words
16巡で入場して立ち見センター2列めなら上出来だろう。
半年ぶりのシアター。
見回すといつもの景色。一本増えたピンクのリボン。僕の周囲も椅子席も、おっさんおっさん一人飛ばして又おっさん。これも見慣れた光景だ。
影アナがぐだぐだ。後ろの方から「ぐっだぐだ」と揶揄するような小さな声。うん、ぐだぐだがかわいい時期はもう過ぎてる。ちょっと心配になる。
気になってたのは、メトロさんのレポ。
序盤4曲を観た時点で、真剣に帰ろうと劇場の扉を開けました。
何とも言えない・・・ヒトツも刺さらないパフォーマンス。
キ、キビシイ...。
そんなにぬるいステージなんだろうか...。
そんな心配の中、はじまったオバチャ。これが始まればもうグダグダと言ってられない。奥底に潜んでいた高校生がしゃしゃり出て来て、くたびれたおっさんとポジションチェンジ。
あっという間の2時間。ぬると言えばぬるいところはあったし、前回のような震えるような瞬間は無かった。
でもやっぱり楽しい時間でした。シアターに漂う魔法の粉を胸深く吸い込み、五体に染み渡らせました。何より16期の子たちに対するシンパシーが再度深まりました。
でもねえ、それだけじゃあダメなんだよねえ。うちの子かわいい、あんよは上手じゃあ。彩希さんが言いたかったのはそういうことなんだろう、と思う。
ここを経て、彼女たちのほとんどは正規Teamで戦うことになる。
それは彼女たちにとっていいことなんだが、試練でもある。
その時シアターにいるのは16期大好きのヲタばかりじゃあない。メトロさんみたいに日本中の劇場を見て歩く猛者だっている。劇場のドアを開けて外に一歩出ればあからさまに「AKBはオワコン」ってうそぶく世間だ。
じゃあどうする、どうしたらみんなの夢がかなうのか。
うーんわからん。
わからんが、とにかくまた呼んで貰って、この目で見続けるしかないんだろう。
--
セトリについて。
「快速と動体視力」
見ているだけの初恋、というのはAKB定番のテーマのひとつ。
ちょっと振り返るだけでも「7時12分」「初恋の踏切」「ウィンブルドン」「青空片思い」「君の背中」「偶然の十字路」などなど思い出す。あ、最近では「青春時計」もこの系譜だよね。
まあどれもこれも歯がゆいお話なんだが、それでも同じ車両に乗り合わせるとか、通学路ですれ違うとか、多少の接点はあった(同じ空気を吸う、とかね)。
それがまあ行き着くところまで行き着いたのか、この曲、出会いは快速が通り過ぎる一瞬だけ。女の子はホーム。そんなの見えねえよってツッコミには「だからさあ、動体視力がいいんだってば。で、もっとよくなっちゃうんだって」と返す秋元センセ。んなわけあるかい。
まあ「いつみきとてか恋しかるらん」って未だ逢はざる恋というのも王朝の伝統であるわけだからこれはこれでありでしょうと、と古典に造詣の深いセンセイ。
「完璧ぐ〜のね」
もうね完璧なアイドルソングでしょこれ。
イントロが流れただけでキラキラしたまゆゆらぶたんなっちゃんはるごんの姿が浮かぶ。何も言うことないホントぐ〜のねが出ないカワイさ。
こういうの書けるんだよ書こうと思えばあのデブ先聖先生は。説明とか説教とか聞きたくねえんだよおっさんはもうよー。
「クロス」
曲はカッコよくて大好きなんだけど、歌詞を読むとこれもAKBの隠れ定番とでも言うべき「脳内ヤンキー」ソング。「ヤンキーソウル」とか「拳の正義」とか「横須賀カーブ」とか。
もっともどれもお勉強はできたけど、不良経験のない康おぼっちゃんの想像するヤンキー像。女の子ってちょい悪の男の子好きだよね。「ひと夏の反抗期」「家出の夜」にもちょっとその匂いがする。彩希さん好きなのかなヤンキー。
「家出の夜」
ビートルズの"She's leaving home"を思い出す。
でもこっちは余りにも観念的で中二ψ(ああ書いちゃった)。家出のモチベーションが緩すぎ。これじゃ長続きしない。
きっとこの子、スマホの支払いが止まったら帰ってくるんだろうなあ。そんな脆弱さを感じさせないではいられない。
校舎の窓から机を捨てた日
確かに生きてる鼓動を/僕は聴いた
はじめてやらかした反抗にドキドキしちゃってんだよ、この子。それ生きてる鼓動ってほどのもんじゃないだろ。ちょっと校庭走ってみろよ。
そういや夜の校舎、窓ガラスを壊して回った不良くんもいたっけ。
暗い校舎、ガラスの割れる音が静寂を破り、粉々になった破片が冷えた月を反射してキラキラと光る。ことの当否(否に決まっているんだが)はともかく、そこには力強く鮮烈なイメージがあった。
かたやよっこらしょと机を持ち上げて、窓から下を見て危なくないのを確認して、ぼっとんと落とす。何かおマヌケな感じ。
やっぱ康おぼっちゃんなんだなあ。
「憧れのポップスター」「ずっと ずっと」
A6「目撃者」公演からのチョイス。思い返すと名曲揃いの公演だった。初めてシアターで見た公演だったという点をさっ引いても。
「憧れのポップスター」のかわいいあっちゃん(現場じゃ見てないけどさ)。
前曲「I'm crying」の冷たい孤独と絶望。息が詰まりそうにに暗く静まりかえったシアター。直後に「ずっと ずっと」のイントロがそれを爆発するように開放する、あの瞬間を思い出すと今でも鳥肌が立つ。
そういや研究生の彩希さんも出てたっけ「目撃者」。いきなりのあっちゃんポジ。
「High School Days」
9期から12期の顔が浮かんできて、思わずうるっとした。
13期14期だと「純情なんちゃら」じゃなくて、「Love修行」。
15期D1D2にはそういう曲ないのがかわいそう(僕が知らないだけか?)。
で、16期に与えられたのが、
「抱きつこうか?」
なわけだ。
予習のためとは言えCD買ったのホント久しぶりだった。「汚れている真実」以来じゃん。
で、歌詞だけ見るとこれがまあ説明文なんだな。いちいち状況や感情を事細かに説明してるだけ。こう書かないと意味を読み取ってくれないんだからしょうがないだろうキミ、とやすすセンセイはおっしゃるんだろうが。
でもなあ、
逆に新鮮だった
抱きつこうか?
てのはどうなのよ。
「チーム坂」
こっちは説教。しかも薄っぺらい説教。
ぶん殴っておいて
あの日の怒りこそ/青春そのものだ
チーム坂
とか、
あの日の怒りこそ/懐かしい思い出
Ibid
なんて、全然共感できない。
殴られた方にしてみりゃ青春でも思い出でもねえよ。
まあ自分が部活さぼってグラウンド走らされた側の人間だからだけどさ。
などと散々「抱きつこうか?」「チーム坂」あと「家出の夜」とかくさしているくせに、目の前で見るとフリコピして大歓声ですよ。すいませんね。
全部楽しんじゃいましたよ。
非望を覬覦するの愚を侵すならば、dark sideの曲を1曲か2曲、この子たちにやらせたかった。A6繋がりで「I'm crying」もいいが、「ダルイカンジ」「パパは嫌い」「火曜の夜、水曜の朝」あたり。
あどけない顔してナイフを隠し持ってるヤツらじゃないかって思うんですよね、この子たち。
--
安田叶
今日の僕のMVP。
「かなぶん」とか「ぶんちゃん」とか呼ばれてた。だよねえ、「かなちゃん」って大王様の御名ですもんねえ。
前回、前々回は目を引かなかったが、今日はとってもよかった。
前半は溌剌とした笑顔を絶やさず、空間を大きく使ったダンス。見ているとこっちも楽しくなってくる。こういうのを見に僕はここに来てるんだよ。うん。
ユニットの「クロス」はうって変わって「男前」。動きのキレがいい。こういうメリハリの効いたダンスが得意なんだね。
ただ「クロス」、あのイントロが流れるとどうしても高柳まつりなあともう一人の絵が頭に浮かんじゃって「そうじゃないだろ」って言いたくなっちゃう。カッコよかったもんなあ、高柳まつりなあともう一人。
研究生と比べちゃかわいそうってのはわかっているんだが。
一人一人は頑張っていると思う。浅井は一見おっとりなんだけど、長身を生かしてダイナミックな動きもできる。庄司だって踊れてた。でも3人のシンクロがどうも悪い。要所要所が締まらない。たとえばマイク倒して伸ばした右手が揃って水平になってないとか。あとマイク倒しすぎ。45度弱が吉。栄はそういうとこうっせえから。鳥さんにどやされっから。
浅井七海
すっごくっぴんさんになってた。
もともと長身で顔立ちの綺麗な人だったのだけれど、立っているだけで目を惹くレベルになった。やはり視線にさらされ続けるというのは効果あるなあ。「見られている」だけで女の子は化けるよね。
後半、おのおの制服でステージに上がったのだけれど、真っ白な上下で思わず息をのむ清楚さ。それでいて動きもいい。おしとやか美人じゃないんだこれが。前に見た時は棒立ちに見える時もあったけど、今回はなし。
エンディングの2曲はこの人と山内(瑞)がツートップだったが、メトロさんご指摘の通り、いいコンビネーションでした。
武藤小麟
「愛の色」よかった。指先までとても柔らかくて、細やかな色のある動きと表情をしていた。ちょっと子どもが多いメンツなので、たいがいは歌の心には届かないのだけれど、武藤ははまっててよかった。
田口愛佳
KSGK感がさらに増していたぞ田口。いいぞもっとやれ田口。
山内瑞葵
前回の研究生公演で僕のハートを鷲づかみにした人。
今回はソロもあるので楽しみ楽しみ、だったのだが。
オープニングの「快速と動体視力」、なかなか見つからない。
浅井とか武藤とか安田とか山根は探さなくても視界に飛び込んでくるのだが、山内がひっかかって来ない。おかしい。
よーく見て、んー、この人だよねえ、と思ったのだが、まあそれが山内なわけ。
何だか腑に落ちない。ちゃんとしてるんだけどふつうの動きなんだよね。生彩を欠く、とまでは言わないけど、ふつうなんだよねえ、これが。ふつうでも上手なんだけどさ。目が喜ばない。そんな人じゃないはずなんだが。
で、「右足エビデンス」。せっかくのソロなのに何だか窮屈そうで借り物感が漂う。もちろん上手なんだけれども、ああいう曲想はまだ難しいのか。Dark sideはいけてたんだけど、ちょいエロは難しいのかなあ。
これが横山結衣だったらどうだろう、なんてふと思ったりする。きっとあっと言う間に自分の曲にしちゃって、どこかでベロをちょろっと出したりするんだろうなあヨコちゃん。妙にエロいとこあるからなあヨコちゃん。
後半は持ち直して、探さなくてもすぐにわかるようになった。
これがメトロさんの言う、「エンジンのかかりが遅い」なのかな。
特にラスト2曲、浅井とペアを組んでからのびのびとしてたように見えた。
半年ブログ放っといたくせにまあ自分でも呆れるほど書くね。
CD買わない曲聴かない、動画見ない、AKBへの熱はすっかり冷めてたみたいだったのが嘘みたい。どこから出て来たこのエネルギー。
要はこれが公演の力。