12/29の日記。
ダナンの安ホテルにて起床。
実は今回の旅のスタート地点(=前回のゴール地点)はダナンではなく、峠を越えた隣にある古都フエである。
フエにも空港はあるけどフライトが少ない&高かったのでダナン着の便を利用したのだ。
フエ~ダナン間を飛ばして南下するのはモヤモヤするので、律儀にいったん輪行でフエまで戻ってからスタートすることにした。
計画上は今日バス輪行でフエに戻る予定だったが、昨夜に続いて今日も一日雨予報である。
バス停までの移動と、フエから雨の中走り始めるのが億劫なので早速休養日にあてることとした。
前回はかなり急ぐ行程だったので休みなく毎日100㎞走ったが、今回は丸々2日分休める日を設けてあるのだ。
何もせずダナンで過ごすのももったいないので、雨を逆手に取ってミーソン遺跡&ホイアンのツアーに参加することにした。
ホイアンは今旅の中継地の一つだが、ミーソン遺跡は内陸の方にあるので1日分寄り道せねばならない。
雨をやり過ごしつつツアーで訪れることができるなら願ってもない。
朝8時にホテル前にツアー客を乗せるバンが現れた。
乗客は僕以外に7人で、うち4人が日本人である。一人旅は僕を含めて3人。
会話もそこそこの一人旅特有の距離感が心地よい。
1時間ちょっとでミーソン遺跡に到着。
My Sonと綴るため、日本語訳すると必然的に「私の息子遺跡」と訳されてしまうのだ。
チケット売り場からゴルフカートのような乗り物で奥地へ進む。
洒落た看板を横目にどんどん歩いていく。
雨ザーザーだが、傘もちゃんと持ってきているので問題ナシ。
少し歩いたところに場内シアターのような施設があった。
ここでチャンパーの伝統舞踊ショーを見られるらしい。
説明が遅れたが、ミーソン遺跡は15世紀頃までベトナム中南部を支配していたチャンパー王国の遺跡なのだ。
ベトナム人とは系統の異なるチャム人によって建国された国であり、文化的には中国‐ベトナムの漢字&大乗仏教ではなく、カンボジアやインドから伝わったヒンドゥー教&サンスクリット文字の影響を多分に受けている。
前から2番目の良い席を確保し、しばらく待っていると銅鑼や太鼓や笛の音とともに舞踊ショーが始まった。
舞踊ショーは三部仕立てで、特にすごかったのは二部目の笛の人。
1分近く息が切れることなく笛を吹き続け、観客席からは大きな拍手が上がっていた。
三部目はちょっとエロい衣装を着た女性の舞踊。
観客席のオジサマ方がすかさずシャッター切りまくる。僕も人のこと言えた立場ではないが。
ショーの後は雨の中遺跡を散策する。
レンガ造りの建築様式は、完全にタイやカンボジアで見た遺跡とそっくりである。
この窪みは”ヨニ”と呼ばれ、女性器をあらわしている。
このでっぱりは”リンガ”と呼ばれ、言うまでもなく男性器をあらわしたものである。
ヒンドゥー教の世界観では、生命の誕生につながるヨニとリンガの結合が神聖視されて崇拝の対象となっていたそうで。
日本でも世界でも大昔には多産や豊穣を願う目的で生殖器信仰が行われていたのだ。
僕も30代なのでさすがにこの手のネタでニヤニヤするお年頃ではなくなった。
しかし「ミーソン(my son)とはそういう意味の遺跡なのか」と、バカバカしい思考が一瞬だけ脳裏をかすめたことをここに記録しておく。
せっかくなのでリンガとともに記念撮影しておいた。
このクレーターは爆弾によるもの。
インドシナ戦争かベトナム戦争であろう。
まだ発掘途中の遺跡もあるようで、半分土に埋もれているのも歴史のロマンを感じさせてくれる。
2時間半の遺跡滞在は大満足だった。
続いてバンでホイアンまで移動する。
ホイアンはかつて貿易港としての役割を果たした町で、日本人街や東インド会社の商館もあったという。
ベトナム風ランタンなど土産物屋が立ち並ぶ古い町並みが洒落ている。
腹が減っていたので適当なレストランに入る。
注文するのはもちろん空心菜炒めである。
初の東南アジア自転車旅は2017年末のカンボジア編だったが、その時から空心菜を食べ続けている。
ニンニク&塩味がうまいし、貴重な野菜の補給にもなる。
揚げ春巻きもつけて800円くらいだった。
少し足りなかったのでバインミー屋もハシゴする。
バインミーとはベトナム風サンドイッチのこと。
フランスの植民地時代に伝わって流行したらしい。
衛生面が不安でいままで避けてきたが、グーグルの口コミが非常に高かったので信頼して食べてみることにした。
値段も20000~45000ドン(120~300円程度)とお手頃。
ポーク&チーズにアボカドをトッピングし、辛めのソースで頂く。
パンがオーブンで焼いてあってバリバリの食感になっていた。
評判通り実にうまかったので、是非ともリピートしたいところである。
その後は博物館などを見学する。
細長く朽ち果てた謎の木は、貿易船の竜骨に使用されていたらしい。
パネルにあるのは中国のジャンク船か。
染付の陶磁器もたくさん展示してあったけど、いたるところで見まくっているのでほとんど印象には残らず。
博物館の二階からは町並みが見下ろせる。
古都フエと同様に、ホイアンでも観光客を乗せた自転車タクシー(シクロ)がそこらじゅうを走っている。
面白いことに通行人を避ける際に鳴らすベルがないようで、運転手が口で「リンリンリン」と叫ぶのである。
これが聞きたくてわざと気づかないふりをしていると、後ろの方から「リンリンリン」が聞こえてくる。実に面白いがな。
歩き疲れたのでコンカフェ(Cong cafe)でコーヒー飲みながら休憩。
何度も紹介しているが、可愛い女の子が接客するコンセプトカフェの略ではない。
旧ベトナム民主共和国(北ベトナム)の”共”を現地ではCongと発音しているのだ。
店内も共産ゲリラの秘密基地風でとても風情があって良い。
暗くなるまでブログ書いたりして店を出ると圧巻の光景。
ホイアンはランタンと灯りで有名な街なのだ。
土産物屋のランタンにも灯りがついてなんとも幻想的な雰囲気。
疲れもすっかり回復して、灯りのもとで街を歩いているだけでも楽しい。
結局、夕飯は昼に寄ったバインミー屋をリピートした。
美味しかったけど、お金とか触った素手で調理されるとやっぱり衛生面が気になるな。
フォー屋台も素手で麺とか触ってるけど、熱々のスープ注がれると殺菌されるだろうからそれほど気にならないのだけどね。
20時過ぎにダナンの街に戻ってきた。
明日はいよいよフエに移動して走り始めるぞ。
天候よ、回復してくれ!
走行距離:お休み
走行時間:お休み
総走行距離:お休み