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一郎のだまされ日記

チーム黒山レーシング 黒山一郎でございます。

エンジンの力をアップしようと思えば、単純に排気量をあげる事です。例えば、50ccを65ccにとか、125ccを140ccにとか、250ccを280ccとかにです。エンジン(シリンダー)の中を上下するピストン外径の大きいサイズを、シリンダー穴径をその外径に合うようにボーリングして(穴を大きくして)入れてやればいいわけ。

 

でもこの方法は、穴径を広げるに限界がありまして、写真のシリンダーの穴を見てみれば分かりますが、この穴を広げすぎるとスリーブと言うパイプ肉厚が薄くペランペランになり熱膨張に耐えられなくなり、内部で上下する筈のピストンがかじりついて上下しなくなります。

 

だから、この単純明快な方法のボアアップの限界は初めに説明した通り「50cc→65cc、125cc→140cc、250cc→280cc」付近ですね。経験上、この方法の排気量アップは、キャブのセッティングや排気系の変更は何もする必要がありません。スタンダードのままのセッテングでパワーアップOKです。

 

日本のトライアル創成期にイの一番に国産トライアラーを市販したのはHONDAで、HONDA.TL125バイアルスです。この125に当時のナナハンのCB750Fのピストンを、シリンダーボーリングして入れるとぴったしに収まり142ccだそう。で、この、HONDA.TL125バイアルス→142ccバージョンで、日本のトライアル普及に貢献した西山俊樹さん、万沢安夫さん、成田省造さんの御三方がイギリスSSDT6日間トライアルに出場して完走した、という武勇伝を聞いています。

 

排気量が上がったんだから、キャブレターのセッティング変更をしてガソリン量を多くしたほうがいいんではないのか、は民間人の考え方で、やれば分かりますが「あっちが良くなったら、こっちが悪くなった」で収支がつかず、結果、「元のままが一番いい」になりますね。

 

で、これ以上の排気量アップをしようとすれば、「ピストンの上下動(ストローク)を長くする」ですが、この方法の欠点は「回転が上がらなく」なります。ショートストロークの50ccレーサーは14000〜15000回転付近まで上がり、ロングストロークのハーレーダビットソンは「ドッドッドッ」っと回転が上がらない事でわかります。

 

また、ピストンが内部を上下するスリーブ(パイプ)をもっと太いのに交換して、もっと外径の太いピストンを入れるをして排気量をアップする方法もありますが、これをやるに「クランクケース穴の広げ加工+シリンダーヘッドの段付き直し」などなど大変で、だったら最初から排気量の大きいバイクを買ったほうが安くつきます。

 

という事で、TY125Fの125ccのボアアップをしようと思えば、スタンダードのシリンダー穴径を広げるなんて必要なくしごく簡単で、今は倒産してKTMに吸収されてしまったけど旧Gas-Gas社オプショナルパーツとしてヨーロッパだけで販売している140cc Kitと交換すればいいだけの話です。

 

黒山選手がイタリアBetaMotor社契約の時の、メカニック長はポジ.リカルドと申します。このリカルドがBetaMotorを定年退職して「TOP.TRIAL」という用品メーカーを立ち上げて、そこからこのイタリアATENA製140cc Kitを送ってもらっているといういきさつ。でももう「もうすぐ無くなるぞ〜」の連絡があって「どうしょうかな〜」が今の状況。

 

TYS125Fの排気量は、当たり前ですが125ccです。で、この125を140ccに排気量アップして、10年以上長らく乗っておりました。オイル管理をきちんとしていたんでまだまだ使える140ccですが、これを機会にあっさりと、残り二つのうちの残1Kitの新品140ccに周辺の部品を含めてすべて新品交換しました。ちょっともったいない気もしますけどね。

 


もちろん、ハイカムもピストンリングもガスケットも新品交換しました。

 

ピストンとシリンダー壁の新品証拠写真です。

 

シリンダー壁のクロスハッチ模様も新品です。

 

2st車はシリンダー壁に大小のポート穴がたくさんあいていて、ボーリングして穴径を広げると「吸排気のタイミングが違ってくる」ので、大きなピストンを入れてボアアップは不可能な機構構造です。それに、荒っぽく4stのガソリンは上からシャワーのように降りそそいで入ってくるのに対して、2stはピストンの上側左右真後ろから吹き上げるように入ってくる構造。

 

という事で、ボアアップという言葉は4st車にしかない言葉ということを知ってくださいね。

 

より

 

 

 

 

ヤマハ発動機(株)製のTTR汎用(何にでも使える)エンジンには、以下の3つのが製造場所あります。

 

1,国産、静岡県磐田市にある工場製

2,ブラジルにあるヤマハ発動機(株)ブラジル工場製

3,ほとんど設計をパクって勝手に設計し、兼価(安価)版の中国製。だからTTRエンジンではない→Gas-Gasランドネに搭載している

 

国産の磐田市工場製のエンジンは、ほどなく人件費の関係でブラジルヤマハへ製造を移し、日本の市場に出回っているTTRエンジンはほとんどがブラジルヤマハ製で、でもブラジル製とはいえ、ヤマハ傘下の工場だから品質は国産となんら変わりません。

 

 

トライアル初代全日本チャンピオンの木村治男さんは、ヤマハ社員ながら「創世記の日本のトライアルの普及に全力を尽くし、そしてヤマハからトライアルの火を絶対に消さなかった」レジェント的な人ですが、このTTRエンジンを日本の工場からブラジル工場に生産拠点を移す時に、約2年間そのブラジル工場へ単身赴任して品質の管理をし、そして製造のすべてを現地ブラジル人社員に指導をした方でもあります。

 

ですので、このTTRのエンジンについては何から何まで微に入り細に入り、知り尽くしている人が木村治男さんでもありますし、そして、黒山選手がヤマハ製4stエンジンで、全日本を戦っていた時のヤマハチームの総監督でもあります。

 

 

という事で、現在復活中のTY125Fのエンジンは「正真正銘のブラジルヤマハ製」エンジンで、ここまで全バラ組み立て前クリーニング済みが進んでいます。

 

 

うちには2台の実動するTY125Fがありまして、永らく置きっぱなしで乗らずの「お地蔵さんか仏像さん」状態。で、今回この機会に2台をエンジンを含めて何から何まで全バラして、2台の部品のうち「良い部品ばかりで組み上げる→販売用」「悪いとは言わないけど、残りもの部品で組み上げる→うちで乗る用」に組み立て仕上げています。

 

「悪いとは言わないけど、残りもの部品で組み上げる」のTY125Fは、例えどこかが壊れてもうちの工場で何とか復活できるけど、このTY125Fを、例えば北海道か沖縄にお嫁に出してどこかが不調になった時に、復活にとても時間とお金がかかりますし信用問題もありますので、お嫁に出すのは「良い部品ばかりで組み上げた」TY125Fですね。

 

4st車は2st車と違って、きちんと手を入れてオイル管理さえしっかりとしてやればエンジンを含めて、まずどこも壊れることはありません。数多い旧車群で、圧倒的に4st車が多い事でこのことが分かります。という事で、TTRのエンジンを搭載したTY125Fは名車ですよ。

 

形になるのは、もう少し待たれよ〜♪

黒山レーシングの中古車販売第2弾「TYS125F→改140Fハイカム付」の、バラバラ全バラから一からの総手直しがやっとスタートしました。女性の場合「色白は百難隠す」と申しますが、バイクの場合は「エンジンの良さは百難隠す」ですね。

 

という事で、まずはエンジンの全バラからスタートです。

 

首上が外れました。

 

首下全部は2stに比べると少しだけややこしいですが、WOHC-330をいじっていましたメカニックにとって、125の単気筒なんて全バラは「アッ」ちゅう間です。

 

フレームも全塗装のためにスケルトン状態ですね。もちろん、ステアリングの上下ベアリング部は超耐水性のネッチョリしたアメリカ製グリスで組み上げます。

 

さて、完成→販売は本年度中を目指していますが、間に合えば嬉しいですけど、無理には間に合わせたくないし、とにかく長年の積み上げた信用を落とさない仕上げ完成を目指します。あっそうそう、もちろん書類付きだからナンバーを取得してツートラ参加可能ですよ。

より

 

 

新渡戸稲造さんって、永らく5,000円札の顔でしたよね。でもまあ、5,000円札は2,000円札ほどではありませんが、そんなには流通しないというか、使われないお札です。

 

新渡戸稲造さんって、何をした人でしょうか。うちら的には「武士道」を執筆して、それを英訳して海外に広め「日本の文化を世界に広めた人」でしょうか。海外の言葉を覚えようとして一番早い方法は、その国の彼氏か彼女を作ってお付き合いをする事です。はい、「英語の達人の新渡戸稲造さん」の、奥さんはアメリカ人のメアリーさんです。

 

イチローさん、武士道をお勉強しようと思い、この2冊を熟読しています。

 

 

 

結果、「武士道とは死ぬ事と見つけたり」の「死ぬ事」とは、命を絶つという意味ではなくて「自分を殺して人の為に尽くす」という本意ですね。

 

はい、イチローさん、日本のトライアルのさらなる発展、より多くの人達、特に「少年部と女子部」の発展、つまり、より多くの少年ライダーとより多くの女性ライダーの育成に、自分を殺し無の境地で普及活動を現在進行中です。

 

白内障の手術で、やたら両目だけが若返ったイチローさんより

 

実況中継的に、中古車を全バラフレーム粉体塗装から完成までを紹介していましたけど、販売価格を45万円と公表した途端の10分後に1番手の方が名乗りを上げて嫁ぎ先が決まりました。

 

 

売れてしまった証拠写真を載せても仕方ないのですが、まあ、黒山レーシングが仕上げるとこうなるよで、自慢をさせてください。

 

 

排気系(エキパイ.チャンバー.サイレンサー)は、切開グラスウール交換すみで、良い排気音をあげてくれます。

 

 

次の中古車販売は「TYS125F→改140」中国製エンジンでなくてブラジルヤマハ製エンジン搭載を予定していますので、ご期待をよろしくお願いいたします。ゆっくり丁寧にやりたいので「今年中に完成すればいいかな」でお待ちくださいね。

 

白内障の手術で、やたら両目だけが若返ったイチローさんより

 

今年の夏、うちの工場で巣立った全員集合のツバメちゃんたちです。今頃、どこにいるのかな〜♪

ツバメは一回に、5個の抱卵をして雛を育て上げます。これを2回繰り返しますので、ごく普通には10羽の雛が育ちます。

 

①ですが、6個の抱卵も時々ありまして、この時は卵から孵って雛になっても、かなりの確率で1羽は押しくら饅頭に負けて巣から落ちて死んでしまいます。

②基本的に抱卵5羽の雛育ては、2回だけです。ですが、まれに3回目の抱卵雛育てもありまして、この3回目になると、親鳥の負担が大きいらしくて餌運びもままならず、親鳥が自分が食べるだけが精一杯らしく、5羽の雛が栄養失調でやせ衰えミイラのようになって、巣の中でほとんど死んでしまいます。

③3月終わり頃に工場にやってきて、2回の抱卵雛育てをして7月には終わりが基本なのですが、たまに晩婚なのがいまして、1回目の抱卵雛育てが終わったのが7月の終わりになることがあります。ここから本能で2回目に挑戦して雛育てをしますが、時期が遅いのかなんだかの理由で、これもまた雛全員が、栄養失調でやせ衰えミイラのようになって死んでしまいます。

 

自然界の事だから成りいきは「無視放置」が正しいのですが、巣からの雛の落下はいたしかたないとして、3度目の抱卵と、晩婚、遅くに2回目の抱卵はどちらも、雛が日々衰えていって死んでいくのを見るのは忍びないものです。

 

で、今年は工場内に巣が5つバラバラに出来まして、皆さん全羽、栄養満点で巣立つように出産調整をしました。方法は簡単です。3回目の抱卵を始めそうな時や、晩婚で2回目の抱卵を始めそうな時は「アッサリと巣を壊して取り除いてしまう」のです。壊された巣の持ち主ツバメは、いっときキョロキョロしていますが、あっさりあきらめて巣のあった止まり木止まって夜は過ごしていますが、もう巣作りはしません。「壊されてよかった」と思っているのかも。

 

この作戦が良かったのか、5つの巣共に全羽育って工場内をクルクル飛び回り、一時期はまさに「ツバメ屋敷模様」の黒山レーシング工場でした。

 

 

ツバメは天敵が多いらしくて、自然界での寿命は1年から2年で、動物園で飼育すると10年以上は生きると言います。それと、毎年また同じ巣に帰ってくるかどうかの調査で、足輪を付けて調査して見ると「40%が帰ってくる」という報告があります。

 

 

まあいずれにせよ、益鳥のツバメさんが毎年3月中旬の頃に「迷わずためらわず」に工場の中に飛び込んでくるのはうれしいですね。また来年の3月中旬が楽しみです。

 

 イチローより

 

 

 

エキパイが取り付きました。エキパイの材質として「1)鉄2)ステンレス3)チタン4)アルミ」とありますが、イタリアのBetaMotor契約時代のテストの結果、2)のステンレスが2stは一番性能が出ます。4stはチタンが一番です。だからもちろん、この低速ピックアップ重視の直線距離を10ミリ伸ばした改良型エキパイの材質は「ステンレス」です。

 

 

少しづつ少しづつ、完成お嫁入りに向かっていますが、丁寧に完璧にやりたいのでもう少し時間がかかります。で、最近「いくらで譲ってくれますか」の問い合わせが多いので、もったいぶらずに販売価格を公表します。

 

はい、45万円でお譲りいたします。この年式付近の250ccの相場は50万円前後だそうなので、適価かなと考えての価格。オークションではありませんの「早い者勝ち」ですので、購入希望のお方は

 

trial.kuroyama@icloud.com

 

にご連絡ください。では、お待ちしています。

 

〒666-0143 兵庫県川西市清和台西1-1-7 Tel&Fax 072-799-0830

株式会社黒山レーシング:開発部品製作室/黒山二郎

 

 

皆さん、お元気のことと思います。

 

さて、うちの奥さんが「慢性硬膜下血腫(まんせいこうまくかけっしゅ)」なる、脳と頭蓋骨の間に血がたまる病気を発病し「あんた、はよ手術せんと死にますよ。よくて植物人間」と、駆け込んだ川西市立総合医療センターの脳外科医に脅かされたのが40日前のこと。こん時、駆け込んだのが午前中で、もうその日の午後4時には開頭手術というハイスピード対応。

 

10日間の入院生活を終えて「頭に開けた穴もうっすらと膜がはってきたんで退院しましょうか」で、退院してきたその日に撮った証拠写真がこれ。ほおがこけて瘦せおとろえ、まるで飲まず食わずのガンダーラの修行僧。でもまあ、4人もの若いツバメの男衆と、メス犬一匹に囲まれてお婆さん冥利につきますね。

退院した時から40日目の、本日の証拠写真がこれ。御歳72歳だからそれなりにシワクチャお婆さんで、まるでキャロライン.ケネディさんみたいですが、イチローさんが男尊女卑を改めましたんで、少しばかり「両ほほのふくらみ」が出てまいりましたので一安心。毎日、4回の四国犬のしばちゃんとのお散歩と、主婦のお仕事、お掃除洗濯食事の準備に精を出して体力も戻ってきたし。

 

 

とりあえず、病気以前よりも元気に戻りましたののご報告です。

 

はい、こっちは年中さん孫の4番とのツーショット。歳の差、実に70歳です。毎日、いつも工場でお付き合いしているというか、勝手に工具を使ってもの作りして遊んでいるのが「①15歳②13歳③11歳④5歳」の野郎ばっかりでしょう。こっちが相手に合わせてお付き合いしていますので、なすすべもなく若返ります。気持ち的に歳をとらないコツは「同世代の年寄りと付き合わない事」、はい、これに尽きます。

 

 

ではでは、とりあえずのうちの奥さん、病気回復ご報告です。

 

白内障の手術で、やたら両目だけが若返ったイチローさんより

 

 Scorpaというよりも、今のトライアルバイクの排気系はほとんどがチャンバーとマフラーは一体型です。で、お魚を3枚におろすように一体型の物を横からぶった切って、中身のグラスウールを取り出しきれいにして新品グラスウールを同じ量詰め込めば、外見はどうあれ新品性能に復活します。

 

ですが、エキゾーストパイプはそうはいきません。形状というものが大切で、いくらカーボン焼き上げ吹き飛ばしをしても、形状に凹みや曲がりがあればもとの性能には戻りません。

 

現在、修復販売予定のこのバイクのエキパイ、とてもじゃないけど焼き上げレベルでは性能復活は無理。ということで、新品の曲管を組み合わせて新たに作り直しています。

 

スタンダードよりも少し肉厚が厚くて丈夫。また、少し直線部分を長くして低速トルク性能を引き出しています。

 

 75歳になりました自画像

チェーンとタンクが付きました。

 

 

このチェーン、製造元の大同工業としては「困ったもんだ」のチェーンなのです。その理由は「強すぎる」→「伸びない」→「交換する必要がない」→「チェーンが売れない」→「大同工業は儲からない」の図式なの。

 

 

ごく普通には「DID520ERSゴールドチェーン」で、民間人皆様には十分すぎます。でも黒山選手にとっては、大会中により安心感が欲しいということで、この「DID.520ERS3」を出してきたいきさつ。はい、お嫁に出すに最高のものを、ということで大奮発です。