本論文は、新型コロナウイルスの妊娠初期の感染に関する報告です。
Hum Reprod 2021; 36: 40(デンマーク)doi: 10.1093/humrep/deaa311
要約:2020年2〜4月に妊娠初期スクリーニング検査を実施した1019名(コホート1)と流産に至った36名(コホート2)の新型コロナウイルスの感染状況を後方視的に検討しました。妊娠初期スクリーニング検査実施者の中で、新型コロナウイルス抗体陽性16名と陰性966名のNT(Nuchal Translucency、胎児の首のむくみ)に有意差を認めませんでした。また、流産に至った36名は全て新型コロナウイルス抗体陰性でした。なお、新型コロナウイルス抗体陽性は1.8%でした。入院された方は一人もおられませんでした。
解説:MERSやSARSでは母体死亡率や赤ちゃんの流死産率が高くなっていました。一方で、新型コロナウイルス感染が妊婦へ及ぼす影響についての情報は限定的です。本論文は、新型コロナウイルスの妊娠初期の感染に関する検討を行ったところ、流産や胎児異常との関連は否定的であることを示しています。妊娠初期の影響については、今後さらに論文が発表されると思いますので、注目したいと思います。
下記の記事を参照してください。
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