☆___________「財界」日本経済を斬る!!! -4ページ目

反日デモによる不買運動の影響でヤマダ電機が中国・南京店を閉鎖

5月31日、ヤマダ電機が中国・南京店(江蘇省)を閉鎖した。瀋陽と天津の2店に関しては営業を継続する方針だ。



1年前に出店したばかりの南京店だったが、尖閣諸島の国有化に反対する反日デモで不買運動が加速。売り上げが低迷していた。同社では閉鎖の理由について「市場環境の変化に加え、サプライチェーンの構築が十分にできなかった」としている。



南京店閉鎖について、ある家電量販店の幹部は「想定の範囲だ」と話す。この幹部によると中国では現地資本の家電量販店である蘇寧電器が国内に約1000店を展開、しかも重点育成企業として中国政府の後押しを受け、いわば、保護されている。



これに対し、ヤマダは有力な人脈がない状態で中国市場に飛び込んだ形。1012月にオープンした瀋陽店の開店が遅れたのも、許認可の審査が長引いたからなどと指摘されている。



中国は「人脈がないと事態が何も動かない」(同幹部)とされる。反日デモによる不買運動も大きいが、牙城死守に必死の蘇寧に、人脈のないヤマダが有利に事業を展開できなかったのではないかともみられている。



また、同日付で中国政府は〝中国版エコポイント〟といわれた省エネ型家電製品の購入補助政策を打ち切った。2007年から続けられた補助金制度が終了したことで、消費の押し下げ要因になると危惧されている。



奇しくもエコポイントの打ち切りや地デジ化への移行に伴って、消費が激減したのは日本も同じ。ヤマダも2013年3月期は営業利益で6割減となっただけに、海外を今後の成長市場とする方針は変わらない。



これは景気変動を背景にした一過性の出来事なのか、それとも中国でのビジネスの難しさを象徴しているのか。いずれにせよ、ヤマダは中国ビジネスの再構築を迫られている。



自動車保険料が一斉値上げ 一般会計の赤字補てんが問題に

自賠責保険は2年ぶりの値上げ



2013年4月から、自動車損害賠償責任(自賠責)保険が値上がりしている。平均で13・5%の引き上げ、2年契約の自家用乗用車(沖縄・離島を除く)では11・6%の引き上げで、2万4950円の保険料が2890円上がって2万7840円となっている。



自賠責保険は利潤や不足が生じないように設計されているが、02年以降は黒字が続いたため、その還元のために08年に5年間の予定で24%の大幅値下げを実施。だがその間、軽度の障害への支払いが増大、累積赤字が5128億円にも達する見通し。そのため、11年に続き、今回2度目の値上げを行うことになった。



自賠責保険料の引き上げを決めているのは、金融庁長官の諮問機関である自賠責保険審議会。自賠責保険は被害者救済を目的とした強制保険のため、その料率は自動車損害賠償保障法第25条によって定められている。これに基づいて、損害保険料率算出機構が、基準料率を金融庁長官に届け出る。その結果今回、金融庁は値上げが必要と判断。



だが、国に積み立てられた保険料の一部が国土交通省と財務省との申し合わせで一般会計の赤字を補うために貸し付けられているが、この返済が18年まで延長されているという問題も指摘される。この返済があれば自賠責の値上げ幅は抑えられたのではないか、というのだ。



損害保険の大手3メガグループは、13年3月期決算で、そろって大幅増益を記録したが、主力の自動車保険は赤字が続き、生命保険や海外事業で利益を出している状況。任意保険料は事故を起こすと負担が増す仕組みになったため、運転者には二重の負担。自賠責保険は損保各社の裁量ではない分野だが、物価が上がるタイミングでの値上げとなっただけに運転手からは非難の声も挙がっている。



疑問の声が上がる理由は、交通事故件数が減少しているから。警察庁の統計によると、12年の死亡事故は4280件で、10年前より約5割減、重傷事故は4万4467件で約4割減、軽傷事故は6391件で約3割減少しているのだ。「事故が減少しているのに、保険料が上がるのはおかしい」というわけだ。

星野リゾートが東京・大手町に高級日本旅館をオープン

「日本のおもてなしを世界に届けたい」


日本のおもてなしを表現する上で、世界のトップブランドが集まる東京は重要な場所」(星野リゾート社長・星野佳路氏)



リゾート施設の運営で成長してきた星野リゾートが、2016年を目途に東京大手町に日本旅館『星のや東京』を開業する。



三菱地所が14年に着工する日本政策投資銀行旧本店ビル、公庫ビル、新公庫ビルの3棟を解体して2棟のビルに建て替える大手町の連鎖型再開発の一環で、『星のや 東京』は東京駅の北西約500㍍の場所に地上18階、地下3階のビル1棟丸ごとの日本旅館としてオープンする。客室数84室。客室平均単価は1人1泊5万5000円。利用客の半分に外国人を見込む。



リゾート地と異なり、ビジネス客が増える立地だが「地域らしさを大事にする点は変わらない。地方で培ってきたものを東京で実践していく」(星野氏)方針。



外国人観光客の約6割が東京に宿泊していることから、東京らしさを日本らしさと捉え、「日本のおもてなし」を全面に出したサービスで勝負する。入口で靴を脱ぎ、エントランスからエレベーターまで畳敷きにするなど、建物も和風にこだわる。



星野リゾートにとって、東京進出は海外進出の布石でもある。


「東京で勝てなければ、世界で勝つことはできない」からだ。



1980年代、米コーネル大学に留学していた星野氏は、日系ホテルの海外進出を目の当たりにした。だが、それらはうまくいかなかった。「日本車は、世界の大都市で走っている。評価の高い日本のおもてなしを、世界のホテルを選ぶうえでの選択肢の一つとして定着させていきたい」と星野氏は話す。



世界のホテル経営は、所有と運営の分離が進んでいる。特にアジアには世界各国のホテルが進出しているが、アジアの成長に伴い人件費が上がり、効率経営が必要な時期に入っている。そうした中、星野リゾートは、バブル崩壊後の日本で「ホテル運営の生産性を高めながら、顧客満足度を犠牲にしない経営を実践してきた」強みがある。



東京進出で世界に存在感を示すことで、世界のホテル運営にも進出していく──。東京で勝負する意味は、そこにある。