないか」と
疑惑を持ったところから一気にサスペンスになってくる。
そして衝撃の結末。これはお約束かな。
しかし、こういう映画は俳優さんの力量がぐんぐん迫ってきて楽しい。
朝ドラでは、甲斐性のないぼんぼんを演じている松阪桃李、彼が本当に「ひとでなし」なんだな。まあそれほど上手いということ。
以前、MOZUシリーズで、狂気を孕んだサイコパスを演じて見事だったけれど
彼は、人でなしとか女たらしとか、犯人役とか本当に上手。
本作は芝居巧者の役者揃いで、一粒でなん度でも美味しい
噛めば噛むほどのするめみたいな映画かな。
話は全く変わるが、今、ブレイクしている高橋一生は、月9では役不足。
こういう変わった役を演じさせてみたいと思った。
明るいラブストーリーとかよりも、訳ありの役の方が上手いのだから仕方ない。
あの表情筋のシワ一つ、眉毛の動き一つで何かを語って欲しい。
一生氏にサイコパスの犯人を演じさせたいと思う。
彼女がその名を知らない鳥たち【電子書籍】[ 沼田まほかる ]
704円
楽天 |